第二十一部 第八章 レイナ
構えて分かる。
あ、こりゃ、強い。
全くのノーモーションに近い動きで、スパーンと竹刀で面を狙うように斬馬刀の斬撃が来た。
轟天だから、受けれたものの、本来斬馬刀何て刀で受けるもんじゃないし。
しかも、連続で斬撃がこちらを襲う。
「ほー、なんだ、単なるヒモかと思ったけど、そこそこやるんだね」
雛が笑いながら言った。
「お褒めいただいてどうも」
「何、これで本気出しても良いと分かったから、楽しませて貰うわ」
雛がにぃぃぃって笑った。
あー、こりゃ駄目だ。
手加減とか殺さないとか言えないレベルだ。
殺さなきゃ殺される。
と思った時に雛の背後から男が近づいて来た。
ウィリアム少佐だ。
「待て、その男とやるのはこちらが先約がある」
「はああ? そんなもの早い者勝ちだろうが」
雛が叫んだ。
とりあえず、チャンス。
いきなり、轟天を振りかぶると構えと叫んで、二人の足元にぶち込んだ。
「「はあ? 」」
二人が驚いた顔のまま吹き飛んだ。
と言うか、街自体が轟天の爆発で凄い勢いで地下に崩落していく。
雛とウイリアム少佐もその奈落のような底へ吹き飛ばされながら落ちていく。
底か相当深いみたいだ。
「深いね。信じがたい深さだ」
ダグダ師匠が呟いた。
「これ、古代の遺跡かなんかだな」
龍女さんが聖樹装兵の着装をといて言った。
街の中に直径三百メートルくらいの大穴が開いてしまった。
「とりあえず、このまま埋めるかとか思ってないか? 」
カルロス一世が聖樹装兵の着装をといて俺に聞いた。
「流石、おじさんだ」
俺がカルロス一世の慧眼を笑って答えた。
「まあ、俺でもそうする」
カルロス一世も胸を張った。
「こう、誰も見なかった事にするのが一番ですよね」
俺が笑って答えた。
「だよな」
カルロス一世がふっと笑って答えた。
「息が合うのう」
龍女さんが笑ってる。
「ち、ちょっと、雛が死ぬんじゃないの? 」
恋が俺を睨んだ。
「大丈夫、至近距離で胴体にぶち込んだホアンが元気だったし、このくらいでは死なないでしょ」
「あ、そうか」
「だよね」
と言って俺が笑った。
「いや、これ、別の問題が出るんじゃないかな? 」
穴を横から覗き込んでいる女性が言った。横に少し年上の凄い綺麗な鎧姿の女性が言った。
誰かと思ったら、レイナさんだ。
第一王女殿下である。
「あれ? レイナさん? 」
「おや? 名前を覚えてくれてたのね」
レイナさんが嬉しそうだ。
「あれ? でも、巫女のはずのレイナさんが何で鎧姿で? 」
「ああ、私、今、修羅一にいるから」
レイナさんが笑った。
は?
理解するのに時間がかかった。
「えええええええええええええ? 」