第三部 第五章 大成功
俺と義兄弟のアポリトとカザンザキスさんの話がまとまると早かった。
アサナトの情報からまず、潰すピラティスを選択して、さらに、まともなピラティスに手紙を送り、逆らうなら潰れたピラティスみたいにするぞと脅した。
もう、後は、シーサーペントの踊り食いだ。五百匹いるからあっという間だ。
踊り食いの後に、アサナトの海賊船が向かって、遺留品を全部回収、その後販売。
そして、潰したピラティスの拠点の島で、シーサーペントの巣にぴったりなのを見つけて、そこにシーサーペントの本拠を作り、食べた糞はそこにするようにさせて、さらに糞の中から、アサナトの連中が装飾品を回収、綺麗にしてその後販売。
もう、笑いが止まらない。
カザンザキスさんの仲介でパトリダ政府から通行税を取る許可をとり、しかも、シーサーペントに船を引かせる高速艇の運行も始めて、運輸も始めた。
それで、すべてが決まった。
あらゆるピラティスはアサナトの傘下になり、総勢二万を超える大勢力となった。
そして、もともとパトリダは風光明媚で、観光地には向いていたが、長い間のピラティスの横行で発展が妨げられていたのだが、ピラティスをまとめた事で環境が変わった。
目ざとい人間はどこでもいる。
パトリダは本当に有望な投資先なのだが、ピラティスがいるから、投資できなかった。
そのピラティスがまとまり、しかも、海賊とは違う仕事に変わるのだ。
突然に大量のパトリダへの新規投資がはじまった。
ちゃっかり、先に金で買い占めてた土地を別荘地にして売り、カジノも置いた。
それらの金はカザンザキスさんにも流れ、カザンザキス家だけでなくパトリダも急速に裕福になっていった。
とりあえず、お金が入ってきたので、男の夢を果たすことにした。
あれだ、ワイングラスを片手に持ち、特別に作らせたガウンを着て、地球儀を回して、高笑いする奴だ。
地球儀はとりあえず、こちらの世界の奴を使った。
「兄弟。何やってんだよ」
カザンザキスさんの邸宅に部屋を貰ってる俺を訪ねに来たアポリトが不思議そうに聞いてきた。
「アポリト。これは俺の元いた世界で成功した男がする事なんだ」
俺がそう言うと、アポリトも同じ格好で地球儀みたいなのを一緒に回した。
二人で回してると、なんか違うような気もしてきたが、これでいいのだ。
そして、俺達は第二の作戦に入る事にした。
この世界にスーパーを作るのだ。
もう、インチキなんだけど、この世界はまだそれぞれの小さな小売店が店を開き、まだ一つですべて買えるような小売店はまだ出ていない。
チャンスだ。
何しろ、今の俺なら、スーパーのやばい手法も使える。
初期のアメリカ式だった奴だ。
徹底的に安値で売り、周りの小売店が全部潰れたら、値段をあげて取り返すと言う手法だ。
日本では規制があるが、ここでは規制は無い。
これなら勝てる。
シーサーペントに網を持たせて、大量に魚をとり、それを超破格値で売るのだ。
もともと、原料費はタダだし、魚が無茶苦茶安い店でお客を集客するわけだ。
更に、ヤマトがマヨネーズなどを国家産品として製法を極秘にして売ってるが、別に特許があるわけでなく、それもこっちが生産して売る。
ヤマトがセコセコと製法を極秘にして、プレミアムを付けて売っていたマヨネーズや醤油や味噌を俺が大々的に安値で販売する。
もう、勝ちは見えたね。
すでに幾軒も用地は確保し、建設が始まっている。
勿論、もう一つの必殺技、近隣の土地も買い占め、スーパーが出来た事で土地の値段が上がったら、それらを売る。
それもやるつもりだ。
うははは、笑いが止まらん。
救世主?
何、それ美味しいの?
まあ、顔も知られてるわけじゃないし、クニヒトかヨシアキが鎧着て救世主とか名乗って仮面でもかぶれば?
どうせ、国王から公爵までアニオタなんだから、せっかく俺が大佐だったんだし、シャア・アズナブルの仮面でもつけたら良い。
やっと、俺に幸せが来たのだ。