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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十四部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 脱出 第二章

「実際、ここの抑えとして鬼師団の鬼の側近を置いているとして、当然、外にもいるんじゃないか? 」


 アポリトさんが真面目に突っ込んだ。


「……いるだろうな」


 御堂祐樹がそう答えた。


「いや、大丈夫なのか? 」


「わからんが、ツキヨ曾祖母があまり良い事を考えてない様な気がする。だから、皆の為にも行かないと……」


「何か変なもの食べた? 」


 真顔のアポリトさんが辛い。


 凄い顔している。


「……熱があるんじゃないか? 」


 などと心の師匠のカルロス一世も酷い。


「無いよ。長い事一緒にいて愛情が無いわけでも無いなぁって思っただけ」


「お前は騙されてるんだ! そう言う勘違いはよくある事だ! 」


「残念だけど、俺も同じ結論だ」


 などとマジで心の師匠のカルロス一世と一条和馬の真剣な突っ込みがどうとって良いんだか。


 両者の間に凄い空気が流れている。


「どうだろう。今は熱くなっているんだろうから、少し休んで寝て、明日に考え直した方が良いのでは? 混乱している時はついつい間違えてしまうものだ」


 ここぞとばかり修二さんの説得が始まる。


 微妙に何だか、自分達のいる世界から脱出して、次なる世界に羽ばたきだした仲間を、おいて行かれない為に必死に同じどぶ沼の中に居させようとしているように見えた。


 涼月東もちらと見ると頷いてきたので多分同じ感想なのだろう。


「いや、お前は何もわかっていないだろ? 」


「その通りだ。そんな事はあっちゃ駄目なんだ」


 などと自分に言い聞かせるような一条和馬と心の師匠のカルロス一世が辛い。


「いやいや、俺は彼らの発言の方が正しく感じるぞ」


 ここぞとばかり修二さんが滾々と説得するように御堂祐樹に話す。


「でも、行かなくちゃ……」


「一体、お前はどうしたんだっ? 」


 修二さんが絶叫した。


 いや、ここにきて、初めて自分の心には正直になったのではと思うのだが……。


 まあ、悪い話もあったんだろうけど、長い年月一緒にいたのは確かだし。


「むかつくよな。こんな奴が許嫁とか麗が可哀想だ」


 祝融さんの突っ込みでさらに話がずれていく。


「こう……何というか、仲間が違う方向で方向を決めて、その命を懸けようとしている時に、微妙に そっちには行かせないぞ感って何なんだろうな」


「多分、自分達だけ取り残されるような焦燥感があるんではと思うんですが……」


 カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんと俺が淡々とした顔で話す。


 何というか、今まで底辺で遊んでいた人間たちの中から新しい人生を決めた仲間が出て、ちょっと焦っていると言うか……。


 そう言う感じかなと。


「違うな! 間違っているんだよ! 間違っているから止めているんだ! 」


「その通り、某政治家が友人の政治家に言った、池から飛び出し見て水が無かったらどうするんだって言う言葉と同じだ! 実際に彼は勢いよく党とかそういうのから飛び出したけど、水が無くて死んじゃうんだぞ……」


 心の師匠のカルロス一世はともかくも修二さんの例えが良く分からない。


 自分の分身みたいな御堂祐樹が成長するのが寂しいのは分からんでも無いが、そんなに変わっていくって怖いのかね。


「修二ぼっちやん。そのお喋り野郎の言う通りさ。息子が成長して変わっていくのは止めたら駄目だよ」


 そうため息交じりでエリンギが話す。


 横たわっているエリンギ姿を見ると、立派な言葉もいろいろと台無しである。


「いや、エリンギは黙っとけよ! 」


「エリンギが口を挟むな! 」


「エリンギさんは手も足も出ないんだから、黙っててね」


 などとさっきまで戦いで逃げまくって何もしなかったのに、相手が弱った途端にこれである。


 糞過ぎる。





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