第二十一部 第五章 アンナ
ヤマトに豪華高速帆船が近づくと、ヤマトの方が燃えてる。
先行していたワイバーンが甲板に降りてきた。
イジュウイン大公のアンナだ。
「今は、まだヤマトの港に接岸するな。もう少し遅らせてくれ」
「どうしたの? 」
ミヤビ王女が聞いた。
「アマゾネスの別働隊が先回りしていたようです」
やはり、話し相手が王女だと、ちょっと言い方が変わるらしい。
「大丈夫なの? 」
アオイが聞いた。
「ああ、今回は修羅一が出るらしい」
アンナが答えた。
「え? 修羅第一部隊が? 」
ムラサキが驚いてる。
「何? その修羅第一部隊って? 」
「修羅の修羅。修羅の最強グループが揃った軍団です」
ムラサキが答えた。
「うわぁ、関わりたくない」
カルロス一世が呟いた。
「何言ってんですか。先代の修羅一のトップはルイ様ですよ」
「ぶーーーーーっ! 」
カルロス一世が吹いた。
「知らなんだ。まあ、でもあり得るよな、あの強さ」
俺がカルロス一世の横で言った。
「そりゃ、そうだよな……」
カルロス一世がぶつぶつ言って変になってる。
「今は代替わりして若くなってるが、その嫁入りがかかってるからな」
アンナが笑った。
「は? 」
俺の顔が引き攣る。
「今回嫁入りするのは修羅のトップスリーと猛禽のトップツーだ」
アンナが嬉しそうだ。
すいません。
震えが止まりません。
「ほほう、それは良い話だな」
カルロス一世が笑ってる。
さっきまで震えてたくせに。
自分と同じ立場に俺がなるんで嬉しそうだ。
「ちなみに猛禽のトップは私だがな」
アンナが頬を染めた。
「それは横に置いといて」
俺が横にものを置く仕草で言った。
「ちょっと、何で父さんの仕草を! 」
アンナが焦ってる。
「こないだ。君のとこにいたヴァンパイアとゾンビの合体した奴、俺のライバルだから」
「えー! あの変なのが? 」
「変って言うな。あれがほっこりするんだぞ」
「ええええ? 」
アンナが頭を抱えた。
「まあ、あれはあれで面白いからな」
カルロス一世も頷いた。
ヤマトの方を見ると一キロメートルくらい長さがあるヤマタノオロチが暴れてる。
アマゾネス側に火を吹いてるようだ。
「あれ? あのヤマタノオロチって……」
「あれは修羅一が代々受け継いでるモンスターですから」
ムラサキが俺の疑問に答えた。
「凄いな」
「まさか、リアルでヤマタノオロチを見るとは」
さくらとか深雪が感動してる。
腹が座ってるなぁ。
この子達、びびらないよね。
「でも、猛禽より修羅の方が立場は上だよね。どうなるの? 嫁さんにしたら」
ミツキが聞いてきた。
「ああ、それについては、和を乱さないように話はついてますし、その辺はわきまえてるはずです」
アオイが答えた。
「ああ、心配ない」
アンナも笑って答えた。
それにしても、アオイが受け入れてるって事はもう決まりか。
ドンドン嫁がヤバイのだらけになっていく。
思わずため息が出た。