第二十一部 第四章 取引
ホアンを撃退したアマゾネスのガレー船がうちの豪華高速帆船に横付けした。
こっちはシーサーペントが交代で引いてるのに、早いとは言えガレー船で追いつくとは。
アマゾネスの膂力がそれだけ凄いと言う事だろう。
まあ、シーサーペントに襲わせればいいんだけど、先ほど良いものを少しとはいえ見せてくれたし。
と、悩んでいたら、上空からワイパーンの一隊が急降下してくる。
「わたしも、よくよく運の無い男だな」
クニヒト大佐がいきなりシ〇ア化した。
池田〇一さんの声だ。
と言う事はあれ猛禽か?
アポリトが凄いスピードで船室に戻った。
「えええええええ? こ、声がシ〇ア・アズ〇ブル? 」
和真が凄く驚いてる。
まあ、分かる。
アホなヤマトのアニメオタクに無茶苦茶されただけなんだけど。
「どうやら、来たみたいですね」
アオイがいきなり背後から言った。
振り返ると許嫁が皆、揃ってる。
麗とマリナは誰かが忠告したのだろう、アマゾネスと向こうの世界の服を変えて、別の服を着ていた。
ワイパーンが次々と車掛りで火炎攻撃をガレー船に仕掛ける。
流石に戦慣れしてるらしくて、これは駄目だと見たらしく、接舷してたアマゾネスのガレー船が即座に凄い勢いで撤退していく。
この駄目と見たら即引く事から、彼らが戦慣れしてるのが分かる。
元居た世界でも、歴戦の勇士ってぶっちゃけ、戦場での判断が早く、あ、これはヤバイと見たら勝手に撤退するから長生きするケースが多いらしい。
ガレー船の撤退を確認したらワイパーンが甲板に降りてきた。
先頭のワイパーンから、さっとイジュウイン大公のアンナが降りてくる。
「お久しぶりね」
俺とアオイをアンナが見た。
「悪いけど、最初に取引の内容を確認させて貰うんだけど、本当に猛禽と修羅を五人ほど受け入れるのよね」
「ええ、それは約束するわ」
アオイがアンナを見て頷いた。
「分かった」
「それと、後、もう一つの約束だけど」
とアンナが辺りを見回して聞いた。
「この人? 」
とアンナが和真を指差した。
「は? 」
和真が呆然としてる間に、一瞬で他の猛禽達に特殊なロープでグルグル巻きにされて捕まる。
「ち、ちょっと待って! どういう事だ? 」
「いや、こないだから、俺は相手がいないのにお前等ばかりってグチグチ言ってたでしょ」
恋がニッコリ笑った。
「いや、これはおかしいだろ? 」
和真が叫んだ。
「なるべく美人さんを見繕ってくれるんですよね」
紅葉がアンナに聞いた。
「ああ、極上を用意した」
アンナがニヤッと笑った。
「こないだから、何か狙ってると思ったらこれ? 」
俺がカルロス一世に聞いた。
「ああ、随分、彼はたまっているようだったし、ヤマトの猛禽なんかも神族の新しい血が欲しいと言ってたのでな」
カルロス一世が凄い笑顔だ。ら。
「いや、ふざけんな! これは反則だろ! 」
和真がカルロス一世に向って叫んだ。
「いや、言い出したのは、この御二人だぞ」
カルロス一世が恋と紅葉を指差した。
「嘘だろ? 」
和真が唖然としてる。
「「がんば」」
恋と紅葉が笑顔で和真に言った。
「まあ、良い人生経験だ」
カルロス一世が破顔した。
「おい、祐樹! 止めろ! 」
「ごめん。でも、仲間が出来てうれしい」
俺が優しく笑った。
「ふざけんなー! 」
和真が叫びながら、連れ去られていった。
「今度会う時はパパだな」
クニヒト大佐がシ〇アの声で言った。
むぅ、諸行無常の響きありだな。