全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN 第四十九部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 どうしてこうなった 第五章
「俺からするともう追って来てないと思うが、どうか? 」
アポリトさんがそう皆に話す。
ちょっと深刻な御堂祐樹と修二さんを置いといて、こちらはへとへとである。
標高の高そうな場所やら、酸素の比率が違って苦しい場所とか、重力が地球と違う場所とかいろいろと転移したせいで精神的な意味を除いてもへとへとなのである。
「長い付き合いだから、一旦逃げにかかったら追いつけないと考えるとは思うだうろしな。ただ、転移に義兄とか甥とか以外に誰かいるのはばれていると思う」
心の師匠のカルロス一世の分析が鋭い。
「ああいう、転移とかやり方が違うって分かるんですか? 」
「なんていうか、力で強引に飛んでいく感じなんだ、御堂祐樹とか闇の創造主のやり方はな。だが、そこのピエロはすっと別の異世界に紛れ込む様に転移している。だから、その辺りの感覚で別のものが応援していると言うのは分かっていると思うぞ」
俺が聞くとべトールさんが答えてくれた。
なるほどなぁ。
創造主とかに近い感じだと強引に行く感じだってのは分かるような気がする。
良くも悪くも、そう言う性格だし。
「だいぶ待たせてしまっているから、急いだ方が良いのでは? 」
「これだけ転移すれば……」
などとピエロ達が話す。
「待ってくれ、ここから相手を索敵する」
などと御堂祐樹が話す。
相当な警戒をしている。
こちらの手の内を知り尽くしている相手だからかもしれない。
「……ええええと、やな予感がするわ」
などと御堂祐樹が索敵を途中で止めた。
「そうか、じゃあ、諦めて無いな。多分」
「ひょっとして、用心に索敵するところまで読まれて無いか? 」
「確かに、あるかも」
「俺の嫁もそう言う手を使うからな。用心に用心して、こちらが索敵とか様子を探るのを待っている。そこから追いかけてくるんだ」
心の師匠のカルロス一世が御堂祐樹に苦笑した。
「奥の院仕込みだな。戦闘巧者の母さんが良くやりそうな手だ」
「というか、そもそも血筋的には別なのに、何で無理矢理、自分の母さんにしたの? 」
御堂祐樹が修二さんに聞くと少し困ったような顔をしてから話し出した。
「いや、あの特殊な血がいるんだ。お前を混沌の女神の後継者などにするとは思っていなかったが、お前をより強くする必要があった。だから、頼んで俺の母として招き入れたんだが、あんな風に勢力を伸ばしてくると思わなかった。あまり、そう言うのは興味が無くて、武人みたいな性格だったのになぁ」
「育て方とともに、その辺りも失敗だったわけか」
などと祝融さんがきつい。
修二さんにしても苦笑いしている。
「どうするんだ? 動くのを待っているなら、多分、ずっと待っているぞ。俺の嫁達もそうだったし一か月とか信じられないスパンで待ち伏せするからな」
「えええ? 」
「約束の時間に間に合わない」
ピエロ達が心の師匠のカルロス一世の言葉で騒ぎだす。
「時間をコントロールすれば? 」
「それこそバレる」
涼月東の御堂祐樹への提案をあっさりと御堂祐樹は否定した。
かなり御堂祐樹の時間コントロールは特異な能力らしいので見つけやすいのだろう。
「来たくなかったんだがな。どうせ碌な話じゃないし。来たくなかったんだがな。碌でもない事にもなるし。本当に来たくなかったんだがな」
などと目の前に心の師匠のカルロス一世に似たチャラい男が現れる。
「お、お前はっ! 親友のカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスではないかっ! 」
などと御堂祐樹が驚いた。
「いや、お前の親友になった事は一度もないぞ? 」
冷ややかにカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスさんは答えるが、御堂祐樹はスルーして嬉しそうに彼の手を掴んでなれなれしく握手した。
凄くカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスさんは嫌そうだった。




