幕間 女媧(じょか)
「オーストラリアの人のいない所だったとはいえ、あれだけの範囲が消失すると、大量の行方不明者が……」
女媧がつき従うものから報告を受けた。
真っ黒な背広に黒いサングラス。
独特な強者の雰囲気を持つ黒服の男達が並ぶ。
女媧は拠点であるニューヨークの超高層ビルのエレベーターにいた。
「テューポーンがまさかこんな形で攻撃してくるとはね」
「どうも祐樹様の婚約者が関係してるようで」
「これを恐れていたのに。祝融はどこなの? 」
祝融様は孫の麗様の件で、出かけておられるそうです。
「参ったわね」
「後、ホアンは下半身を亡くしましたが、ドクトル・テスラが回収して、新型の神族から作った生物兵器と合体させたようで、ホアンはまた祐樹様を狙って出ていったそうです」
「そう。収拾がつかないわね」
女媧が自分の超高層ビルのワンフロアをすべて使った、自分の仕事場についた。
百人近いの黒服の男達が一斉に並んで頭を下げる。
目の前に初老の男が現われる。
クラックス財団のトップである某国の公爵だった。
「もう、ここまで被害が出れば放って置けません。真相の解明も必要です。祐樹様の状況を確認するべきです」
「……分かりました。もはや、それしか無いでしょうね」
「うちの宿六も逃げたままだし、このままでは婚約者問題で世界が滅びてしまう」
「はい、恐らく、厄介なのはテューポーンだけでは無いでしょう」
「うちの娘もいるからね」
「やはり、美月様も何かお持ちで」
「ええ、あの子も相当なものだからね」
「本当に厄介な事になりましたな」
「まあ、それ言われると、一番教育で大事な時期に宿六に任せてたのが間違いだったかもね」
本当に困ったように女媧が言った。
「出過ぎた事を言いました」
某国の公爵が頭を下げた。
「いいのよ。もう、腹をくくる時が来たと言う事よ」
女媧が言って、溜息をつくと、目を瞑った。
周りの者はそれが過去の状況を遡って見ている事だと分かる。
「はああああ? 」
突然、女媧が驚いたように叫んだ。
顔が真っ青になっている。
女媧がふらふらと自分の巨大なデスクの椅子に倒れるように座った。
「ど、どうなさいました? 」
公爵がすっと女媧の真横に近ずくと耳を近づけた。
「……男性器って喋るの? 」
「は? 」
女媧が震えるような小声で言った言葉で公爵が固まった。
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