第十九部 第五章 麗(れい)
コンチュエの首都フェイツィのユエディン港にアマゾネスの八隻の船が入港しようとして第一艦隊と睨み合いになっている
ユエディン港には衛将軍のグォクイ将軍とチアンウェイが軍を展開してた。
「しっかし、あの男、本当に女難の相なんだな。今度はアマゾネスかよ」
チアンウェイが呆れた顔をした。
「チアンウェイ様も心に素直にならねば……」
「いや、だから、あんなメンドクサイ奴は嫌だ」
「そんな事を言っていると余ってしまいますぞ」
「ちゃんといつか私にびったりの王子様が現われるから」
「ええええ? 」
チアンウェイにグォクイ将軍が疑わしげな目を向けた。
「それにしても、奴は居ないと言ったのに、まだ、騒いでるのか? 」
「探させろと言ってますな」
「厄介だな」
「こちらの威信にも関わりますからな。ただ、あれで神族だらけだし、恐るべき連中なのは間違いないので、戦うのも難しいですな」
グォクイ将軍が深刻な顔をした。
「だから、商売で来たと言う形で、我々を通してくれればいいのだ」
チアンウェイの前にアマゾネスが三人が現われる。
どれも、良く鍛えられた均整の整った身体をしており、美少女でビキニに近いような姿で、革の鎧を付けている。
中心の人物が代表のようで、金で作ったネックレスのような飾り付けを身体にまとっており、金髪碧眼でやや肌は褐色であるが白人の美少女と言っていい容姿だった。
「お前等、上陸は許してないはずだが」
「気にするな。見なかったことにすれば良い。こちらも急いでる。<終末の子>を攫って来たものが次の女王になる訳であるしな」
「……名前は? 」
「アマリア」
「相当、やるみたいだな」
「まあ、直系の神族だからな。お前と強さは変わらんよ」
「ふむ、なるほどな。そうなると、この話は、その辺が落としどころか」
「分かりが良くてありがたい」
「チ、チアンウェイ様! 」
「何、いないのは確かだし、問題は無かろう」
すると、衛士達がザワザワとざわめきながら、騒ぎ出す。
「どうした? 」
チアンウェイが言うと、向こうから異様な雰囲気を持つ、長髪で黒髪の女性が歩いてくる。
年齢は十六歳くらいで、凄い美少女だ。
軽装の革の鎧を付けているが、その強者が持つ雰囲気に気圧されたのか衛士達が遠巻きになった。
「なんだ? お前は? 」
「麗。<終末の子>がどうのと言うから聞きに来た」
「麗? 知らんな」
「<終末の子>だと? 何か知ってるのか? 」
アマリアが興味深そうに聞いた。
「彼は私の婚約者だ」
「はぁあああああああああ? 」
チアンウェイが叫んだ。
「ほぅ、婚約者だと、すまんな。あれは我々のものだ」
アマリアが小馬鹿にしたように笑った。
麗がアマゾネスの八隻の船を指差した。
ミサイルが次々と着弾して大爆発してアマゾネスの船が沈んでいく。
「こちらの奴らはやり方がぬるいな」
麗がくすりとアマリアに笑った。
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