第十九部 第二章 アマゾネス
「は? 何だって? 」
カルロス一世がココドウリロの間諜をやっていた男からの報告を聞き直したところから、すべてが始まった。
「はっ、いよいよ、アマゾネスの婿取りがはじまります」
「ああ、もう二十年たったのか」
「はい」
「あの時は俺の叔父が攫われたんだったな」
ほろ苦い思い出を思い出すようにカルロス一世が言った。
「ええ」
「親父殿がキレて、全軍あげて追撃したが被害が大きくてやめたんだ」
「はい、痛恨の事でした」
間諜の男が目を伏せる。
「いや、正しかったと思うぞ」
カルロス一世が芳香を楽しみながら紅茶を飲んだ。
すでに、かつての耽美な生活はなりを潜め。
今はちゃんと白い軍服に身を包み、国の運営に良き夫として精を出す日々であった。
「連中の強さ見てたら、マジで猛禽とか修羅クラスだもんな」
カルロス一世が複雑そうな顔をした。
「やはり、戦っても無理ですか」
「ああ、親父もココドウリロの全艦隊を半壊させられたし、今なら分かる。あれは手を出したらいかんものだ」
しみじみと経験からかカルロス一世が断言した。
「で、叔父はどうなったんだ? 」
「はい……精を吸い尽くされて亡くなられたとの事です」
「……そうか。弔いをせんとな。それと、俺も人の事言えんな、気を付けないと」
「何か言いましたか? 」
いきなりカルロス一世の背後に妻の一人のルイが立っている。
すでにお腹が大きいのに、動きは相変わらず俊敏のようだ。
「いえ、何でもありません」
直立不動でカルロス一世が答えた。
「そう、ならいいの。お腹が大きいから、あまり相手できないからゴメンネ」
「いえ、一日ノルマ一人二十回で十分であります」
嫁達のお腹が大きいのに、結局、一日六十回以上やってるカルロス一世であった。
「それにしても、アマゾネスと言えば、ヤマトの修羅や猛禽に匹敵すると言われた軍団。今回は一体誰にお婿さんは決まったの? 」
ルイがココドウリロの間諜をやっている男に聞いた。
「はっ、それが<終末の子>に決まったとの事」
カルロス一世が聞いて紅茶を吹いた。
「はぁああああぁぁぁ? 」
カルロス一世が動揺している。
「……まずいわね。あの子の許嫁って、私達とあまり戦闘力が変わらないから、大変な戦いになるわね」
「ええええええ? 」
カルロス一世が頭を抱える。
「そ、そうなんですか? 」
恐る恐る間諜がルイに聞いた。
「ええ。多分、巻き添えで国がいくつか滅ぶかも」
ルイが少し困ったような顔をした。
「ああああ、また、めんどくさい事になった」
カルロス一世が頭を抱えた。
「とりあえず、知らせにいった方がいいわね」
ルイがため息をついて言った。
夜勤明けで寝る前に投稿します。
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