第十八部 第十章 エピローグ
「ば、馬鹿な、我々の力が逆に良くないとは」
グリラが嘆いてる。
「我々は神の力で味を追求したのに」
グリルもショックを受けてる。
「素直に食材とか調理法を追求した方が良かったのでは? 」
俺が言った。
「しかし、それでは、我々の神としての意味が無い」
おおっと、すんごい発言だ。
「結局、神の力だけに頼るのはいけないと言う事ですよね」
クニヒト大佐がまとめた。
ちょっと、キャラ違わね?
自分が巻きこまれないと冷静な奴だな。
とりあえず、向こうで、カザンザキスさんからダグダ師匠まで、試食メンバーが凄い顔で吐いてるから、話をまとめる奴がいないのも確かだが。
「まあ、確かに、そういう事じゃの。わしも、もっと食材と調理法を追求した方が良いと思う」
樹老人が手厳しい。
「最初は我々も素材本来の見極めと調理法の工夫だったのだが、いつのまにか単に光をどのように浴びせるかに変わってしまったかもしれん」
「もう一度やり直しだな」
グリルとグリラが互いに肩を叩きながら抱き合った。
樹老人さんが二人を見て嬉しそうだ。
「さて、約束の方だが、どうしょうか? 」
グリラが俺に聞いてきた。
「では、ファウロスの人生やり直しの過程で、ファウロスの料理や事業とかを手伝ってもらえないでしょうか? 」
俺がお願いしてみた。
「ええ? こちらで事業させるの? 」
カザンザキスさんがせき込みながら聞いてきた。
「いや、考えがありまして」
「待ってくれ。腐ってもライバルだから、俺に対する援助はやめてくれ、憐れみは困る」
ファウロスが断った。
「いや、違う。お前の為じゃない。俺は本当にお前に事業として戦うライバルになって欲しいんだ。これは俺の為なんだ」
「なんだと? 」
「俺は早く、この<終末の子>なんてヤンチャな生活をやめたい」
「え? お前、本気で<終末の子>の仕事をヤンチャなどと思ってんの? 」
樹老人が呆れた顔をした。
「当たり前じゃないですか。勇者とか救世主とかついには<終末の子>とか、こんなの厨二ですよ。もう、大人にならないと」
俺が優しい目をして言ったら、樹老人がガチでドン引いてる。
「その、彼は今は犯罪者だし、このパトリダで営業するのは、その……」
カザンザキスさんが困ったような顔をした。
「いや、実はコネとか作ったのに、流石に私が進出しにくい国がありまして」
「コネ? 」
カザンザキスさんが不思議そうに聞いた。
「ああ、テーラか。あの警吏も出世してんだっけな」
「そうそう。第二王妃がカザンザキスさんの妹のマリナさんだし、こっちに再建込みで来てくれとか言われてるけど、行き辛い」
「なるほどな」
「え? なんかやったの? 」
深雪がじっと俺を見て聞いてきた。
「ちょっとした行き違いから、首都のグアルダを灰にしちゃってさ」
「「ええええ? 」」
深雪とさくらが驚いた。
「な、何で、そんな事を! 」
「いや、いつもの事だから」
「いつもの事じゃないでしょ」
「まあ、やり過ぎてアレクシアを滅ぼしちゃったしね」
クニヒト大佐が笑った。
「彼は、この世界最強のキリングマシーンだぞ」
ヨシアキ大佐も笑ってる。
「だからさ、こういう<終末の子>なんていうヤンチャもそろそろ卒業しないと」
俺がてへって感じで舌を出した。
「国を数カ国も滅ぼしてるのがヤンチャなんだ」
クニヒト大佐が突っ込む。
「本気で卒業する気か? 」
樹老人も突っ込む。
「当たり前じゃないですか、ちゃんと逃げずに卒業ですよ」
「こ、これ、もう無理じゃね? 」
樹老人がその場で崩れ落ちた。
「だから、頼む。向こうで事業を成功させてくれ。そこの二人の兄弟神さんと一緒にだ」
「……分かった」
「頼むぞ。ライバル」
言って、俺が堅くファウロスと握手した。
その後、ファウロスは、見た目が残飯なのに安くてうまいチェーン店を開きテーラで大成功をおさめた。
仕事中、何か珍しく凄く暇なんで、追加投稿。
昔、近所に安い早い不味いの三拍子揃ってた中華料理屋のチェーン店があった。
糞安いのと、入ったら、数分で飯が出るので、忙しくてお財布が寂しい私みたいなサラリーマンで繁盛してた。
酢豚定食とか、目の前でフライパン振ってすぐに作ってくれました。野菜乾いてカピカピだったけどwww