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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第十八部 第八章 料理勝負開始

「では、始める前に公平に行かないといけない」


 グリラが皆を見回した。


「は? どういう事? 」


「ここで、互いのパートナーを変える。つまり、私がそちらの男の方につき、グリルの方は女の方につく。これなら、実は最初に面子を決めていたなどと言う事も無かろう」


 グリラが言った。


「よかろう」


 グリルも頷いた。


 いや、どちらも最悪の選択なんで、ズルのしょうがないだろうに。


 審査員の皆が熱い涙を流している。


 こんなの単なる罰ゲームだろ。


「では、いよいよ始めようか。一応、料理するものはくじで決まった人で、一人は手伝いを入れても良い事とする」


 グリラがルールの説明をした。


「では、男の方に聞く、名前を何と言うのだ? 」


「ファウロスだ」


「良し、分かった。味の決め手は熟成された肉や骨などから出るダシだ」


 グリラがファウロスに言った。


 は?


 それだけ?


 誰でも知ってるじゃん。


「ふふふふ、やはりな。幸い今日はあるものを連れてきている」


 ファウロスが自信満々だ。


 持ってきてるじゃ無くて連れてきているとな。


 すげぇ、嫌な予感。


 ロウが鍋で湯を沸かしはじめる。


 ロウが手に持ってた袋から、ファウロスが鳥を取り出した。


「えーと、本気? 」


 俺が笑顔で聞いた。


「当たり前だ」


 ファウロスが笑顔で返して来た。


 涙が止まらない。


 だって、鳥のゾンビだもの。


「ちょっと、待て。マジかよ? 」


 ヨシアキ大佐が震えてる。


「見ろ。すでに熟成がはじまってるだろう。連絡用に連れて来たのだが良かった」


 うれしそうに暴れる鳥のゾンビを見せた。


 熟成で無くて、それは腐敗じゃないのか?


 しかも血まみれだし。


 ファウロスがざばりと鳥のゾンビを湯に入れた。


 ゾンビだから死なないで、お湯の中で暴れてる。


「羽のまま入れるのか? 」


 アポリトの声が息も絶え絶えだ。


「と言うか、死なないじゃん」


 いつまでも暴れる鳥のゾンビを見てヨシアキ大佐が顔を覆った。 


 マジか。


 料理勝負の序盤でこれかよ。


「いいか? 素材とは鮮度も大切なポイントだ」


 グリルがアオイに言った。


 また、くっそ当たり前の話。


 本当に料理の神様なのか?


「すでにミツキに頼んで手は打ってあります」


 ミツキとアオイのコンビで横のアポリトが昔のミツキの料理を思い出して、胃が痛くなったのか胸のあたりを何度もさすってる。


 バキバキと森の奥から音がしてる。


 ミツキが何か引き摺って持って来る。


 ドラゴンだ。


 仕留めた小型のドラゴンのしっぽを持って引き摺ってる。


「実は、深雪さんやさくらさんとの話からインスパイアされまして」


 アオイが満面の笑みだ。


 何をインスパイアされたのかと恐怖が止まりません。


 いきなり、準備された台の上に死んだ小型のドラゴンをミツキと載せた。


 いきなり、ムンとか言って、机の上でドラゴンを捌きだす。


 しかも、肉はスライスにして、ドラゴンの上に乗せている。


「そ、それはまさか……」


 俺が震えながら聞いた。


「はい、ドラゴンの活造りです」


 アオイとミツキの笑顔がまぶしい。


「これは通だね」


 ダクダ師匠が唸った。


 師匠、通とかのレベルじゃありません。


 そもそも亜龍人の貴方だと、これは共食いなのでは?


「なかなか、いい勝負だな」


 シ〇アが抜けたクニヒト大佐が自分は食べないので面白がっている。


 こいつ、最悪だ。


「やっぱり、あったわ」


 ミツキが笑って、アオイに渡した。


 わさびだ。


 こちらの世界にはわさびが自生してる。


 アオイが、それを擦ると醤油の横に添えた。


「素材が一番大切だから、鮮度の良い、このまま食して貰おうと思います」


 アオイがほほ笑んだ。


「え? 内臓はとらないの? 」


 ダクダ師匠がびっくりしてる。


「ああ、内臓にも苦みのあるコクがあるんです」


 ミツキが横で笑顔で言った。


 それ、焼いたさんまの話や。


 動物のはう〇こですがな。


 腸とかは臭みが出るから必ず切り離すだろうに。


 俺達にベアグリルスをやれと。


 今度はファウロスが暴れまくるゾンビ鳥を鍋から上げた。


「くっ、内臓が出てやがる」


 ヨシアキ大佐が震えてる。


 ゾンビ鳥が暴れすぎて、ドロリとした腸がはみ出てる。


 勿論、ゾンビ鳥はゾンビなんで暴れたままだ。


「うわぁぁぁああぁぁぁ! 」


 アポリトの顔が見た事の無い顔になってる。


「よし、味を決めるぞ」


 ファウロスが醤油と味噌と砂糖をぶち込んだ。


 適当にぶち込んでるようにしか見えない。


「ふぅ、出来た。ゾンビ汁だ」


 ファウロスが笑顔だ。


「えーと、お前自身の味見は? 」


「いらない。怖いから」


「お前、わざとやってねーか? 」


 俺がキレそうになる。


「心配するな、素材はばっちりなんだ。大丈夫だ」


「そんなんだから、食中毒が出たんじゃないのか? 」


 アポリトが怒ってる。


「分かってる。彼らの苦しみの為にも前を向いて頑張るさ」


 ファウロスがふっと笑った。


「何、良い話になってんだよ! 」


 ヨシアキ大佐がキレてる。

 

「よし、終了だな」


 グリルさんが言った。


「「「「「はあぁぁぁああぁぁあぁああああああああああああああああ? 」」」」」


 やばい、正気じゃねぇ。



 






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