第十八部 第七章 くじ引き
緊張の後、ファウロスとロウがくじを引いた。
そしたら、ファウロスが当たった。
その途端、アポリトの顔が凄くひきっつた。
「お、お前、あれから料理とか練習したのか? 」
「いいや」
ファウロスが首を振った。
「マジか……」
アポリトが絶望的な顔をした。
クニヒト大佐とヨシアキ大佐の顔が凄い不安そうだ。
「ええと、何かあるの? 」
俺が聞いた。
「いや、昔だがな、あいつがパトリダに居れなくなった理由の一つが、海賊の頭の連中が集まった会合であいつが料理を振る舞ってな」
「……聞かない方がいいのかな? 」
「いや、聞いておいた方がいい。それで俺はその日忙しくて参加しなかったんだが、全員亡くなってしまって、毒殺したって噂が流れたんだ」
「「「ほげげげげげげげぇぇぇぇ」」」
思わず、鼻水が飛び出る。
「そ、それは毒殺したんじゃないんだね? 」
少し震えてるカザンザキスさんに聞かれて、アポリトが頷いた。
「ち、ちょっと、これは駄目でしょ! 」
ヨシアキ大佐が叫ぶ。
「いや、くじは絶対だ」
グリルが言ったら、グリラも頷いた。
「えぇぇええええぇぇぇえええええ! 」
「心配するな。あれから五年も経ってるんだ。多分、きっと、恐らく、今度は大丈夫だ」
ファウロスが満面の笑みを浮かべた。
「その根拠は? 」
「無い」
ファウロスが思いっきり胸を張った。
何でしょう、この罰ゲーム。
今度はこちらのくじ引きがはじまった。
幸い、ミツキは外れだった。
ほっと胸をおろした。
ミツキが俺を睨んでたが、命には替えれない。
そしたら、アオイが当たりを引いた。
「はぁぁあぁうううぅぅぅぅ! 」
カザンザキスさんが心臓が止まったかのような顔をした。
すっげぇ、やな予感。
「ど、どうしたんです? 」
「アオイは十歳でこちらに遊びに来た時、皆にクッキーを焼いて振る舞ったんだが、食べたうちの半分が意識不明の重体に」
カザンザキスさんが震えたように小声で囁いた。
「「「ほげぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ! 」」」
「お爺様、大丈夫です。あれから六年も経っているんですよ」
「な、なるほど、料理の勉強をした訳だな」
「いいえ? 」
アオイが笑顔で答えた。
審査員の全員が総毛立つ。
「ちょっと、味の勝負なんだろ? いいのか? 」
俺がグリラに聞いた。
「くじは絶対だ」
グリラが言うとグリルも頷いた。
やべぇぇぇぇぇ。
何だよ、これぇええぇぇ。
「心配するな。料理の神様が一緒にやるんだ。問題ない」
樹老人が笑顔で俺達に言った。
「「いや、忠告するだけだ」」
グリルとグリラが答えた。
やばい、涙が止まりません。