全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN 第十一部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 それから 第五章
「性格が変わっているって言ってたよね」
「結構な」
「やっぱり、混沌は世界を改変しているのかな? 」
修二さんの話を聞きながら御堂祐樹が禊に聞いた。
「混沌様です。貴方は神子であるのですから、敬意を払うべきじゃないでしょうか? 」
禊さんがちょっとむっとしたように話した。
まあ、世界の創造主達の主宰者だと言う話なのに、とにかく御堂祐樹とか混沌と呼び捨てだもんな。
「いや、いきなり、私がお前の霊性の母親とか言われてもびっくりするだけだし」
そう御堂祐樹も困惑して答えた。
「いや、事実ですから」
「母親はいるからねぇ。前世はおらんけど」
「その前世のいわば母親なのですよ」
「そうなの? 」
「知らん」
御堂祐樹が修二さんに聞くと修二さんは首を左右に振った。
御堂祐樹も把握していないらしくて困った顔をしていた。
「まあ、いいや。とりあえず。母さんに連絡した後に、祝融さんに会う事にしようと思う」
「どこで? 」
「来るんじゃね? 」
などと修二さんが空を見たらヘリが数機飛んでいる。
「なんだ? 監視されてたのか? 」
「多分、12月家が連絡したんだろ。そのくらいはするわ」
そう修二さんが苦笑した。
「え? スマホに? 」
そう俺が呻く。
「特殊な回線使っていても、特定できるようにはしてるだろ」
そう修二さんが笑った。
「ど、どうするんですか? 」
「12月家に売られたって事か? 」
などと涼月東と叢雲さんが動揺していた。
「いや、スマホとか連絡するものは捨てて、どうしてもいるなら、逃げる前に新しくプリペイド式のスマホを作るとかしないと駄目でしょ」
御堂祐樹も苦笑していた。
そら、味方もちゃんとどこにいるのかは把握しているだろうしな。
「手打ちで良いよな」
「まあ、戦うならすぐに出来るし」
修二さんと御堂祐樹が物騒な話をしていた。
ヘリがこちらの海岸に降りてくる。
言われてみれば遠浅の海岸で砂浜になっていて、夏は泳げるからこそ、ちゃんとした公衆トイレもあって駐車場もでかかった。
今は誰もいないから、そりゃ降りて来るよなとヘリの大きな駐車場への降下を見守る。
そうしたら、ヘリから二人降りて来た。
というか、飛び降りて来た。
まだ、降下途中なんだけど……。
そこに、老人だけど目線の強いただものでは無い雰囲気を持っている祝融さんと長髪の黒髪の美少女が飛び降りて来た。
長い髪を戦うためか髪飾りで纏めている。
老人の方は車で襲撃してきたし、女の子の方はホテルに襲撃してきた子だ。
「やあ、お爺ちゃん久しぶり。それと麗ちゃんも」
御堂祐樹がそう話しかけた。
だが、二人とも御堂祐樹を睨むだけだ。
「な? 記憶が残って無いだろ」
「いや、寂しいな。あんなに仲良かったのに……」
修二さんに言われて、御堂祐樹が本当に寂しそうな顔をした。
「お前が御堂祐樹か? 」
訝しげに眼光鋭く御堂祐樹を祝融さんと言われる老人が見た。
「昔はお爺ちゃんって俺が呼んで仲良かったのに」
「そんな記憶は知らないがな」
「世界を一緒にあんなに遊びで破壊しまくったのに」
「え? 」
御堂祐樹の悲しそうな割に物騒な話で顔が少し歪んだ。
「いや、前に記憶が無いのかって聞いたじゃん。俺らは一応、そういう記憶があるから」
修二さんがそう横から話しかける。
しかし、祝融さんの訝し気な顔と警戒した雰囲気は変わらなかった。