第十八部 第六章 料理勝負
「何でじゃあああああ? 」
樹老人がグリラに叫んでる。
「いや、実は相談したいことがあってな」
「相談したい事? 」
樹老人が首を傾げる。
「お主が<終末の子>じゃろ? それなら、ちょうどいいと思ってな」
グリラが聞いた。
「ちょうどいいとは? 」
「うむ。実は素材を極めるのが目的のグリルと、調理法を極めるのが目的のわしと意見の対立が昔からあっての。とうとう、双方が我慢できないところまで来たのだ。それをどちらが正しいか料理勝負して決めたいと思っての」
「ほほぅ、料理勝負ですか」
「うむ。公平にお前達の仲間の一人とさっき離れていった連中のどたらか一人をくじ引きで選んで、双方で勝負して、どちらの方がうまいのか勝負したいのじゃ」
「なるほど」
「お前が望む事は、もし、この勝負をやってくれるのなら、わしらが手伝ってやろう。どうじゃな? 」
「それならば、こちらも文句はありません」
俺にしたら、願っても無い事だ。
これは棚からぼた餅と言うやつでは無かろうか。
「ふむ。昔からお主たち兄弟にとってずっと続いてる揉め事じゃな」
「うむ。素材か調理かという事じゃ」
グリラが頷いた。
「どちらも、大切な事だと思いますがね」
ダクダ師匠が首を傾げた。
そう言えば、師匠もグルメだったな。
「そうと決まれば、さっそくくじ引きじゃの」
いきなり、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、グリラにそっくりなコロポックルのようなおじいさんがいる。
その背後には、ファウロスとロウがいた。
ちょっとびっくりしたが、これなら話が早い。
「さて、どこで試合するかじゃが」
「それなら、ここでいいんじゃないですかね」
ムラサキが言った。
「一応、ここに、調理器具の鍋とかは私が大量に持ってきてますし、ミオさんにも塩と醤油と酒と味噌は持ってきて貰ってます。お米はあるんで、後はこの山の食材で勝負すると言うのはどうです? 」
「むぅ、それは良い話だ」
グリルが頷いた。
「わしも異存はない」
グリラも答えた。
「では、調理人は双方から一人、味はそうじゃの。一人は<終末の子>のお主と後、四人は誰かにして貰おう。そして、五人の投票でうまいと思った方の数で決めると言うのはどうじゃの」
グリルがそう聞いたのでグリラが頷いた。
「では、さっそく、審査員からくじ引きじゃの」
「ちょっと、待ってほしい。それだと、そちらの方が数が多いので、こちらが不利ではないか? 」
ファウロスが不安そうだ。
「いや、味に関しては私はそんな恥ずかしい事はしないよ」
ダグダ師匠が断言した。
「私も騎士として、嘘は言わない」
ヨシアキ大佐も胸を張った。
「俺も、一応、お前とは幼馴染だしな」
アポリトも答えた。
「ふむ、なら、今の三人と、お主で決めよう」
グリラがカザンザキスさんを指差した。
「これなら、どうじゃな」
グリルがファウロスに聞いた。
「いや……では絶対に嘘をつかないと誓うなら、信じよう」
ファウロスが少し悩んだが答えた。
「分かった」
「さて、料理人はお前等の二人だが、くじを引いて貰えるか?」
グリラが二本の棒を突きだした。
「さあ、引いてくれ」
グリラがファウロスとロウにくじの棒を突きだすと、にっこりとほほ笑んだ。
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