第十八部 第五章 グリラ
「とりあえず、お前、一緒に神様探すのは流石に無理だから、自分でやれよ」
俺がファウロスに言った。
「冷たいな」
「ライバルだろ」
「仕方ない。ロウ、別のルートを通るぞ」
ファウロスが仕方なく、ロウを連れて離れていく。
「ライバルと言われると流石に断れないようだな」
「まあ、うれしいんだろ」
アポリトが笑った。
「そうか」
「俺もあいつにライバルになって欲しい。そして事業を競い合って、成功したら<終末の子>からも卒業だ」
「なんでやねん」
樹老人の突込みが入る。
「いやだって、こんなの若いうちだけのヤンチャですよ」
「なんか、ヤンキーみたいな事言ってるし」
深雪が呆れてる。
「お前、<終末の子>から逃げないと言ったじゃないか」
「いえ、逃げてません。逃げずに卒業ですよ」
樹老人が口をあんぐりと開けて固まる。
「いいんですか? 」
ダグダ師匠が龍女さんに聞いた。
「いや、最近、こういうのもありかなと」
龍女さんが良い笑顔だ。
「ええええ? 」
「皆がドンドン駄目になっていくね」
シ〇アが抜けてきたクニヒト大佐がぽつりと呟いた。
俺が辺りを見回して、あちこちから、ここが良く見える場所な事を確認した。
「ココでいいかな」
俺が言って、樹老人の入った籠を降ろした。
「何をする気なんじゃ? 」
「あれを出してよ」
俺がミオに言って折りたたみの籠を拡げた。
それはたたまれてたのが拡がると、大きな大きなザルになった。
その巨大なザルを樹老人の上に被せると紐のついた棒でつっかえ棒して置く。
「おい……鳥を捕まえるんじゃないんだから……」
ヨシアキ大佐の声が怒りで震えてる。
「お前、神を何だと思ってるんじゃ? 」
樹老人も怒ってる。
「いえ、ちゃんともともと籠って呪物ですし、いろいろと編み込んであるので、これなら逃げれませんよ」
アオイが笑顔で答えた。
「ヤマトに娘をやるんじゃなかったな」
横でカザンザキスさんが静かに泣いてる。
「いやだとしても、こんなのでひっかかるか? 」
ヨシアキ大佐が馬鹿にしたように言った。
「そのとおりじゃぞ、引っかかる訳なかろう」
樹老人が頭を抱えてる。
「何をしてるのじゃ? 」
ザルの中の樹老人の横に顎髭の長いコロポックルのようなおじいさんが立ってる。
「はあああああああ? 何で来るんじゃあああああああ! 」
樹老人が叫んだので、ザルのひもを引っ張って、ザルを被せた。
「ああ、捕まってしもうた」
コロポックルのようなおじいさんがにっこり笑った。
こうして、料理の兄弟神のグリラが捕まった。