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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第十八部 第三章 ファウロス参上

「ふはははは、流石はライバル。その慧眼恐れ入った」


 いきなり、ファウロスの声がした。


 皆がキョロキョロとあたりを見回す。


「ふははは、ここだ」

 

 ラウンジの屋根の上から降りて来た。


 相変わらずの包帯ぐるぐる巻きでミイラ男だ。


 服も厚めに着ている。


「むぅ、なぜ、そんなところで」


「いや、上半身がヴァンパイアだから、家の人に招かれないと家に入れないの」


 素でファウロスが答えた。


 むう、律儀な奴。


「料理の神様を攫うとは、流石、ファウロス様のライバルというべきでしょうか」


 のそのそと上の屋根からそろりとロウが降りてきた。


「なぜ、そんなところに? 」


 カザンザキスさんが驚く。


「いや、お偉いさんの家に隠れた方が、食中毒の件で捕まりにくいと思って」


 ファウロスが素でまた答える。


「なるほどな」


「で、何なんだ、お前は? 」


 アポリトが呆れたように言った。


「いや、その神様、争奪戦に私も参加させて貰おうと思って」


「いつ、争奪戦になったんだ? 」


 俺がファウロスに聞いた。


「いや、ライバルだから参加しないと」


「いや、別に争奪戦じゃないし」


「待ってくれ。俺にはたくさんの人を食中毒にすると言う犠牲を出してしまったんだ。このままでは終われない」


「いや、責任取って無いから、逃げてんじゃないの? 」


「だって、海賊だもん」


「むぅ、正論だな」


 俺が頷く。


「え? 正論か? 」


 ヨシアキ大佐が納得いかないようだ。


「師匠が俺に言ったんだ。諦めたら、そこで試合終了ですよと。だから、私は諦めない」


 ファウロスが目を輝かせた。


 全く、迷惑な奴に言ったもんだ。


「私はたくさんの犠牲を出しながらも、戦い続けるのだ」


 ファウロスが胸を張った。


 横でロウが跪いて拍手する。


 いいコンビだなぁ。


「自分の犠牲じゃないじゃん」


 だいぶシ〇アが抜けたクニヒト大佐が突っ込む。


 むう、だいぶ、元に戻ったな。


「あんなゾンビに料理作らせたりするお前が悪いんだろ? 」


 ヨシアキ大佐が馬鹿にしたように言った。


「ゾンビが働いてはいけないと言うのか。それはヘイトだ」


 ファウロスがびしっと答えた。


 横でそーだそーだとロウが叫んでる。


「ヘイトだと? 」


「ゾンビになった人間に人権が無いと言う法律は無い」


「むぅ、なるほど、それはそれで真理だな」


 俺が答えた。


 ゾンビに対する法律なんて無いし、死体にも人権はある。


「でも、食品を扱うのに、あの不潔さはまずいでしょ。せめて、消毒するなり対応はするべきだったのではないですか」


 ヤニスさんがやはりスーパーの実質的な経営をしてるだけあって厳しい指摘を行った。


「いや、それはとりあえず置いといてだな」


 ファウロスが物を横に置く仕草で答えた。


 むう、やるな。


 横に置いとかれたらツッコミできない。


 流石はライバル。


「とりあえず、マルガリタリ山で料理の神様争奪戦だっ! 」


 ファウロスが俺を指差してびしりと叫んだ。


「なるほど。突っ込まれる話はうっちゃって、無理矢理争奪戦にしてしまうとは成長したな」


「ふふふふ、だから括目して見ろと言ったのだ」


 ファウロスが胸を張る。


「なんか、性格悪い方に行って無い? 」


 アポリトが呆れた。


「ヤマトが関わると全部悪くなるな」


 樹老人(じゅうじん)が顔を歪ませた。


「良かろう。お前と勝負だ」


「ふふふふ、我が成長をお前に見せてやる」


 俺とファウロスがごうごうと燃える中、皆がため息をついた。




 

 ブックマーク感謝いたします。


 後、黄泉山地獄様、ありがとうございます。

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