第十七・五部 第九章 ライバル
「ファウロス様、そろそろオープン前の準備をせねば」
ファウロスの所に、僧服を着た男が現われた。
例の異教の僧の一人みたいだ。
「ふふふ、私はロウと申します。共工様の件では負けましたが、今度は負けません。勝つのは我々です」
異教の僧が胸を張った。
「ふふふふ、師匠に戦争では勝てないなら、別の分野で勝てばいいと言われた! だから、私はお前に挑戦する為に、商売で戦う事に決めたのだ! 」
厚く着た衣装の特にコートをばっと広げて落として、ファウロスが叫んだ。
がすぐに、服が減って、身体が包帯だけだと熱いのかアチアチ叫んで、また服を着た。
むう、ヴァンパイアなのに勢いで昼に服脱いで格好つけて慌てる、この辺はいつものファウロスなんだが。
「良いだろう。お前をライバルと認めよう。商売で勝負だ」
俺も、ここまで言われたら戦わざるを得ない。
やっと、商売人として戦えると思うと少しうれしかったりする。
「ふっ、ライバルよ! 括目して待て! 」
ファウロスが少しうれしそうだ。
ファウロスとロウが胸を張って、自分の店の方に向かった。
すでに、ホロで被せてある二頭立ての馬車が、そこには八台くらい並んでいた。
ファウロスがばっと手を上げると、店の前に止まってたすべての馬車の大きなホロの中から、次々とゾンビが出てくる。
やはり、ゾンビなだけあって無茶苦茶、異様だ。
ゾンビの格好も血まみれだったりするんで、うちのスーパーの客がひそひそ言ってる。
「いくらなんでも、あれでは無理ではないですか? 」
イオニアスさんが呆れたような顔をした。
「いや、悪いけど、俺は買いに行きたくないな」
ヨシアキ大佐が苦笑いした。
「夜、買い物に行ったら悲鳴を上げそう」
「衛生的にどうなんだろう」
「無理なんじゃないの? 」
深雪もさくらもミツキも口々に貶してる。
いや、そりゃ、そうかもしれないが、俺としたら戦争なんてアホな事やるより、事業とか商売とかで戦いたい。
頑張ってくれ、ファウロス。
俺は戦争とかより、こっちをしたい。
せっかく、ライバル認定したのに、周りの評価が酷い。
俺は人件費を掛けないようにゾンビを使う、そのアイデアに驚いた。
でも見てたら、無理かな、俺でも買いに来ないよって感じの異様さだが。
それでも、頑張ってほしい。
もう、お金にならないし巻き込まれて疲れるだけの<終末の子>とかうんざり。
ここで、商売のライバルと競い合う生活に移行したい。
頑張れ、ファウロス。
俺は応援するぞ。