第十七・五部 第八章 まさかのファウロス
「ふふふふ、分からないですか? ゾンビ・ホッタの名で理解してくれると思ったのだが」
意味ありげに腕を組んで、全身を包帯で巻いた上に厚く服を被った男が言った。
「は? ゾンビ・ホッタ? 」
俺が驚いて聞き返す。
分かんないな。
誰なんだ?
大体、まだ夏だと言うのに、この服装じゃ熱いだろうに。
「……お、お前、まさか、ファウロスか? 」
アポリトが驚いた顔をした。
「「「ええええええええ? 」」」
ファウロスを知ってる者だけが驚いてる。
「ふふふ、やっと分かったか。そもそもゾンビ・ホッタで気が付けよ」
ファウロスが俺達に笑った。
「ど、どうたんだ? お前? 」
俺からしたらファウロスは襲撃してくるしかイメージが無いので、マジで驚いた。
「ふふふふふ、俺はあれからヤマトに行って師匠の元で勉強したのさ」
「師匠? 」
「ふふふふ、イジュウイン大公様だ。あの言葉、諦めたら、そこで試合終了ですよ。私はあれに本当に感動したのだ」
ファウロスが少し涙ぐんでる。
「……えっと、その言葉って……」
深雪が呟いた。
「安○先生の真似しやがったんだよ」
俺が小声で答えた。
「本当にこちらの人ってアニメオタクなのね」
さくらが目を輝かせている。
いや、それは喜んだらまずいだろ。
「見ろ。この名前を、イジュウイン師匠は私にすべてをさらけ出して戦えとおっしゃった。だから、私はこの名前をつけた。上半身はヴァンパイアだが下半身はゾンビだ。ヴァンパイアはまだカッコいいので恥ずかしいゾンビの名を使った」
ファウロスがこちらの声は無視して続けた。
「え? どんな身体してんの? 」
深雪が呟いた。
「デタラメな奴なんだよ」
俺が小声で返す。
「そして、ホッタ。これはパトリダの一部地方で使われる破格に安い時に使われる言葉だが、あえてこれを使ったのは、私の恥をさらす為だ。魚に掘られたからな」
「え? それでいいの? 」
俺が唖然としてる。
食品売ってるのに、魚のア〇ルオナニーの件を店の名前として看板に書くのか。
これ、イジュウイン大公、実は遊んでるだろう。
「看板の名前を変えろ。酷過ぎる」
アポリトが呆れ果てた顔をした。
「ほ、掘られたって」
さくらが驚いてアオイに聞いた。
「魚でア〇ルオナニーしてたんです」
アオイがはっきり言っちゃった。
そしたら、何故か、さくらが目を輝かせた。
「え? ひょっとしてさくらさん。腐女子なの? 」
ミツキが驚いて聞いたら、さくらが躊躇した後、頷く。
おいおいおいおい、何だよ、その衝撃発言。
「大体、費用はどうしたんだ? 」
「異教の金庫から、働いた賃金としていただいてきた」
「それは泥棒じゃないか? 」
「俺はそもそも海賊だ」
むう、正論だな。
海賊なら仕方あるまい。
「すでに、師匠から、歌にしてうちの店の宣伝をするように言われて、店の歌も出来ている」
「何だと? 」
確かに昔からキャッコピーとか歌ってとか言うのは宣伝で使われている。
なるほどイジュウイン大公は大公の位にあるだけはあるな。
「で、どんな歌なんだ? 」
アポリトがびっくりして聞いた。
「ゾン、ゾン、ゾン、ゾンビ~・ゾンビ~ホッタ~と言う感じだな」
「まんま、ド〇キホーテのぱくりじゃねーか」
前言撤回。
やっぱ、ろくなもんじゃねーや。
パクリしかない。
「しかし、最初は深夜とかお客が来ないし、大変なんじゃないですか? 」
ヤニスが疑問を呈した。
「それは問題ない。働くものの賃金はかからないからな」
「ど、どういう事だ? 」
流石に賃金がかからないと言うのはおかしい。
「何、簡単な事だ。看板の名前の通り、ゾンビが店員で朝から晩まで延々と働き続けるからだ」
ファウロスがしてやったりと言うふうに答えた。
何と言う事だ。
それは気が付かなかった。
ゾンビなら、疲労も睡眠も無い、死んでるからな。
こんな手があるとは驚いた。
「だが、食べるものはいるだろう」
アポリトが疑問を呈した。
「それも簡単だ。腐って売れなくなった商品を食べさせるだけだからな」
何という事だ。
廃棄を食わせるとは、何と斬新な。
むう、ゾンビのコンビニエンスストア、侮れないかもしれない。




