第十七・五部 第五章 パトリダへ
それから、女帝の所に行って、今までのお礼を言った。
そして、パトリダに帰る事を告げたら、チアンウェイを許嫁として連れて行くように催促が凄い。
チアンウェイが俺との話はデマだし、こんな野獣を旦那にしたくないと言った。
最初は女帝が勘違いで言ってるだけだったかと思ったが、後でグォクイ将軍からさらりとチアンウェイ様の相手がいないのですと内緒で言われた。
何でも、候補者が次々と名前が出た段階で、出来ちゃった結婚して逃げたり、知った途端に気絶したりして、ほとほと困ってるらしい。
まあ、うちの許嫁とタメはる強さだし、難しいのかね。
正直、チアンウェイは良い奴だと思うんですがと言ったら、お願いしますから是非に許嫁にと言われて、大変だった。
ヤマトの猛禽みたら天使に見えるぞ。
マジな話。
とりあえず、横で事件とか起きないかな、とか台風が来ないかなとかぶつぶつ言ってるカルロス一世叔父さん見ると、これに比べたらチアンウェイと結婚するなんて天使が巨乳で美少女で家に同居してるくらいハッピーだろう。
うん。
だいぶ元気になったアポリトと今後の商売について話しながら、豪華高速帆船でカザンザキスさんと樹老人と許嫁達と深雪とさくらとクニヒト大佐とヨシアキ大佐とダグダ師匠と乗って帰ることになった。
クニヒト少佐に関しては、深雪とサクラがリアルシ〇アとか言って騒いでた。
二人とも、実はオタだったりする。
まあ、まんまシ〇アだし。
「なんか、こう、いつのまにか仲良くなってるし」
甲板でわいわい言ってるアオイやミツキやミヤビ王女や龍女さんと深雪とさくらを見て思った。
「やっぱり、こういうのは身体を合わせちゃうのが一番ですよ」
ムラサキがニコニコしてる。
どこのエロゲのおっさんの考え方なんだよ。
横になぜか併走してるココドウリロの旗艦に乗ったカルロス一世が自国の方へ向かって行かない。
「叔父さん。こっち方向が違うでしょ! 」
仕方ないのでカルロス一世に向って叫んだ。
「は? 」
カルロス一世が耳をこっちに向ける仕草をした。
「いや、だから、こっちに帰ったってエテルノはありませんよ。反対方向です」
「分かってる! 分かってる! 」
と叫びつつも、こちらの豪華高速帆船に併走するカルロス一世率いるココドウリロの艦隊だった。
「本気で誤魔化して間違ってパトリダに来ちゃったってやるつもりか? 」
「まあ、気持ちは分かるぞ兄弟」
アポリトが哀愁が漂う表情をした。
「これでは道化だよ」
クニヒト大佐が池田〇一さんの声で言った。
姿は軍服は着てないが、まだシ〇アの姿のまんまなんで、深雪とさくらが後ろシ〇アだシ〇アだと騒いでる。
こいつ、ひょっとしたら、向こうに連れてけば金になるかも。
「なんか、悪い事考えてます? 」
ムラサキが俺をじっと見た。
「いや、商売の事かな? 」
「本当ですか? 」
「本当です」
ムラサキが疑いの目で見てる。
やれやれ、別にクニヒト大佐を見世物にして儲けても悪くないだろうに。
俺達の豪華高速帆船に併走してるココドウリロの艦隊の旗艦に、遠くから一直線にリンドブルムが飛んでくる。
アポリトとクニヒト大佐がびくっとした。
「ああ、誰も乗ってませんよ」
アオイが心配しないでもと言う感じで笑った。
リンドブルムはココドウリロの旗艦に降り立つと、口にくわえた手紙の筒をカルロス一世に突き出した。
カルロス一世が人生が終わったような顔をして立ちすくむ。
見てて辛い。
しばらく悩んだ後、震えながら、その手紙の筒を開けて読みだした。
読み終わると、その場に四つん這いに崩れ落ちた。
「ど、どうしたの? 」
ダグダ師匠が弟子の様子を見て心配そうだ。
「貴方の行動が叔母達にバレバレだったんですか? 」
俺が声をかけると、無言でコクコク頷いた。
せつない。
「無茶苦茶、尻に敷かれてるんですね」
ムラサキが言ったら、カルロス一世が甲板に突っ伏した。
それから、しばらくして立ち上がると、艦隊に命令して、反対方向のエテルノに寂しそうに帰っていくカルロス一世を見るのが辛かった。
「明日は我が身と言うからな」
池田〇一さんの声でクニヒト大佐が言った。
シ〇アの声で言わないでくれ。
ガチで心臓に悪い。




