第十七部 第九章 離脱
パトカーのサイレンが聞こえてきた。
これだけド派手にやればそうなるだろう。
とりあえず、この場所から引き離さいないと。
ケネスも聖樹装兵を着装した。
狼をイメージしてるんだろうか?
白銀の機体で、独特の毛皮では無いんだけど、毛皮の様に見える装甲をしている。
ケネスがウィリアム少佐の聖樹装兵をタックルで抑え込んだ。
良し逃げるチャンスだと思って飛び立とうとしたら、深雪とさくらが聖樹装兵に掴まってきた。
「逃げる気でしょ。また会えなくなるのは嫌だから、ついてくから」
深雪が俺をじっと見た。
「私もついて来ます」
さくらも強くしがみついてきた。
「いや、見てて分かるだろ、危ないって? 大体、親にはどう説明すんの? 」
俺が困って止めた。
「大丈夫。スマホで親には後で友達の家に泊まるって連絡するから」
えええ?
簡単に言うなぁ。
「チコはどうすんのよ」
「大丈夫、チコは一匹で帰れるから」
「チコが可哀想だろ? 」
仕方ないので、チコも連れて行く。
我ながら、何やってんだか。
ウィリアム少佐が俺を逃がすまいと、聖樹装兵のライフルを構えて撃とうとするが、ケネスの聖樹装兵に抑え込まれる。
これ以上はマジでやばいな。
仕方ないので、深雪とさくらを聖樹装兵で掴んで飛び立った。
「とりあえず、スキル高速逃亡」
俺の聖樹装兵が物凄いスピードで離陸する。
ああ、厄介な事になった。
どの道、どうにもならないな。
とにかく、ここから離れないと。
「待て! 逃げるな! 」
ウィリアム少佐が叫んだ。
「ちゃんと別の場所で相手してやるから安心しろ! 」
俺がウィリアム少佐に叫んだ。
「本当だな! 近いうちにお前に分かるように場所を知らせる! そこで一騎打ちだ! 」
「分かった! 今度こそケリをつけてやる! 」
はい、嘘です。
俺が行く訳ないし。
とりあえず、ここは大人しくしてくれ。
本当にこいつは一騎打ちにこだわるな。
つきあってられない。
そもそも、俺は商人だと言うのに、どいつもこいつも。
パトカーのサイレンが鳴る中で、とりあえず昔いた街を聖樹装兵で飛んで離れた。
これ以上の揉め事は困る。
そもそもホアンだって、先に猛毒の直刀を俺の心臓に目がけて刺してきたのは向こうだ。
正当防衛だろうに。
まあ、山が燃えてるのは申し訳ないが。
本当に、今日は疲れた。