第十七部 第一章 プロローグ
渦のような雲に呑まれた後、それでも飛び続けると真っ暗な闇が来た。
そして、激しい衝撃音がして、俺の聖樹装兵が止まった。
辺りを見回すとなんか巨大な豪華客船の上部にぶつかったらしい。
辺りから悲鳴が聞こえるかと思えば、銃撃された。
ええええ?
何で銃撃?
モニターで見ると男達がライフルと拳銃で俺の聖樹装兵を撃ちまくってる。
「ああ、怪しいものじゃ無いんです」
って言った後で、いや怪しいよなと思いなおす。
とりあえず、アサルトライフルくらいでは穴は開かないので、まあいいか。
撃たれながら周りを見ると、乗客らしい人達が拘束されている。
どうも、服装から元の世界らしい。
「あれ? ハイジャックですか? 」
と間の抜けた事を乗客に聞いた。
乗客が必死に頷いている。
「とりあえず、じゃあ、助けますね」
拳銃を撃ってくる奴を殴ると、壁にぶつかって動かなくなる。
ああ、これ、死んだかな?
どうしても、やり過ぎになるなぁ。
と思いながら、パキパキと銃を持ってる連中を手加減して叩き潰していく。
「見いっけたぁぁぁぁぁぁぁああ」
ぞくっとしたら、背後からウィリアム少佐の聖樹装兵に斬りつけられる。
慌てて、避けてライフルで撃った。
そしたら、当たった部分から、また、あの排泄物と嘔吐物が散る。
ほんげぇぇぇええぇぇぇぇぇ。
聖樹装兵の中にいるから分かんないが、恐らく凄い匂いだろうな。
「これは、やばい」
ウィリアム少佐が刀を横に振るったのを避けたせいで、ハイジャック犯が何人か巻き添えで真っ二つにされた。
ハイジャック犯が、その異臭と惨劇に悲鳴を上げて、皆、海に飛び込んで逃げ出した。
接近戦でライフルでやりあうのも難しいし、とりあえず、この客船を修羅場にしない為に、ライフルを乱射しながら、空に上昇した。
「あああああ、飛んだ」
「凄い、飛ぶんだ」
などと拘束された乗客が騒ぐ中、ライフルを乗客に当てないようにしながら、ウィリアム少佐の聖樹装兵に撃ち込んだ。
そのせいで、しょうがないのだが、さらに排泄物と嘔吐物が飛び散ってる。
しかも、相変わらずの鋼の心で、ウィリアム少佐の聖樹装兵が応射してくるのでこちらもキツイ。
何か疲れて来たので、とりあえず逃げる事にした。
「スキル高速逃亡」
メンドクサイ奴からは逃げるに限る。
「待て! ユウキ! 決着はついてないぞ! 」
ウィリアム少佐が叫んだ。
ほげぇぇぇぇ!
名前を呼ぶなや!
「ミドウユウキ! 逃げるな! 」
さらにウィリアム少佐が叫ぶ。
ああ、これ、終わってね?
名前が拡がるじゃんか。
とにかく、急いでその場を飛び立った。
それでも、ウィリアム少佐は、俺を追っかけてくるようだ。
もう、追いつけないだろうに、本当にしつこい。