第十六部 第六章 奇襲
「どういう事だ? 」
カルロス一世が聞いてきた。
「いや、なんか、様子がおかしい」
俺がカルロス一世に答えた。
「お兄ちゃんが言う時って当たるからね」
ミツキが立ち上がった。
「お前の義兄弟は使えないのか? 」
カルロス一世が再度聞いてきた。
「寝たきりです」
「そうか、大事な時に困ったな」
「ひょっとして、侵入されてない? 」
俺が言うと、ヂォンフォ将軍とリィシン将軍が立ち上がって、会議室を出て行った。
俺も轟天に手をかけた。
その時に船内から銃声がする。
それと同時に叫び声も上がった。
「あららら、やっぱり侵入されてたか」
「レーダーモニターでは見てたんだが」
チアンウェイが渋い顔をした。
「ぶっちゃけ、この旗艦に乗った時違和感あったから、俺が乗船する前から乗り込んでたんじゃないかな」
俺がいる船内を見回す。
「はぁぁあああぁぁぁぁぁぁ? 」
「どういう事なのかな? 」
カザンザキスさんが聞いてきた。
「まあ想像ですけど、兵士が囚われたのは分かってたから、別のパワードスーツが来た段階で、あれにパワードスーツだけ乗せて、中の人間はこちらの船に乗り込んで潜んでたんじゃないですか? 」
「いや、違和感があったなら、早く言え! 」
チアンウェイがキレた。
「いや、だってはっきりしなかったし。アポリトが居れば良かったんだけど」
「ちっ、アポリトが使えてれば。ヤマトの猛禽どもが……」
チアンウェイが苦々しい顔をした。
「とりあえず、行った方がいいかな」
「一応、ヴァンパイアと狼男は行かせたんだが」
「ああ、そんなのいたねぇ」
俺が思い出したように言った。
「向こうも銃持ってるけど、まさか銀の弾じゃないしね」
ミツキも笑った。
船で爆発音がして揺れる。
「ああああ、どうなんだろ」
「あの傷だらけの奴がスキルを使って、ヴァンパイアと狼男とやりあってるみたいだな」
チアンウェイが向こうからの連絡を念話で聞いてるようだ。
眷属とはある意味つながっているわけか。
「スキル? って事はこっち側の人間か? 」
俺が驚いたように言った。
「それか、神族でしょうね」
カザンザキスさんが言った。
扉がぶち破られて、ヴァンパイアが蹴り込まれてきた。
俺の目の前にヴァンパイアさんが転がる。
ヴァンパイアさんは結構ボロボロだ。
「なんだ、ここにいたのか」
顔が傷だらけの迷彩服を着た男が入ってくる。
俺がダグダ師匠にパワードスーツの頭を蹴られて、顔が見えていた男だ。
身長はカルロス一世と同じくらいか?
相当鍛えこまれた身体をしていた。
手から光のようなものが出てる。
「光の剣だ。気をつけろ」
チアンウェイが警告した。
「遅いよ」
顔が傷だらけの男が俺に向かって光の剣を振るった。
が、俺が下に転がってたヴァンパイアを蹴りあげるようにして盾にした。
ヴァンパイアさんが斬られて、絶叫する。
「お前! わが眷属に何てことを! 」
チアンウェイがブチ切れる。
「ちっ! 」
舌打ちした傷だらけの男が再度光の剣を振るう前に、俺が傷だらけの男に向けて、ふっと口を膨らませて吹いた。
顔が傷だらけの男が目を押さえる。
「含み針だと? 」
傷だらけの男が怯んだ瞬間に轟天を刀として使い連続の袈裟切りした。
すると傷だらけの男はヴァンパイアを俺と同じように蹴りあげて盾にして、それを受けた。
ヴァンパイアはボロボロである。
「き、貴様ら! 」
憤怒の声でチアンウェイが俺ごと傷だらけの男に手をかざした。
会議室の壁がぶっ壊れて、俺達が吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたダメージで傷だらけの男の持つ光の剣が消えた。
ちなみに、ヴァンパイアも巻き込まれて、甲板に転がっていく。
不死身じゃ無ければ、とっくに死んでいるだろう。
俺は吹き飛ばされながらも身体の回転ごと前転しながら刀を振って、そのまま傷だらけの男に斬り込んだ。
しかし、傷だらけの男が腰から抜いたアーミーナイフでそれを受ける。
「お前、忍者かよ」
傷だらけの男が失笑した。
と同時に斬り込んだ傷だらけの男を見もせずに立ち上がりながら金的蹴りをしたが、相手の足に遮られた。
むぅ、こういう時に足元を見もせずに蹴る金的蹴りは結構いけるんだが、これを防ぐとは。
やはり、強い。
俺と傷だらけの男が睨み合った。