第十六部 第三章 スカーフェイス
こちらに向かってくるパワードスーツは全部黒塗りで、これはあれか?
黒い三〇星とでも言いたいのか?
などとガ〇ダム思い出す。
と思ったら違った。
横に並んで突っ込んできた。
ミツキとアオイの攻撃で、下のボートが破壊されたが、気にせずジャンプして、こちらの豪華高速帆船に乗り込んでくる。
手に持ってるのは斧だ。
「バイキングかよ」
俺が言いながら、聖樹装兵のライフルを刀に変えて斧ごと相手のパワードスーツの右手を斬り落とした。
が、そいつは気にせずタックルして来た。
俺の聖樹装兵を掴んで離さない。
「良くやった。これで終わりだ」
真ん中のパワードスーツが斧で振りかぶってきた。
やばい、やられる。
逃げるために、聖樹装兵を上に逆噴射させて、下の甲板をぶち抜いて、船内に落ちることで避けた。
「おおおおっ」
斧を俺の聖樹装兵に斬りつけてきたパワードスーツを、斧を空振りしたタイミングでダグダ師匠が蹴りあげた。
パワードスーツの頭部が吹き飛んで、顔面に切り傷だらけの男がいた。
三十近い年齢だろうか、白人だが顔から歴戦の勇者っぽいイメージがある。
どっかで、こいつは見た事あるな?
人を覚えない性格だが、何故か覚えている気がした。
甲板が抜けた事で俺の聖樹装兵を掴んでいたパワードスーツの手が緩んだので、聖樹装兵で合気道の崩しに近い動きで相手の体を崩して、袈裟蹴りにパワードスーツを斬りつけて、掴んでた奴は破壊した。
俺に踏み込んで頭部が吹き飛んだパワードスーツ以外の残りの一機はチアンウェイと斬り合いして右手が破壊されたようだ。
チアンウェイも着装している聖樹装兵の左手が破壊されている。
「なかなか、やるな。坊主」
にやっと顔面に切り傷だらけの男が笑った。
俺が飛びながら、袈裟蹴りでその頭部が吹き飛んだパワードスーツに斬りつけるが、それをさっと避けるとパワードスーツが甲板から飛んだ。
すると、さらに三機のサーフボードのボートに乗ったパワードスーツの新手が来た。
そいつらは、俺達の船の横をすり抜けるように通って、頭の取れたパワードスーツと左手が壊されたパワードスーツを飛び乗らせて回収して去る。
「あ、逃げてしまう」
俺が甲板からライフルを構えるが、乗っている船が揺れている上に、流石に左右に激しく蛇行しながら行くサーフボードを見て断念してミツキを呼んだ。
「ミツキ、リヴァイアに頼んで、あいつらに猛爆攻撃をかましてくれ! これで終わりだ! 」
「やめんか! 」
チアンウェイが叫んだ。
「馬鹿じゃないの? そんなのしたら、沈みかけてるこちらの船が猛爆攻撃で起こった津波で全部沈むだろう? 」
カルロス一世が俺の事をボロクソに貶した。
「えー? ああいう手あいはやれる時にやっとかないと後で後悔するよ? 」
俺が不服そうに言った。
「「いや、味方の船の事、考えろよ」」
同時にチアンウェイとカルロス一世に呆れたように言われた。
「とりあえず、シーサーペントに後を追わせてます」
アオイが教えてくれた。
「ナイス、じゃあ、本拠地が分かったら猛爆攻撃いこう」
俺が笑った。
「相変わらず、怖い奴だな」
カルロス一世が呆れて呟いた。