第十五部 第七章 燐女(りんじょ)参戦
燐女さんの声のした方を見て慌てる。
「何あれ? 」
そこに、全長三百メートルはありそうな宇宙船が浮いてる。
「嘘だろ! 蒼穹船かよ! 」
和真が叫んだ。
「え? 蒼穹船? 」
俺が龍女さんを見た。
が、龍女さんはアオイモードでこちらを気にもしてない。
振り向きもしないで、一心不乱に恋にライフルを乱射している。
怖すぎて声がかけれない。
「むう。麒麟族の蒼穹船か。あんなものこんなとこで戦闘に参加させたらまずい」
樹老人の声が震えてる。
「な、何が起こってるのだ」
チアンウェイがようやく追いついたらしく、聖樹装兵で聞いてきた。
「みんな、壊れた」
俺が答えた。
「お前のせいだろうがぁぁぁぁ! 」
和真が絶叫した。
え?
俺のせいなの?
「我が夫の為に燐女が成敗いたします」
燐女さんが叫ぶと同時に、蒼穹船の砲門が全部空いて、大量のビームを発射した。
ビボラの王都が市街地が次々と炎上し爆発する。
戦争してた兵士達が争って逃げだしてる。
王都の一般の住民も逃げてる。
思ったより、住民の数が凄く少ない。
戦乱が続いて、殆どいなくなってるのかもしれない。
そんな中、ミツキとアオイと恋と龍女さんが聖樹装兵で殴り合ってる。
もう、ライフルとかまだるっこしい事は言ってられないようだ。
ごうごうと燃えさかる炎の中で、聖樹装兵で女の掴み合い殴り合い。
単なる泥試合になってる。
何と言う修羅場。
どうしょう。
それでも、怖くて止めれない。
だって、にんげんだもの
みつを
和真の方は愛染明王型の聖樹装兵のライフルで蒼穹船を撃つが効いてない。
和真が慌てて愛染明王型の聖樹装兵に対艦対地ライフルを装備させた。
「そこの蠅は五月蠅いですね」
燐女さんが言うと同時に、蒼穹船のビームが和真の愛染明王型の聖樹装兵に集中した。
流石に、愛染明王型の聖樹装兵は対艦対地ライフルを捨てて逃げる。
何発かビームを食らうが致命傷は避け続けてる。
本当にあいつ凄腕なんだな。
「おいぃぃぃぃぃ! 逃げるぞ! 恋! こりゃ駄目だ! 」
和真がビームの回避行動をしながら絶叫した。
「ちくしょう! ちくしょう! 祐樹君の馬鹿ぁぁぁ! 」
恋が半べそかきながら叫んだ。
え?
「俺が悪いの? 」
カルロス一世に聞いたら頷かれた。
和真が愛染明王型の聖樹装兵の背中から、何かの小型の爆弾みたいなものを出した。
蒼穹船に向けてそれを投げると爆発して、物凄い光を出した。
「へー、目くらましと撹乱の炸裂弾か。やるねぇ」
ダグダ師匠が何か嬉しそうだ。
物凄いスピードで赤い二体の聖樹装兵が逃げていく。
「逃がしません! 」
燐女さんが叫ぶと、絨毯爆撃のようにビームを炸裂させた。
聖樹装兵には当たりもせず、ビボラの王都が次々と破壊されていく。
ビボラの王都は結局、完膚なきまでに破壊された。
助けに来たんだが、滅ぼしに来たんだか分からない。
「なぁ、何やってんだ? 何しに来たんだ? 」
チアンウェイが動揺して叫んだ。
いや、それ、俺が言いたいんですけど。
「ちょっと、やばすぎない? 」
カルロス一世の呟きが心に響く。
だが、話はこれで終わらない。
「後で、話があります」
轟然と燃えさかる炎の中で、三機の聖樹装兵が飛びながら、俺に言った。
まあ、言ったのはアオイなんだけど。
地獄の業火の中で鬼が三人みたいな感じだ。
すげぇ、怖い。
何、この罰ゲーム。