第十五部 第三章 突撃
早速、真っ暗な中、聖樹装兵で飛ぶ。
今回は龍女さんとカルロス一世と今回はダグダ師匠を入れて四人だ。
ミツキとアオイとチアンウェイは、まだ慣れてないと言う事で、遥か後方で樹老人と一緒に飛んできてるはずだ。
とりあえず、教えてもらったレーダーモニターには映ってる。
そして、驚いた事に、正面モニターも夜間対応できるらしい。
知らなんだ。
本当に昼間に近い位見える。
今まで、何やってたんだか。
本当に何も知らないから、教えてもらうたびに、龍女さんから、これでよく戦えてたなと驚かれる始末だ。
とりあえず、俺が画面上の見たいもの集中して見る事で自動でピントを合わせてズームにも出来るみたいで、結構、高性能なんだなと今更ながらに驚いた。
「ああ、こりゃ、前から仲の悪かった叔父の公爵が国王の追放を目指して軍を上げたようだな」
カルロス一世が呆れたように呟いた。
「ほう、大事件でないか」
龍女さんがため息ついた。
「いや、毎年やってんだよこいつら」
カルロス一世が小馬鹿にするような言い方だ。
「毎年? 」
「ああ、昨年は王弟とやりあって、それで弱ったからってんで、叔父が乗り出して来たんじゃないか? 」
カルロス一世がさらに呆れ果ててる。
「金山が王都の近くにあってな。それを手に入れたくて、ずっと争い合ってるってのが、この国の年中行事だ」
嫌な行事だな。
毎年やってんのかよ。
「とりあえず、君らの言う愛染明王型の聖樹装兵が攻める側にいると言う事は、国王の叔父側なんだろうね」
ダグダ師匠が言った。
「あ奴、こないだもエーデルハイトを操りよったからな。こういうのをあちこちやってるのかもしれん」
龍女さんが答えた。
「あれ? 画面にもう一体反応がある」
俺が気づいて聞いた。
「もう一体いるのか。厄介だな」
カルロス一世がため息ついた。
そろそろ王都が見えてくると、あちこちが炎上していた。
モニターで見る限りは、攻める側も略奪の限りを尽くしてるみたいだ。
こりゃ、駄目駄目な戦い方だな。
もし、勝って、叔父側が国王になっても、国民から恨み骨髄じゃん。
女性を襲おうとしてるのを見た龍女さんが次々と遠距離射撃で襲ってる兵士を撃ち殺した。
女性を襲ってた兵士の身体が吹っ飛んでミンチになってる。
完全にオーバーキルです。
「弱いものを襲う奴は許さん」
龍女さんが怒ったようだ。
「ここは、女性が弱いんだな」
カルロス一世がため息ついた。
「そうですね」
俺も同じように思わず呟いた。
「……一体、何があったの? いや、なんか、こないだの件で分かるけど」
ダグダ師匠が本当に驚いてる。
むー、普通は女性って襲われるもんだよな。
何故か、ほっとする自分がいて嫌だ。
その時、今度は遠距離射撃で撃たれた。
二体の赤い聖樹装兵が上がってくる。
赤備えかよ。
一体は普通の聖樹装兵でカルロス一世と同じワニ型の奴だ。
そして、もう一体はあいつだ。
愛染明王型の聖樹装兵だ。
こないだやられた事が思い出される。
「ハザマーっ、今度はこっちからやってやるぞ! 」
俺が愛染明王型の聖樹装兵に向かって叫んだ。