第十五部 第一章 プロローグ
さすがに、ロリはまずいでしょ。
燐女さんにまで手を出すわけにいかず、しんどいのに睨み合いは続いていた。
ムラサキとかユイナは横でむくれてる。
もう夜になってるのに、この状態は辛い。
と、そこへ樹老人がテレポートして来てくれた。
「おおお、起きてたか、良かった。少し甲板に出てきてくれ」
樹老人が慌ててる。
「いや、出たいんですが、この人が離してくれないんです」
俺が燐女さんを見た。
「どうにか、離せんのか」
樹老人が困った顔をした。
「無理です」
「困ったもんじゃの? 結構、緊急なんじゃが」
樹老人が焦ってる。
「緊急なら、仕方ありませんな」
言いながら、龍女さんが立ち上がると、燐女さんを掴んだ。
「ひぇえええぇぇぇ! 龍女お姉さま、やめてぇぇぇぇぇ! 」
燐女さんが叫ぶ。
いきなり、スタンガンでも食らったような衝撃が俺の全身に走る。
「んごっ! 」
燐女さんが変な声出して固まった。
俺にも凄い衝撃が来てんですけど。
龍女さんがそうやって無理矢理、燐女さんを引っぺがした。
燐女さんが気絶してる。
すげぇな。
俺も食らってるんだけど。
「我が夫は大丈夫か? ショック攻撃じゃ。まあ、加減はしてるが」
龍女さんが満面の笑顔だ。
結構、全身が痛い。
笑えません。
「それと、龍女殿も来てくれ」
樹老人が頼んだ。
「何かあったんでしょうか」
アオイが聞いた。
「うむ。こないだ、愛染明王型の聖樹装兵がいたじゃろう。恐らく、奴がやってるのようなのだが」
樹老人が深刻な顔をしている。
「え? またあいつが? ハザマだっけ? 」
俺が驚いて答えた。
「和真でしょ? 何で、お兄ちゃん、すぐ忘れんのよ」
ミツキが呆れたような顔をした。
「いや、嫌な体験からみの人間の名前は覚えないようにしてるから」
「良く、それで生活できてたのぉ」
樹老人も呆れたようだ。
「いや、だって、にんげんだもの」
俺が笑顔で答えた。
「その、フレーズ好きだよね」
ミツキがため息ついた。
「俺の座右の銘だ」
俺が笑顔で答えた。
「いや、お前、人間じゃ無いし」
樹老人が真顔だ。
「はああああぁぁあああ? え、比喩で無しに? 」
俺が聞くと、樹老人が無言で頷いた。
「……」
とりあえず、聞かなかった事にしょう。
うん。




