第十四部 第十一章 麟女(りんじょ)
思ってたより、相当な遺跡だった。
聖樹装兵と同じ材質だろうか?
壁も相当頑丈で、何らかのせいで、入り口が空いてしまったらしい。
目の前にサラマンダーのトカゲ型自走式の聖樹装兵が居てびびる。
武器を構えると反応すると嫌なので、構えずに警戒しながら前を通る。
結構、心臓がバクバクいってるのに、龍女さんは楽しそうにずんずんと中に入っていった。
「ほう、間違いない。我らが眠った当時のものだな」
龍女さんがあたりを見回した。
良く分からん、聖樹で出来た機械のようなものがある。
結局、植物型マシーンなのだろうか?
「本当ですね。私達が眠る前のもので間違いないです」
ダグダ師匠も答えた。
紋章で分かるが、二人から流れてくる感情は懐古と故郷に対する気持ちのようだ。
役目の為に数千年も家族と離れて眠る。
それは相当の覚悟と使命感があるのだろう。
でも、それがあっても故郷への憧憬は捨てられないと言う事か。
まあ、当たり前だな。
ちょっと、俺もセンチメタルになって、むこうの世界で家族でワイワイやってた時代を思い出す。
「一体じゃないな。何体もサラマンダーのトカゲ型自走式の聖樹装兵がある。とりあえず、一体だけ出ていたようだ」
カルロス一世が用心深げに探ってる。
「むう、この扉の奥が怪しいのぅ」
龍女さんが聖樹装兵で刀を出して、扉を斬り落とす。
扉が真っ二つになって下に落ちた。
その騒音とともにサラマンダーのトカゲ型自走式の聖樹装兵が動くのかと思い、一瞬にして俺とカルロス一世が臨戦態勢に入る。
「大丈夫だ。敵意は無いみたい」
ダグダ師匠が笑った。
師匠が言うなら、そうなのだろうけど、流石に怖い。
サラマンダーのトカゲ型自走式の聖樹装兵は十機くらいある。
近接戦だし、動きだしたら流石にこっちも致命傷になるだろう。
しかし、豪胆と言うか、どちらかと言うと施設が懐かしいのだろうか。
龍女さんは気にせず、次々と扉を斬り落として奥に向かっている。
「皆、女性はたくましいな」
カルロス一世が呟いた。
「えええ? 本当に何があったの? 」
ダグダ師匠が本気でカルロス一世に驚いてる。
「まあ、いろいろあったんです」
カルロス一世の切ない声がつらい。
あんまり、俺も状況変わらんからなぁ。
ふと、目の前を見ると、龍女さんが扉を斬り落としたところで、止まっている。
「どうしました? 」
少し、様子がおかしいので、俺が声をかけた。
龍女さんが部屋の中央を指差した。
そこは結構大きなドーム状になっており、中央に卵のようなむカプセルがあった。
「誰か、いる」
龍女さんが呟いた。
誰かいるって?
はあ?
また、新たな人かな?
俺達が近づくと亀甲文字のような文字が書いてあって、それを見て龍女さんが固まってる。
「な、なんであやつが……」
龍女さんが呟いた。
「え? ご友人ですか? 」
「いや、友人ではないが……どうするか……」
深刻に悩んでらっしゃる。
「とりあえず、着装をときますか。ここに、サラマンダーのトカゲ型自走式の聖樹装兵を動かす警戒用のシステムはつながって無いようですし」
言いながら、ダグダ師匠が着装をといた。
なぜ、そういう事が分かるのか、さっぱり分かんないが、とりあえず、続いて着装をといた。
龍女さんも着装はといたが、真剣に悩んだままだ。
「どうしょうか。このまま眠らしてた方がいいのか」
龍女さんが呟いた。
もう、それだけで理解した。
トラブルメーカーのヤバイ人が眠ってるんですね。
「……とりあえず、帰りましょうか」
俺が笑顔で皆に言った。
ヤバイ話は避けないと。
だって、にんげんだもの
みつを
ところが、突然、その卵が開きだした。
「え? え? え? 」
俺何にもしてないし。
「くっ、<終末の子>が来たら開くように設定してたな」
龍女さんが舌打ちした。
扉が開くか開かないかの一瞬で金髪の金色の角を持った物凄い綺麗な女の子が出てくる。
でも、13歳くらいか?
ちょっと若すぎるし、真っ裸だ。
出るとこも微妙だな。
ところが、その子があっという間に俺を押し倒した。
「やっと、お会いできましたわ! 」
言うが早いか俺にディープキスをした。
なんじゃ、これ。
ねちねちと舌が口の中で俺の舌に絡んでくる。
13歳くらいの幼女がやる事で無いし。
「こら! われの夫から離れんか! 麟女っ! 」
龍女さんが激怒している。
「おや、麒麟族ですな? 」
ダグダ師匠は冷静だ。
俺がタコのように離れないディープキスを無理矢理剥がして貰おうと、カルロス一世を見たら、カルロス一世が震えながら、入ってきた扉の向こうを見て固まってる。
そこに、聖樹装兵が二体いた。
なんで?
と思ったら、着装をといてミツキとアオイが現われた。
鬼の形相である。
こんな怖い顔初めて見た。
やばい、小便ちびりそう。