第十四部 第六章 剣聖ダグダ
「とりあえず、腹がすいてないか? 良ければこれを食べろ」
ダグダさんが俺に串に刺した肉を差し出した。
一口食べてみると、うまい。
「うまいです」
俺が嬉しそうに頬張った。
マジでうまい。
「はははは、だろう。香草と塩も海草のしっかりした奴を一緒に煮詰めて作った特別製だ」
ダグダさんが屈託も無く笑った。
つまり、昆布塩と言う事だろうか。
しかも、強火の遠火で焼いてらっしゃる。
この方は間違いない。
グルメだ。
あれ?
でも、俺のこと知ってたような。
「しかし、こんなところで<終末の子>に会うとは本当に奇遇だな」
ダグダさんが笑った。
「……あの、どうして私が<終末の子>だと」
「ああ、私も聖樹装兵乗りでな。すべての聖樹装兵はつながっているから、誰がどうしたと言うのはある程度は分かるよ。特に君は始動でちゃんと飛んで見せたし、戦ってるしな」
「あ、そうなんですか」
「ああ、いきなり飛ぶのも無茶苦茶だし、すぐに操作を出来るのも、ある意味、本当に凄い事だよ」
ダグダさんが笑いながら答えた。
なるほど、それで樹老人が異常だって言ったんだ。
「今回の暴走も、ぶっちゃけ、君の能力の上昇に聖樹装兵が追いついて無いからそうなるんだ」
ダグダさんがじっと俺を見た。
「……その、出来ましたらダグダさんは、私に聖樹装兵のコントロールを教えてくれませんか? 」
俺がダグダさんにお願いした。
カルロス一世の長生きしたければ……と言われた事も実は気になってた。
「弟子はカルロス一世でこりてるからなぁ」
ダグダさんが苦笑した。
「へ? カルロス一世の師匠なんですか? 」
「おや、カルロス一世を知ってるのかい? 」
「はあ、叔父です」
「え? そうなの? 確か、<終末の子>はヤマトに産まれるんじゃなかったかな? エテルノじゃないよね? 」
「いえ、いろいろありまして、叔母がカルロス一世のとこに嫁いだもんで」
詳しく知らないみたいなんで、濁しておこう。
だって、にんげんだもの
みつを
「へー、あいつがねぇ。なまじ才能があるから、天狗になっちゃって、女の子もとっかえひっかえしてたのに結婚したんだ。それは驚いた」
ダグダさんが思い出したかのように苦笑した。
やっぱり、とっかえひっかえだったんだ。
因果応報だな。
「ふーん。これも縁だな。良し、あまり教えるのは得意じゃないんだが、出来る限りは教えてあげよう」
ダグダさんが頷いた。
「すいません。どうかお願いします。ダグダ師匠」
俺がダグダさん……師匠に頭を下げた。
「師匠とかまで言わなくて良いよ」
笑いながら、ダグダ師匠が言った。
「いえ、そんな」
「それより、もっと肉を食べな。一杯焼いてるから」
ダグダ師匠がニッコリ笑った。
無茶苦茶良い人だ。
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