第十四部 第二章 貞操帯
「なんだ? ノルマが一日十回になってないか? 」
俺が起きると、まだ他の皆は裸のまま、すやすやと寝てる。
まずい。
まずい。
このペースで回数が増えると絶対に産まれてしまう。
べいびーが。
「二十歳のパパ? 」
小声で呟いてみる。
そしたら、寝てるはずのミツキやアオイがぴくっと動いた。
怖い。
何かの呪文なんだろうか。
とりあえず、また、コンチュエでしたように朝のもう一度などと言われたら困るので、静かにそろりとベットを降りて、いそいそと服を着て外に出る。
段々、この逃げるのがうまくなってしょうがない。
こんなのは慣れたらとんでもないぞ。
とりあえず、王宮の迎賓館の廊下を通る。
あちこちにこないだの爆発のヒビが入ってる。
やばいな。
とりあえず、いたたまれなくなって、中庭へ行くと、綺麗な庭園になっていた。
「ほぅ」
こういうのは結構センス良いよなと思いながら歩いてると、二十メートルくらい先にあるベンチにクニヒト大佐がいた。
慌てて、俺は庭園の木の陰に隠れた。
左右には数名の妊婦の嫁さんがいて、真ん中にまるでロダンの考える人のような形で固まったシャア・アズナブルがいる。
クニヒト大佐の容姿がまんまシャアなんで、等身大のフィギュアを見るような感じだ。
「赤ちゃんが……」
「もうすぐ生まれる……」
数名の妊婦さんが呟くパワーワードがきつい。
「鼻血が出そうだな」
いきなり背後から小声で話しかけられて、振り返るとカルロス一世がいた。
「おおおっ、何してるんですか」
俺がカルロス一世に小声で聞くと、カルロス一世がクニヒト大佐を指差した。
「とりあえず、散策するつもりで出て来たら、あの姿を見てな」
カルロス一世の顔色が悪い。
「むぅ」
俺が言いながら胃が痛くなってくる。
「まだ、俺の嫁もお腹が小さいのだが、あれが俺達の未来なんだな」
カルロス一世の声が少し震えている。
俺達のって、辛い。
「孕ませすぎだろ」
後ろからチアンウェイが呆れたように言ってきた。
相変わらず、テレポートをいきなりしてくんなよ。
「びびるから、やめて」
俺が言うと、チアンウェイがふんと鼻で笑った。
「どいつもこいつも、私が言うのもなんだが、下半身がただれすぎだな」
チアンウェイがクニヒト大佐だけでなく、カルロス一世にもキツイ目を向けた。
あれ?
カルロス一世が好みで無かったのか?
えらく冷たいな。
「貴方も、あんなもの嫁に着けられて恥ずかしくないのですか」
チアンウェイがカルロス一世にキツイ。
「いや、そう言われてもだな」
カルロス一世が困った顔で答えた。
あれ?
貞操帯の事か?
本当につけてたんだ。
せつない。
でも、なんで知ってるんだ?
「あれ? カルロス一世のとこに夜這いに行ったの? 」
俺が驚いてチアンウェイに聞いた。
「違うわ! 」
チアンウェイが顔を真っ赤にして叫んだ。
「偶然、事故で見られたんだよ」
カルロス一世も困った顔をした。
「……本当につけてるんですね」
俺が哀しい目で聞いた。
カルロス一世も哀しい目で見返してきた。
なんだよ、この国の常識は。
うれしさのあまり、あらすじに入れてしまいましたが、PV10万超えました。
本当にありがとうございます。
また、ブックマークを本当にありがとうございます。
ちょっと、投稿がずれてすいません。