第十三部 第十九章 決着
いつものしゅんって感じで無く、しゅぼぼぼって感じで海から強力な火箭が俺のおろす高濃度酸素の所へ届く。
高濃度に圧縮された酸素が上空から送り込まれたお蔭で、直撃ポイント辺りは到達前に、すでに猛火になっていた。
そこに、最大最強の猛爆攻撃が届く。
「ちょっと待て! ちょっと待て! おいっ! 」
爆龍王ゴウオウが叫んだと同時にピカッとなって大爆発が起こる。
盆地を囲む山が爆風で上側が削られてる。
その猛爆攻撃によって、スルトの足元は大きく崩れ、深く深くえぐれた。
そして、その大きな穴にスルトの足元の大地が崩れ落ちた。
スルトがその巨大な穴の底あたりに横たわった。
そこに、巨大な穴の端が崩れて大量の海水が入って来る。
そして、全身に海水を一気に浴びたスルトの高温の身体で水蒸気爆発が起こった。
もはや、山の陰で震えてるしかないくらいの大爆発だ。
大地が凄まじく揺れる。
「おいおいおいおい」
カルロス一世がうめいている。
「我が夫は過激じゃのう」
龍女さんはそんな中でも平然としてた。
火山の大噴火を思い出すような巨大な爆煙が上がっている。
さすがに、スルトの姿は見えない。
「これで、いくらなんでも、吹っ飛んだか? 」
俺が呟いた。
「おぉぉおおおぉぉぉぉぉおお! 」
爆煙の中から、叫び声が聞こえる。
嘘だろ?
あれで生きてるのかよ。
爆煙の中から、身体を乗り出してきたスルトは流石に全身がひび割れ、左足は吹っ飛び、右手もこなごなになって剣は無くなって四つん這いになっていた。
俺が聖樹装兵の刀を出すと強く強く念じた。
「俺を大事に思ってくれる人達の為に、悪いけどここで終わりにして貰うよ」
俺が刀に強く念じると刀の長さがニ十メートルくらいに長大に伸びた。
そして、その刀は激しく赤く輝いた。
俺が強く強く念じながら、一直線にスルトの所へ走った。
走って、渾身の力を刀に込める。
これで、終わらす。
必ずだ。
全身が輝き始めて、異常な力が刀に集まってくるのが分かる。
絶叫をあげながら、スルトの首に向かって連続のタイ捨流の袈裟斬りの連続でスルトの首を斬り落とした。
スルトは首を斬り落とされると同時に、身体が土くれに静かに戻っていった。
「ごめんね」
俺が思わず呟いた。
爆発の後の爆煙はしばらく止まらなかった。
「恐ろしい奴」
後ろでそれを見ていたカルロス一世が唖然としてる。
「よくやった」
樹老人がテレポートしてきて俺に言った。
「みんなは? 」
俺が不安そうに聞いた。
「大丈夫じゃ。ちょっと、いろいろと酷い事になっておるが、皆、無事じゃ」
樹老人が笑顔で答えた。
いろいろと酷い事ってのが凄く心配だが、とりあえず、皆が無事ならいいか。
今回は本当にしんどい戦いだった。
「おや? 爆龍王ゴウオウは? 」
樹老人が聞いてきた。
「あ、そう言えば」
俺が慌てて見回すと龍女さんが遥か先の小山を指差した。
そこに上半身が突き刺さった爆龍王ゴウオウがいた。
「嘘だろ? 死んでしまったのか? 」
俺が思わず呟いた。
「生きとるわ! 」
爆龍王ゴウオウが山を崩して上半身を起こした。
腕も変な方に曲がって、身体はボロボロだ。
「お前、ちゃんと作戦はどうなのか言えや! 」
爆龍王ゴウオウが激怒してる。
「あ、無事か。良かった」
「良くない! 」
爆龍王ゴウオウがじたばたして怒った。
「まあまあ、わしが治してやるから」
樹老人が宥めた。
それを見て、とりあえず、俺がほっと一息ついた。
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