第十三部 第十四章 愛染明王型聖樹装兵(あいぜんみょうおうがたせいじゅそうへい)
愛染明王をモチーフにした聖樹装兵は迷うことなく、俺に向かって来た。
俺がライフルで狙撃するが当たらない。
三本の左手にそれぞれ盾らしきものを持って、一直線にライフルを構えて撃ってくる。
龍女さんとカルロス一世もライフルを撃つが見事に三つの盾ではじかれた。
「特別製の盾だな」
カルロス一世が舌打ちした。
「愛染明王をモチーフにしたカスタムタイプだな」
龍女さんが冷静に分析してるようだ。
「やっかいじゃの」
樹老人が呻いた。
「一面六臂型は、相当動かすのが難しい筈なんだがな」
カルロス一世が感嘆してる。
愛染明王型の聖樹装兵がライフルを撃ちながら一気に距離を詰めてくると、斧で俺のライフルを破壊した。
俺もライフルを斧で破壊されると同時に、相手のライフルを蹴り落とした。
愛染明王型の聖樹装兵が斧を振り回しながら、もう一つの右手で剣でついて来た。
その剣に足を乗せる様にして、俺が相手の愛染明王型の聖樹装兵を斧を避ける様に飛び越えた。
「やるな」
愛染明王の聖樹装兵が嬉しそうだ。
飛び越えながら、回転して再度ライフルを俺が念じて出す。
この再生能力だけはオリジナルの突出した能力らしい。
相手の注意がこちらに向いたすきに、一気にカルロス一世がライフルを撃ちながら、相手の愛染明王型の聖樹装兵に距離を詰めた。
愛染明王型の聖樹装兵が構えていた盾の一つが炸裂して、たくさんの金属のようなボール球を弾丸のように打ち出した。
カルロス一世の聖樹装兵が腕でブロックしながら、致命傷を避ける。
カルロス一世の聖樹装兵の腕がズタズタになった。
「ちっ、自己補修能力は普及型だから、あまり強くない。これではしばらく戦えんな。あんな隠し玉があるとは」
カルロス一世が舌打ちした。
その隙をついて、龍女さんの聖樹装兵が愛染明王型の聖樹装兵の上空の背後からから当たる形で飛びながら何度も体当たりする。
愛染明王型の聖樹装兵がそちらに盾を再度かざそうとすると、龍女さんは自由落下する形で落ちる様に回避した。
「すげぇ、何と言う腕前」
俺が思わず感動した。
「感動してる場合か」
カルロス一世が言った。
どうも、俺に固執してるらしくて、回避行動に移った龍女さんの方は無視して、一直線に俺の聖樹装兵に向かってくる。
ライフルで次々と狙うが愛染明王型の聖樹装兵の残りの二枚の盾で受けられた。
愛染明王型の聖樹装兵が右手の斧と剣を振りかぶってきた。
俺がライフルを投げ出す形で、愛染明王型の聖樹装兵の斧を使わせた。
俺の投げつけたライフルが斧で破壊されて四散した。
と同時に俺が刀を出して、連続の袈裟斬りを相手に見舞う。
相手の剣を持つ手を斬り落として、相手の愛染明王型の聖樹装兵の肩口から腹の付近まで斬り裂いた。
愛染明王型の聖樹装兵に乗っている相手の姿が剥き出しになった。
そこには高校生の時にもめた、悪夢にも出た同級生の顔があった。
「久しぶりだな御堂祐樹! 」
そいつはふてぶてしく笑いながら俺に叫んだ。
おれは何とも言えない気分になって思わず呟いた。
「……誰? 」
夢では見たが本当に名前が分からない。
いつも、読んでいただいてありがとうございます。
ブックマークを本当にありがとうございます。




