第十三部 第十三章 敵の聖樹装兵(せいじゅそうへい)
聖樹装兵で俺が三機で並んで飛んでいる。
それに爆龍王ゴウオウとワイバーンが三十匹ついてきてる。
結局、ミツキとアオイが引かないので、聖樹装兵の種子を手の紋章に入れてもらい、とりあえず着装はせずに、頭が三つあるワイバーンに乗ってついてくることになった。
樹老人もついて来た。
チアンウェイはコンチュエの面子がかかってるかららしいので来たがったが、万一があると困るヤマト側の事情で、連合艦隊側に乗ってもらう事になった。
戦力になるかどうか分からんが眷属のヴァンパイアと狼男もチアンウェイと一緒だ。
キョウカさんとかミヤビ王女も今回は海側から旗艦艦隊に乗って連合艦隊とともに北上する事になった。
勿論、こちらにはシーサーペントとリヴァイアさんも同行してる。
アポリトはリヴァイアさんの関係上、艦隊に残って貰った。
正直、ミツキとかアオイがついてこなかったら、適当に逃げてたと思う。
だって、にんげんだもの みつを
「本当に、これ、勝てるのかね? 」
俺が呟いた。
「意外とネガティブなんだな」
カルロス一世が驚いたようだ。
「いや、だって、共工すら勝負にならんかったし。これ、無茶なんじゃないかな」
俺がため息ついて答えた。
「それが分かるなら急げ。封印が解ければ勝てるか分からん」
樹老人が必死だ。
一直線に空から向って、迎撃が無いわけは無く、敵側のワイバーンが上がってきた。
竜騎兵と言う奴か?
すべてに騎士が乗っている。
百匹……百騎か? 以上いるのだから、相当な数だが無慈悲な爆龍王ゴウオウの連続火炎攻撃で、次々と敵の竜騎兵が落ちていく。
攻撃力が違うから仕方ないよな。
こちら側のワイバーンも戦闘にはいるが、純粋に戦闘に特化してるわけで無いので、訓練が足りないせいもあって、ワイバーン同士はかなり分が悪い。
とりあえず、スーパーの宅配便もして貰う大切なワイバーンを守るために、聖樹装兵のライフルで次々と竜騎兵を俺とカルロス一世と龍女さんで落としていく。
「お前、威力は凄いが訓練足りないんじゃないのか? 」
カルロス一世が俺の腕を見て言った。
確かに竜騎兵の動きが早いので微妙にずれてるが威力があるので、かすって落としてる感じだ。
「だって、商人だし」
俺がカルロス一世に返答した。
むう、これはこれで便利な言い訳だな。
「もう少し、練習しとけ。長生きしたいならな」
カルロス一世がため息ついた。
「ユウキ殿。それは言えてるぞ。せっかくのドラゴン型のオリジナルでは無いか」
龍女さんもドラゴン型だが、普及型の超高スペックタイプらしい。
「まあ、生きて帰ったらそうします」
俺がしょぼんと答えた。
「ちょっと、お兄ちゃん元気出してよ」
ミツキが割り込んでくる。
せつない。
と、その時、凄い嫌な予感がして、ミツキの乗ってる三つ首のワイバーンを抱くと、飛びながら押した。
「ち、ちょっと、何すんの? 」
ミツキが慌てて叫んだ。
そこに光の帯が通る。
相当なエネルギーだ。
「こ、これは……」
龍女さんが驚いた。
「間違いない。向こうにも聖樹装兵がいる! しかも、かなり高スペックな奴だ! 」
カルロス一世が叫んだ。
真っ暗闇の中を薄い光をまといながら、一機の聖樹装兵が上がってくる。
真っ赤な機体で、愛染明王をモチーフにしてるようで一面六臂の機体だ。
三本の左手には盾を持ち、三本の右手にはライフルと剣と斧が握られていた。
「厄介な事になったな。時間が無いのだが」
樹老人がぼやくように言った。
見るからに、相手に強い奴が持っている気配を感じた。
相当、やる奴だな。
また、しんどいことになりそうだ。