第十三部 第五章 ココドウリロの合流
しばらく先を進むと、すべての船がいきなりゆさりと揺れた。
「何事だ? 」
国王がいぶかしげに聞いた。
「下に、ココドウリロの時にいた、例のワニがすべての船に何頭かずつ背中の器具でくっついてきてるよ」
ミツキが言った。
「はああ? 」
あれ?
こっちと戦うの?
それと同時に連合艦隊のすべてとパトリダの豪華高速帆船のスピードがあがる。
さらに、向うの方から、並ぶようにココドウリロの艦隊が併走してる。
「敵意は無いから、船のスピード上げてくれるみたいね」
ミツキが笑った。
「私もそう思います」
アオイも笑顔だ。
「あまり、急がなくて良いのだけど」
元気の無いクニヒト大佐が横で呟いた。
その横ではアポリトが身震いしてる。
「なるほど、少しでも早く遠くに行きたいんだ」
ぽつりと俺が呟いた。
「そうか、それが分かるようになるとは」
横で国王が目をうるうるさせている。
「やはり、お前もヤマトの男だな」
宰相もうるうるしてる。
やめてくれ。
アオイとミツキの目が少し怖くなってきた。
察するなよ。
「あ、リンドブルムだ」
俺が話を変えようと、ココドウリロの旗艦から飛んでくるリンドブルムを指差して言った。
「叔母さんのリンドブルムだね」
ミツキが言った。
アポリトが途端に震えだす。
「ああ、大丈夫。カルロス一世しか乗ってませんよ。借りたんでしょ」
アオイが言った。
まあ、そりゃ、お腹が出てきたらしいから、叔母さんは乗らないわな。
リンドブルムからジャンプして飛び降りるかのように白い礼装の軍服姿のカルロス一世が飛び降りてきた。
物凄い鮮やかな降り方だ。
日の光を浴びてキラキラと金髪が風に舞っている。
耽美系にはたまらんやろな。
「義兄上、まいりましたぞ」
カルロス一世が優美にあいさつした。
「良く来てくれた。わが義弟よ。本当に助かる」
国王が右手を差し出して、カルロス一世と握手した。
「かっこいい」
チアンウェイが横で頬を染めて、ぶつぶつ言ってる。
え?
耽美系が趣味なんだ。
「おお、我が甥よ。元気そうだな」
カルロス一世が俺を見るなり、両手を広げて俺を抱きしめた。
ただ、抱きしめながら、微妙に隠した手で俺をグリグリやってくる。
全然、中身は変わんないじゃん。
「いえ、叔父上。幸せそうな結婚、おめでとうございます」
俺もお礼を言いながら、見えない所で、カルロス一世の脇腹をぐりぐりやった。
「はははは、元気そうで何よりだ」
とカルロス一世も再度俺を拳でぐりぐりやった。
「いえいえ、叔父上ほどではありませんよ」
と言いながら、俺も拳でぐりぐりやり返す。
「何をやっているんだ。お前」
チアンウェイが俺を責めるように言った。
「いや、こういう仲なの」
俺が答えた。
「そうそう、気にしないでくれ」
カルロス一世も答えた。
「なるほど、気の置けない男同志の仲と言う事だな」
チアンウェイが納得したように言った。
「「は? 」」
俺とカルロス一世が素で唖然とした。
なんでやねん。