第十三部 第三章 依頼
爆龍王ゴウオウと言い合いしてる間に、国王と宰相と、ここにいるイジュウイン大公以外の公爵達の面々が走ってこちらに来た。
「こ、これは? 」
国王が爆龍王ゴウオウを見て驚いた。
「こちらは……」
「爆龍王ゴウオウだ」
俺がぼっち王と言うのを遮るように爆龍王ゴウオウが自ら答えた。
「「「「「おおおおおおおお! 」」」」」
国王と宰相といつもの面々が感嘆の声をあげた。
「これは本当に助かった」
国王がうれしそうだ。
助かったって言葉で、もう、マジで嫌な予感しかしない。
「……何が助かったの? 」
仕方ないので俺が聞いた。
「実はな緊急のヤマトからの連絡で、北方のエーデルハイトが不可解な動きをしてるらしい」
「はぁ、それで? 」
「ヤマトの首脳がすべていないのを感づかれたのかもしれない」
宰相が真剣な顔で言う。
「全員でコンチュエに来るからだろ? 」
当たり前やん。
何考えてんだかわけわかんない。
「いや、そうはいってもだな。今後の為にも大国コンチュエとの連携を……」
「それなら、国王だけとか宰相だけとか、少なくとも将軍は置いとくべきでしょうが」
「むむむむむむ」
国王が困った顔をした。
イジュウイン大公とかサイトウ公爵とかが顔を見合わせている。
「何があったの? 」
俺が聞いた。
「昨日、お前は新型の精力剤飲んだろ」
国王が真剣なまなざしで俺を見た。
「ああ、二つな」
あんたらのせいなんだが……。
「実はあれが開発されてから、皆、えらい事になっちゃって」
「……逃げて来たわけか」
国王と宰相とイジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵とフジワラ侯爵が同時にコクリと頷いた。
「あれ、どんな疲労時でも効くから、今日は調子が悪いで逃げれなくなってな」
国王のまなざしが真剣だ。
「そ、そんなもん、俺に使うなよ」
俺がキレそうになった。
「そこはそれ、親心だろ? 」
国王が優しい笑顔だ。
「いらんわ。そんな親心」
「……それで野獣みたいだったわけだ」
チアンウェイが頬を染めた。
「いやいや、今、その話言わんでくれ」
「え? コンチュエの皇太女さんともしたの? 」
宰相が驚いた。
「「してません」」
俺とチアンウェイが同時に答えた。
コンチュエの衛士達がさわさわしてる。
やめろよ。
「夜にいきなり、俺の部屋にテレポートして来たらしいんだ」
俺が頭をかきながら、国王とかに説明した。
「……すまん」
チアンウェイが少し赤くなって答えた。
「ああ、最中にテレポートしたのね? 」
「とりあえず、ああいう、やばいもんは開発するなよ」
「しかし、あれはあれでヤマトの特産品だからな」
国王が悩んだ顔をしてる。
どんな特産品なんだよ。
「とりあえず、もう送って来ないで」
「まあ、それはそれとしてだな。とりあえず、お前にヤマトに来て貰いたい」
「はぁあああああぁ? 」
横でアポリトが震えだす。
「兄弟。それはちょっと」
「俺も嫌だよ。散々、俺達猛禽とか修羅とかにやられたのに」
「そこを何とか、頼む。どうも、状況が厳しい。修羅や猛禽にはお前たちに絶対に手を出さないように、嫁とかから特別に命令出させるから」
国王が手を合わせて拝むように頭を下げた。
「いや、でも」
俺が凄く嫌な顔をした。
アポリトの顔も歪んでいる。
「私からもお願いできますか。どうも、あまり良くない予感もしますので」
カザンザキスさんが後ろから走って来て俺に頼んだ。
カザンザキスさんに頼まれると弱い。
「絶対、絶対、猛禽や修羅には手を出させないから」
国王と宰相といつもの面々が拝むように必死に頼んでくる。
「えええ」
「他の聖樹から連絡が来た。なるほど、エーデルハイトの聖樹がおかしいのか」
樹老人が言った。
「やはり、そうですか」
カザンザキスさんが答えた。
「やはり、行かねばなるまいよ」
樹老人が俺を見た。
「「ええええええええええ」」
俺とアポリトが凄く嫌な顔をした。
「わしはどうしたらいいのかの? 」
爆龍王ゴウオウが俺に聞いた。
「はいっ、一緒に来ていただければ、是非とも歓待いたしますので、爆龍王ゴウオウ様」
国王が揉み手をするように勝手に答えた。
「むぅ、そこまで言うなら行ってやるか」
あぅ。
爆龍王ゴウオウ、ちょろい。
ええ、行くの?
なんか、凄く嫌な予感がするわ。
俺とアポリトが顔を見合わせた。