第十三部 第二章 爆龍王ゴウオウ
その後、イジュウイン大公とアポリトと俺はポツンとその場に立っていたが、いつまでもいるわけにいけないので、自室に帰ろうかと思ったら、王城の中庭で騒ぎが起こっている。
「なんだろうな? 」
イジュウイン大公が中庭の方を覗いた。
「兄弟。行ってみるか? 」
俺達が中庭に出ると、そこに爆龍王ゴウオウがいた。
たくさんの衛士達が震えながら、遠巻きにしている。
王城よりでかいからビビるわな。
「な、なんだ、あれは? 」
横にいたイジュウイン大公が驚いてる。
「何してんの? ぼっち王」
俺が爆龍王ゴウオウに話しかけた。
「ぼっちじゃ無いから」
爆龍王ゴウオウが答えた。
相変わらず、ノリが良いな。
まわりの衛士達が俺がこのドラゴンと知り合いだと分かって、ほっとしてる。
「なんじゃ、このドラゴンは? 」
いきなり、また、チアンウェイが現われて、俺に聞いた。
少しチアンウェイの顔が赤い。
イジュウイン大公がびくっとしてる。
「ほら、いきなり現われるのはやめてって言ったのに」
「ああ、分かった。昨日、骨身にしみた」
「昨日? 」
俺が怪訝な顔をした。
「昨晩、お前に話があって、部屋にテレポートしてな」
チアンウェイが顔を赤らめながらモジモジ言った。
「あぅ」
こいつ、やってる最中にテレポートしてきたのか。
「お前、結構、野獣なのな」
「やかましいわ。ちょっと考えろよ」
「すまん。まさか、あれだけの戦いの後にしてるとは思わなんだ」
「俺もそう思うわ」
非常に気まずい。
全然気が付かなかったわ。
「お前等、変な話はいいから! 共工とやらはどこだ! 」
爆龍王ゴウオウが叫んだ。
「え? 助けに来てくれたの? 」
「龍女様もいるのだ。当たり前だろうが」
爆龍王ゴウオウが真面目に答えた。
結構、良い奴なんだな。
「何者だ? このドラゴンは? この大きさだ、ドラゴンの王なのだろうな、風格も違う」
チアンウェイが感心したように言った。
「ぼっち王です」
俺が爆龍王ゴウオウを皆に紹介した。
「ぼっちじゃ無いと言ってるだろうが! 」
「爆龍王ゴウオウだ」
アポリトが横で笑った。
衛士達が一斉に後ずさりする。
イジュウイン大公がその場にへたり込んだ。
チアンウェイも驚愕してる。
そんな、騒ぐことか?
「ドラゴンの王の中の王ではないか」
チアンウェイが驚いたまま言った。
「え? そうなの? 」
「そうだぞ! 少しは敬わんか! 」
爆龍王ゴウオウが叫んだ。
「え? ぼっちなのに? 」
「やかましいわ! わしにこんな事言うのは六千年以上生きてるが、お前が初めてだ! 」
爆龍王ゴウオウがじたばたして叫んだ。
「おや、ゴウオウでないか」
樹老人もテレポートしてやって来た。
「おお、樹老人様、このアホに言ってやってください」
爆龍王ゴウオウが俺を睨んだ。
「無理じゃろ」
樹老人がため息ついた。
ひどい。
「しかし、良く来たの。とりあえず、共工の件は終わったぞ。遠かったろうにありがとうの」
樹老人がねぎらった。
「え? 終わったのですか? 」
爆龍王ゴウオウが゛きょとんとしてる。
「え? 」
本当に意外だったみたいで、爆龍王ゴウオウが唖然としてる。
「でも、来てくれてありがとうな」
俺も頭を下げた。
「お前が御礼だと? ……何かの凶兆の始まりか? 」
爆龍王ゴウオウが失礼な事言った。
「何かが起こるかもしれんの」
樹老人も不安そうだ。
なんでやねん。
今回は二十章あります。
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