第十二部 第十二章 決着
「さてと、敵に廻った以上。これで何もせずに帰るわけにはいかんからな」
親父が俺をじっと見た。
殺気がほとばしった。
「そのパワードスーツは何なの? 」
俺が聞いた。
勿論、時間稼ぎの意味合いもある。
「分かってるくせに。お前達の聖樹装兵と戦うために、こちらの世界が開発したものだ」
親父がにやりと笑った。
「父さん」
ミツキが親父に話しかけた。
「ああ、ミツキか。止めても無駄だぞ」
親父が話を切り捨てる様に喋った。
「いや、なんでお父さん。母さんに手を出したの? 」
「え? 」
親父が虚を突かれたように言いまどった。
「だって、お父さんのタイプじゃないんでしょ」
「いや、そんなこと無いんだけど」
「だって、コード〇アスのシー〇ーが好きなんでしょ」
「ええーと」
親父が言いよどむ。
「え? お前もアニオタなのか? 」
国王が満面の笑顔になる。
「兄貴も仲間だなんて」
宰相もうれしそうだ。
「ななななな、なんで、こんな話すんの? 」
親父が凄い動揺してる。
「いや、だって、母さん、可哀想で」
ミツキが哀しそうに答えた。
「ぐはっ」
親父が胸を抑える。
「母さんの事好きじゃなかったの? 」
「いや、当時は凄いタイプで大好きだったんだよ」
親父が必死だ。
俺は今、何を見ているんだろう。
なんか、こう、これを邪魔するのもなんだしなぁと見ている。
「じゃあ、なんで? 」
「いや、結婚したら、結構、その怒ると無茶苦茶怖くて」
親父が心底身震いした。
「ああ、分かるわ」
俺が答えた。
「だろう? 何べんも生死の狭間で戦ったような歴戦の勇士がションベンちびるくらい怖いからな」
親父がうんうんと深く頷いた。
「え? 怖いから嫌いになったの? 」
ミツキが少し悲しそうだ。
「いや、今も本当に大好きだから、命をかけて手伝ってんだが」
親父が凄く照れながら笑った。
「そうか。それなら良かった」
ミツキがほほ笑んだ。
「あー、お前もあれだ。良い人見つけるんだぞ」
親父がさらに照れながら顔を少し赤くした。
「ああ、大丈夫、お兄ちゃんと結婚する事になったから」
その時、目の前の風景すべてにヒビが入ったような感じがした。
「え? え? なんだって? 」
親父が震えながら聞いてきた。
やばいな。
これは地雷を踏んだか。
「お兄ちゃんとは結婚できないでしょ」
親父が震えながら喋る。
声音が本当に震えてる。
やばい。
「いや、こっちの世界は普通に結婚できるから」
ミツキが笑顔で言った。
「いや。駄目でしょ。母さん、それ嫌いだよ……」
親父がさらに震えながら駄目だしした。
「いや、だって、こっちじゃ普通だから」
ミツキが少しむくれた感じだ。
「あ、分かった。良くあるブラコンか? プラトニックなんだな? 」
凄く震えながら親父が言った。
まるで祈るようにミツキに聞いてる。
やばい。
これ、止めないとやばいけど。
俺も震えて声がかけれん。
「え? もう、何度もエッチしてるし」
ミツキが頬を染めた。
「はぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああ? 」
親父が憤怒の声を上げた。
「いやいやいやいやいや」
やばいパニクってまともな声が出ない。
ひたすら、首を左右に振る。
「ころす」
「ころす」
「おまえをころす」
親父がぶつぶつ呟きながら、こちらを憤怒の顔で見た。
やばい。
すげぇぇぇぇ、怖い。
親父がパワードスーツのハッチを閉めた。
あかん、殺される。
「だって、赤ちゃんが……」
と言ってミツキがお腹をさすって真っ赤になった。
と、同時にパリーンと音がしたような感じで、俺の聖樹装兵と親父のパワードスーツがつんのめって倒れて動かなくなる。
アオイがいぶかしげにミツキを見るとミツキがニッコリ笑った。
「……出来るといいなぁ」
ミツキが凄い良い笑顔をした。
俺の聖樹装兵と親父のパワードスーツも全く動かない。
宰相が前に出て、テンカウントを唱え出した。
「……」
「セプン」
「エイト」
「ナイン」
「テン」
宰相が言うと、国王がミツキを指差した。
「両者ノックアウト! 勝者ミツキ! 」
国王が厳かに叫んだ。
と同時に数機のパワードスーツが親父の動けないパワードスーツを掴むと一目散に引きずって逃げてった。
なんか、どうしょうもなく疲れた。
俺も身体が動きません。
トホホ。
ちょっと、昨晩、ハイになって投稿してしまったので、今日だけ三本投稿いたします。
いつも、読んでいただいて本当にありがとうございます。
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