第十二部 第九章 ルグ参戦
「こ、これはガクシュン公だったマンティコア」
グォクイ将軍が叫んだ。
「ふはははははは、貴様らに恨みを持ってる者だ。我らと共に戦うのにふさわしかろう」
ルグが笑いながら言った。
「さあ、ゾンビどもよ。こ奴らを蹂躙するのだ」
ルグが叫んだ。
窓から次々とゾンビが登って来て、中に躍り込んでくる。
と言うか、躍り込もうとしたら、次々と爆発して破裂した。
横を見ると龍女とチアンウェイが手をかざしている。
さらに登ってこようとした、連中もミヤビ王女のファイヤーボールの連打で火の海になった。
隣の部屋への壁をアポリトが壁ごと剣で貫いた。
「まあ、索敵でそこから壁を破って入ろうとしたのは分かってるからな」
アポリトが壁ごとブスブスと剣で刺して、壁越しに隣の部屋のゾンビの首を落としていく。
「ははははは、俺も参戦! 」
窓からコウモリの羽の生えたゾンビが飛び込んできた。
ファロウスだ。
「スキル蜘蛛の糸! 」
ユイナが叫んだ途端、蜘蛛の糸でグルグル巻きにされて、ファロウスがその場に横たわった。
ファロウスは全く動けないようだ。
必死にもがいている。
「何しに来たんだ、お前」
呆れて俺が声をかけた。
「やかましいわ、卑怯者め! この糸を外せ! 」
全く、動けないのにぎゃあぎゃあとファロウスが五月蠅い。
「アホか」
俺が顔面を蹴り潰すと、そのまま黙った。
「皆、凄いな」
クニヒト大佐が他人事のように言った。
「いや、お前もなんかやれよ」
俺が呆れて言った。
すると、クニヒト大佐が肩をすくめて、ふぅとため息ついた。
「お前、スキル狙撃手はどうなったんだよ。腕の良い狙撃手って話はどこいったんだよ」
俺が呆れ果てた顔で聞く。
「だって、銃も弓も無いし」
いけしゃあしゃあと平気でクニヒト大佐が肩をすくめて答えた。
「自分が得意な武器くらいもっとけよ、お前」
頭が痛い。
「ぬぬぬぬ、貴様らぁぁぁぁぁ」
ルグが他のゾンビが歯が立たず、怒り狂っている。
ミツキがツカツカとマンティコアに近づいて言った。
「あ、危ないですぞ! 」
それを見て、グォクイ将軍が叫んだ。
マンティコアの目の前までミツキが近づく。
「くははははは、馬鹿な女め。それ、マンティコアよ。食べてしまえ」
ルグが哄笑した。
「お手」
ミツキが言うと、マンティコアがミツキに右手を乗せた。
「おかわり」
ミツキが言うと、マンティコアがミツキに左手を乗せた。
「は? 」
ルグが呆然としてる。
「ようし、背中に乗ってる奴、振り落として襲っちゃえ」
ミツキが言うと、マンティコアがルグを振り落として、ルグを右足で踏みつぶした。
「ぐはぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁ! なぜだぁぁぁ! 」
「どうする? 降伏するなら助けるけど」
ミツキが聞いた。
「ふざけるなぁぁぁ! 」
半狂乱になってルグが叫んだ。
「残念ね」
マンティコアがゴキリとルグを踏みつぶした。
「降伏したらよかったのに」
ミツキが呟いた。
そのミツキをじっとアオイが見てため息ついた。
「……そうだったんですか」
「ごめんね」
アオイとミツキが小声で言い合った。
何か嫌な予感がしたけど、聞くのが怖いので聞くのを止めた。
世の中には知らない方が良い事も一杯あるのだ。
聞くと藪蛇そうだし。
だって、にんげんだもの みつを
本日も二本投稿します。