第十ニ部 第八章 共工再び
「ぐぅおおおおおおおぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅ!! 」
闇夜の中に、聞いたことのある共工の叫び声が響き渡る。
恐らく、山を裂いて出てきたのだろう。
「やはり、出て来たか」
俺が呟いた。
「どうします。やりますか? 」
アオイが真剣な目で聞いてきた。
「ああ、やってくれ」
「分かりました」
アオイが頷いた。
「待て! 何をする気だ! 」
チアンウェイが叫んだ。
「こっちは火炎系のモンスターと火炎系の術者ばかりだからな。先手を打たせてもらう」
俺がチアンウェイに言った。
「先手だと? 」
「ああ」
その時、しゅんと火箭が鋭く一直線に共工が居るらしい四百メートルくらい上空に走った。
「目を開けないで! リヴァイアサンの猛爆攻撃です! 」
アオイが叫んだ。
「何? 」
チアンウェイが驚いた。
そこに、直径二キロメートルくらいの火球が出来て大爆発が起こった。
「猛爆規模はかなり弱くするように頼んだので、首都フェイツイが巻き込まれる事は無いと思います」
アオイが俺に説明してくれた。
「十分じゃないか」
俺が簡潔に答えた。
その爆発であたり一面が昼間の様に明るくなった。
そして、凄まじい暴風が起こり、首都フェイツィの木や家がしなる。
「おおおおおおおおお! 」
グォクイ将軍が驚きの声をあげた。
たが、照らされた事によって、はっきりと共工の姿が映し出される。
共工は強大な水の渦を身体にまとわして、水の壁を作っていた。
「むぅ、水壁防御だ。まずい、封印を完全に解いたか」
樹老人が深刻な顔で言った。
「何です? それ? 」
「水の壁で、すべてを防ぐのだ」
「えええええ? 」
反則チートやんけ。
「どういう事だ。まだ、体内にも封印がされてるはず。なぜ、あれが使える」
樹老人が納得いかないようだ。
「ひよっとして、あのゲロとか下痢では無いですか?」
カザンザキスさんがはっとして答えた。
「嘘」
俺が思わず呟いた。
え?
封印まで流しちゃうの?
「それしか、考えられんか」
樹老人が唸るように答えた。
「どうします。第二撃行きますか? 」
アオイが聞いてきた。
「いや、無理じゃないか」
俺が答えた。
辺り一面に雷が次々と落ちて、豪雨が始った。
「やばいな」
俺が呟いた。
「とりあえず、旗艦艦隊から降ろしてる海兵を指揮してくれ」
国王がサイトウ公爵に言った。
「分かりました。チアンウェイさん。こちらも二千の兵を回せます。とりあえず、手助けをさせてください」
サイトウ公爵がチアンウェイに進言した。
「あ……ああ……とりあえず、女帝の所に行ってくれ」
いきなり、まともな事言われたんで、チアンウェイが動揺して答えた。
「分かりました」
颯爽とサイトウ公爵が部屋を出て行った。
「……珍しい。嵐になるぞ」
クニヒト大佐が呟いた。
「もう、なっとるわ」
素で俺が呟き返した。
「やばいな。これ、どうなるか分からんな」
俺が悩んだように答えた。
その時、窓から黒い僧服の目つきの鋭い爺さんを乗せたマンティコアのゾンビが飛び込んできた。
「ほう、貴様が<終末の子>か」
その黒い僧服の男、ルグが俺を見て言った。
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