第十二部 第四章 やっぱりファウロス
「貴様、我が主に何をする」
高空から、大きなコウモリが目の前に降りてきて、ヴァンパイアになった。
「くはははは、もはや貴様は主では無い。この身体はルグ様がお作りになった物だ。貴様の呪縛など効かぬ」
ファウロスが高笑いした。
ヴァンパイアの目が白黒してる。
本当にヴァンパイアのコントロールを受けないようだ。
横から巨漢の男が現われて、獣化した。
こないだの狼男だ。
「我が主に仇名すものに従がうと言うなら、貴様は敵だ。相手をしてやろう」
狼男が高らかに答えた。
「何事だ」
国王と宰相とイジュウイン大公をはじめいつものメンバーが駆け寄ってきた。
いや、あんた達はお偉いさんなんだから、セキュリティ上、のこのこ出て来たら駄目だろう。
国王達の周りのヤマトとコンチュエの衛士が慌てている。
「き、貴様はア〇ルオ〇ニー! 生きていたのか! 」
国王がファウロスを見て叫んだ。
「え? やはりア〇ルオ〇ニーが本当の名なのか? 」
チアンウェイが淑女にあるまじき言葉を言った。
「違うわ! 俺の名はファウロスだ! 貴様ら本当にいい加減にしろ! 」
「皆、ひどいな」
横でクニヒト大佐が笑ってる。
最悪だ。
それにしても、台無しだ。
「いいか! 貴様らに本当の恐怖を今から……」
ファウロスが言ってる最中に胴体が爆発し破壊された。
「話が長すぎだ」
横で龍女さんが右手をファウロスにかざしながら、呆れたように言った。
龍女さんがやったらしい。
本当に、容赦ないな。
「やれやれ、もう終わりか。いいか、いい加減、お前も諦めろ」
アポリトが憐れむような目で見た。
頭と右腕は無事だが、胴体を破壊されて動けないファウロスはそのままそこに蹲っていた。
「ふふふふふはははははははは、この程度、私が予想してないと思ったか」
蹲ったままファウロスが笑った。
「来るのだ! 半身よ! 」
ファウロスが叫ぶと、遠くから上半身が無い下半身だけのゾンビが走ってくる。
ファウロスが上半身だけで羽根を出して羽ばたくと、その下半身と合体する。
「ふははははは、合体! 」
ファウロスがそのゾンビとグチグチと細胞が絡まる様に合体し、元の姿に戻った。
嫌な予感がして横を見ると、国王と宰相とイジュウイン大公などのいつものメンバーが目を輝かせている。
「合体だ」
「合体だぞ」
「合体だぁ」
国王が子供のような目をキラキラさせながら言った。
「合体ですと」
宰相も嬉しそうだ。
やばい、彼らのツボだ。
と、同時にファウロスの下半身が轟音をあげて爆発した。
「で、それがどうかしたのか?」
今度はチアンウェイの方だ。
こちらの女性陣は本当に容赦ないな。
「く、くそっ、まだだ! まだ負けん! 」
ファウロスがまた叫ぶと、向うからまた上半身の無い下半身のゾンビが走って来て、合体した。
「ふはははははは……」
笑ってたら、また下半身が爆発して、蹲った。
「だから、それがどうしたと言うのだ」
龍女が今度は再度破壊した様だ。
本当に呆れきった顔をしている。
「ま、待て、貴様ら! 下半身だって限りがあるのだぞ! いい加減にしろ! 」
ファウロスが逆ギレしてる。
「いや、だって、話が長いんだもの」
ミツキが横で言った。
「く、糞、貴様ら、覚えていろよ」
上半身だけで羽根を出して羽ばたくと全速力で俺達の前からファウロスが逃げ出した。
ミヤビ王女が手の紋章をかざして、ファイヤーボールの連打をファウロスに浴びせかけた為、絶叫を上げながら飛んで行った。
「あいつ、何しに来たの? 」
俺が呟くと、横でアポリトがため息ついた。
すいません。投稿が遅れました。