第二部 第二章 最高幹部会の会議室
正直、好き嫌いがあると思いますし、特に第二部はアニパロっぽくて嫌な人もいるかもしれません。
ですが、あちらの世界との関係を示す伏線として書いてますし、理由もあります。
二十年前くらいに国王や公爵達が日本から戻って来た設定なんで、今時エヴァかよって思うかもしれませんが許してください。
物凄く豪奢な円形の大きな机に国王と宰相とイジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵という、そうそうたる面子が座っている。
フジワラ侯爵も俯いた顔でイジュウイン大公の隣で肩身が狭そうに座っていた。
クニヒト少佐とヨシアキ中佐は後ろに立って控えている。
ここは政治や軍事など、国家の最重要時に使用する最高幹部会の会議場だ。
本来はニートになった俺ごとき座る場所では無いのだが、今回は当事者として国王の前に座っている。
「すまなかったな。フジワラ侯爵には、まだ大事な事を話してなかったんだ。今回は許してやってくれ」
国王がすまなさそうに頭を下げる。
「あれから、レイナが聖樹様にお伺いして分かったんだが、ユウキ--お前がこちらに呼ばれた理由は我がヤマトの存亡の危機で呼ばれたのでは無かったんだ」
「え? 」
「もっとずっとずっと話が大きかったんだよ。これから大変な事が起こるらしいんだ。それで今まで対立していた聖樹様方が連合を組み始めて、ヤマトの聖樹様を中心にしたグループがお前を救世主として選んで呼んだそうだ」
国王や宰相と公爵達は皆一様に深刻な顔をしていた。
フジワラ侯爵とクニヒト少佐とヨシアキ中佐がそれを聞いて驚いた顔をした。
「救世主? もはや、軍どころかどこにも居れなくて、引きこもりのニートなのに? 」
「いや、だから、それは悪かったって言ってるし。すまんかった」
国王が深々と頭を下げる。
「とりあえずだな、お前を超特例として大佐に昇進させる。そして、特殊作戦部隊を編制し、お前を指揮官にするつもりだ」
「え? 大佐に? 五階級特進ですか? 」
「ああ、救世主として、他国の聖樹様や他国との連携もあるし、ちょっと低い階級では話にならんしな」
「大佐となると、通例通り三千人くらいの大隊を率いるんでしょうか? 」
いきなり、三千人の配下を持つ訳か。
軍事の教育受けてないし、なかなか厳しいな。
「いや、クニヒト少佐とヨシアキ中佐とムラサキをお前と同じように特例で中尉にして配属させる。全部でお前を入れて軍関係は四人かな」
「「えっ、俺達が特殊作戦部隊に配属になるんですか? 」」
露骨にクニヒト少佐とヨシアキ中佐が凄く嫌な顔をした。
「あの? 特殊作戦部隊ですよね? 部隊なんですよね? 」
俺が顔をひきつらせながら、国王に聞いた。
「そうだ」
国王が深く頷いた。
「普通、大佐って三千人規模を率いますよね? 」
「そうだな」
「全部で四人ってなんです? 少なすぎるでしょ! なんですそれ! 適当に部隊名つけただけじゃないですか! 」
これじゃ、迷宮に潜る冒険者のパーティの方が多いし。
「いや、アレクシアの戦いでヤマトの西側の兵士がかなり亡くなって、軍のやりくりが厳しくてな」
いや、厳しいって言われたって、もっとこっちが厳しいし。
俺入れて四人で何すんの?
「あの、すいません。やっぱりお断りさせていただきます。部屋に引きこもって、このままニートでいいです」
「いやいや、そりゃ、困るんだが」
国王が慌ててる。
「まあ、ユウキ君待ちたまえ 実は君に良い話があるんだよ」
宰相がとりなすように笑顔だ。
「ほら、お前、ムラサキから聞いたんだが、王宮の図書館の本読んで、日本のアニメのまんまパクリの本が多いって愚痴ってたそうじゃないか。日本でアニメとか見てたんだろ? 」
国王が意味ありげな顔をした。
そうなのだ。何だか知らないんだが、微妙に原作のストーリーとは違うんだが、ガ〇ダムとかエ〇ァとかもどきの小説が多い。
思うに日本からこちらに戻って来た人が、ヤマトの人間がアニメとか知らないのを良い事に、まんまパクリで本を書いて儲けてるようだ。
「で、だな。お前にわしと宰相の娘から一人ずつ婚約者を選んだんだ」
国王が嬉しそうだ。
「え? それを言ったばかりに嫁さん達に土下座させられたんじゃなかったですか? 」
「ああ、だがな。事はこの世界の危機の話だ。そうも言ってられないし、何かとお前のフォローもいるだろう。だから、嫁達を説得して理解して貰って、私と宰相の娘を婚約者として、さらに補佐として特殊作戦部隊に参加してもらう事にした」
「ぶっちゃけ、従姉妹じゃないですか……」
「まあ、そう言うな。 お前には喜んでもらえるようにちゃんと考えてある。まずは婚約者に決まった私の娘からだ」
国王が呼び鈴を鳴らした。
最高幹部会の会議室のドアが開いて、そこに、ツインテールの髪の毛を金髪に染めたミヤビ王女が入ってくる。
--って、なんじゃこれ?
エ〇ァ〇ゲリオンの赤いプ〇グスーツを着てる。
コ、コスプレかよ!
「惣流・ア〇カ・ラ〇グレーですね」
サイトウ公爵がいきなりのゲ〇ドウポーズだ。
「と、父さん。この服なんか意味あるの? 身体の線が出て恥ずかしいんだけど 」
ミヤビ王女が顔を真っ赤にしてる。
「……残念ですが、ア〇カにしては足りないものがありますよ」
これまた、イジュウイン大公もゲ〇ドウポーズだ。
「胸なんて飾りですよ。偉い人にはそれがわからんのです」
ミタライ公爵が笑った。
ガ〇ダムじゃん。
こっちは、ファーストガ〇ダムのセリフじゃん。
こ、この人達オタクだ!
そういや、公爵以上は全員が日本に転生して戻ってきてると言ってたな。
何を学んで来たんだよ!
やべぇぇぇぇ。
「まあ、次は予想はつくと思うが、今度は君の婚約者に選んだ私の娘の番だ。アオイ入りなさい」
宰相が咳払いをして言うと、次に最高幹部会の会議室のドアが開いて、女性が入ってくる。
そうじゃないかと思ったが、白いプラグスーツを着て、まんま綾〇レイだ。
めまいがする。
「ほら、アルビノの血が入ってるから、目も赤いだろ? 」
宰相が自慢げだ。
突然に、大公と公爵達が立ちあがって拍手をはじめた。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「あめでとう」
一人ずつ、立ち上がって拍手する。
「そこまでせんでいいわっ!! 」
テレビ版の最終回かよ。
なんだ、このノリは?
クニヒト少佐とヨシアキ中佐が宇宙人を見るような目で皆を見てる。
「大体、なんなんですか? なんでエ〇ァ? 」
たまりかねて、立ち上がって俺が叫んだ。
「ほら、ワシ達が日本に行ってた時は、ちょうどAi〇とかま〇〇ろは君にとかがあって人気があってねぇ。君からしたら、二十年前以上の話だから、さすがにエ〇ァのコスプレして見せるのは古いかと思ったんだが、一番最後にこちらに戻って来た弟の宰相が、二千七年に劇場版四部作の新シリーズをやる事が決定したと聞いたんでな。それなら古くは無いかと思ってさ」
国王が本当に嬉しそうだ。
「ち、ちょっと、待ってください! 」
フジワラ侯爵が凄い殺気立った顔で立ちあがって叫んだ。
「私はテレビ版のラスト見て、なんじゃこりゃと思ったんですが、まご〇ろは君にを見て、これで終わったんだなと納得してから、こちらの世界に戻って来たんですよ! 新作ってどういう事ですかっ! 」
「お前もオタクかぁぁぁぁぁ! 」
まさか、フジワラ侯爵まで転生組のオタクとは!
大丈夫かこの国。
「しょうがなかろう。庵野監督なんだから……」
相変わらずのイカリゲ〇ドウポーズでイジュウイン大公が答えた。
「それなら、仕方ないですね」
怒ってたフジワラ侯爵が納得して座った。
おい!
それで、納得するんかい!
「まあ、四部作とはいえ、流石にお前がこちらに来た現在からすると、数年前には映画は終わってると思うが、それでも、まだ、人気はすたれてないと思ってな。それでエヴァで押してみたんだ」
国王が自慢げだ。
「いや、まだ終わって無いですけど」
俺が冷静に答えた。
「「「「は? 」」」」
国王や宰相や大公や公爵の全員が唖然としてる。
「だから、四部作まだ終わって無いですけど」
「「「「何やってんだぁぁぁ! 」」」」
「ま、まさか、頭は良くてハンサムで誰がみても将来有望の男の子と結婚するはずだった可愛い女の子を、メガネをかけた頭の悪いどうしょうもない男の子が、未来から来たロボットに協力して貰って卑怯にも略奪婚するアニメみたいに延々と続くようになっちゃったのか」
国王が動揺してる。
「ドラ〇もんですか」
宰相が冷静に答える。
「いつまでも終わらない。いったい、いつまで小学生やってんだって話ですな」
ミヤタ公爵が意味ありげに答える。
「いや、ア〇カは28歳になりましたよ」
俺が冷静に答えた。
「えっ! ババァになったの? 何なの? 」
フジワラ侯爵が叫んだ。
「一体、何があったと言うんだ」
国王と宰相や公爵達が凄く深刻な顔をしてる。
「--あのね。いつまでも話が進まないから止めて欲しいんだけど」
ミヤビ王女が皆を見回して呆れ果てたように怒った。
「後、一応、表向きは婚約と言う事になってるけど、私は別にそこまで貴方に考えてるわけではないから」
俺を見てミヤビ王女が冷やかな顔をした。
「そこは、べ、別に貴方の事が好きなわけじゃないんだからねっ……はぁと……ですよ」
イジュウイン大公がまたゲ〇ドウポーズだ。
「もう、その話はいいからっ!! 」
ミヤビ王女がブチ切れた。
「分かった分かった。とりあえず、一番大事なのは、聖樹様同士が同盟を結んだ東方の大陸の大国であるコンチュエに行ってほしい。あちらで、向うの聖樹様からユウキに渡すものがあるそうだ」
ミヤビ王女がブチ切れたので、慌てて国王が話を元に戻した。
「え? この人数でですか? だってミヤビ王女とアオイさんを入れても六人ですよ」
「向こうの聖樹様にお会いして、貰うものを受け取るだけだから気にするな。」
「いやでも、六人ですよ? 」
「分かった。私の所からも腕の立つ奴を二人だそう」
イジュウイン大公がちらりとこちらを見た。
「それでも、全部で八人じゃないですか」
「末広がりだ。縁起がいいじゃないか」
国王が嬉しそうだ。
駄目だこりゃ。
「なんかあったら、こんなの絶対助からないやん」
俺が頭を抱えた。
「あなたは死なないわ、私が守るもの」
綾〇レイのコスプレしたアオイが俺の目を見てる。
「もう、エ〇ァはええっちゅーんじゃ! 」
俺が叫んだ。
--本当についていけない