第十一部 第五章 猛毒
聖樹装兵となって、次々とライフルの生体ビームで相柳の頭を破壊していく。
特に火を吐いたりとか、そういうのが無いみたいで、意味不明だ。
「なるべく、同じ場所で殺せ。どの道、ここはもう使えん」
樹老人が叫んだ。
「は? どうゆう事? 」
「相柳の血は猛毒で臭いんだ。殺せば殺すほど、その土地を汚染する」
樹老人が答えた。
「え? 何? つまり、この弱さも武器なの? 」
俺が思わず撃つのをやめる。
「くそっ、道理で弱いと思った」
チアンウェイも知らなかったらしい。
「なんという、たちの悪さ」
俺が思わず呟いた。
「おい、チアンウェイさん。地下神殿にぶち込んで、埋めてもいいのか? 」
俺がチアンウェイに聞いた。
「駄目だ! あれは聖地だぞ! 」
チアンウェイが叫んだ。
「しかし、封じるなら、あそこしか無いだろ」
「く、くそっ! 」
チアンウェイが舌打ちした。
「地下水路が汚染させるんじゃないの? 」
ミヤビ王女が心配そうにこちらを見た。
「地下水がやられると厄介ですよ」
カザンザキスさんも同意した。
むう、そうなると、これ、どうしたらいいのか。
地下から湧き出すように、相柳が次々と現れる。
「まずいぞ! このままだと、首都フェイツィの地下水が汚染される! 人が住めなくなるぞ! 」
樹老人が叫んだ。
「そう言われても」
潰された相柳から垂れる腐敗したような匂いの猛毒の血が拡がる。
これはマジでまずい。
こいつら性質が悪すぎる。
しかも、グォクイ将軍の方では、バリバリと衛士が食われてるようだ。
衛士の悲鳴がこちらに聞こえる。
「こいつら、人間を食うのか! 」
国王が叫んだ。
「何でも食うはずだ」
樹老人が答えた。
仕方なしで、聖樹装兵のライフルで相柳を破壊して回る。
衛士の1人が滑って、相柳の血を被って、黒く煙をあげて腐る。
「ぐぁぁあああぁぁ! 」
衛士が絶叫をあげて死んだ。
「本当に猛毒なのね」
ミヤビ王女が驚いた。
「くそっ、私達の都が」
チアンウェイが少し泣きそうな声になってる。
毒素を何とかしないと、毒素をこのまま垂れ流しにすると地下水や土地がまずい。
右手の甲の紋章が鈍く光ったように見えた。
と言うか聖樹装兵の右手が激しく光り出した。
なんだか、何かできそうだ。
毒素を集めるんだ。
殺した奴の毒素を。
聖樹装兵の右手と左手が渦の様に相柳の血を絡め取っていく。
そして、両手を前に突き出すと、相柳の血がどす黒く水の玉になって圧縮されていく。
「おおおおおおお! 奴等の死体から流れる毒素をすべて集めているのか! 」
樹老人が感嘆したように叫んだ。
水の渦は大きな刃の様になって、まだ生きている相柳を次々と切り裂いて殺し、その血を渦に混ぜさせる。
「すげぇぇ、<終末の子>みたいな事やるの、初めて見た」
クニヒト大佐が感動してる。
「本当だ。まともな事も出来たのか」
国王も驚いている。
「信じられん」
宰相も驚愕する。
「「「ちょっと、ちょっと」」」
ミヤビ王女とキョウカとかユイナが突っ込む。
目の前に直径一メートルの濃縮された相柳の猛毒の水玉ができあがる。
「むう、流石は我が夫じゃ」
満足そうに龍女が頷いた。
「ち、ちょっと樹老人さん。これ、どうしたらいいのかな? 」
俺が焦りながら言った。
「なんじゃ、何も考えんとやったのか? 」
樹老人が呆れたように言った。
「いや、思ったら出来ただけだから」
俺が汗だくになりながら、聖樹装兵の中で言った。
「なんだ、いつものパターンじゃん」
クニヒト大佐が言った。
「やかましいわ! 」
俺が言い返した。
まずいな。濃縮してるだけあって、これ漏れたらやばい。
「わしが高度結界で毒の水玉を囲むから、少し待て」
樹老人が手をかざして、幾重にも出来た樹の結界で水玉を囲んで封印した。
「ふはぁぁ」
その場に俺が聖樹装兵を着脱しながら、へたり込んだ。
「やったじゃん。願う事を実現する。初めて、実現させたね。お兄ちゃん」
凄く嬉しそうにミツキが飛びついて来た。
「いや、逃げたくてちゃんと逃げるとかのスキルで実現してるから、いつもやってるし」
クニヒト大佐が突っ込む。
「いや、ちゃんと皆を助けると言う意味で、逃げる以外で人を助ける。こんな感じでまともな事をやったのは初めてだから、これは褒めて良いんじゃないかな」
国王が言った。
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
イジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵とフジワラ侯爵が一人ずつ拍手をしながら言って行く。
「もうエヴ〇やるのやめてくれ! 」
俺が叫んだ。
グォクイ将軍とチアンウェイが俺達を異界のものを見るような目で見ていた。
本日、少し時間が出来たので、もう一つ投稿します。
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