第十一部 第三章 相談
あれから、俺達は第二迎賓館と言うか、昔の旧館らしいが、貴賓を泊める施設の方に移された。
流石に、コンチュエは大国で、設備は少し古いが、十二分な広さと豪華さで、逆にあちらの迎賓館よりも質は上なんでは無かろうか。
とりあえず、客間らしい広間で、皆と一服してる。
お茶が名産らしく、あちらの世界のお茶と同じもののようで、かなり美味しい。
皆とお茶をすすりながら座っていると、なんか、向うの世界に戻ったようだ。
「しかし、ミツキも余計な事を言わんでもいいのに」
俺がミツキに注意した。
「いや、だって、向うの世界を称賛してるのに、向うの文化を蔑むと言うのはどうかと思ってさ」
ミツキがいたずらっぽく笑った。
「ちょっと、皆に女媧と俺達の母親の姿がそっくりと知れ渡ったら警戒されるかな」
俺が少し不安そうに聞いた。
「大丈夫じゃないかな。コンチュエは伏羲様の血筋であるし、女媧様の家系には同情的だと思う。そもそも、兄妹や姉弟って話もあるくらいの身内だしね。夫婦だったと言う話もある」
カザンザキスさんが言った。
「それは心配ない。わらわが女媧様を崇拝しても問題ないようにな」
いきなり、真横でチアンウェイが答えた。
「「「おおお」」」
いきなり、唐突に現われたんで、カザンザキスさんとか茶をこぼしてしまってる。
神出鬼没だな。こいつ。
「ノックくらいしろよ」
俺が呆れて言った。
「直接、ここに現れたのじゃ、ノックなどできんわ」
チアンウェイが答えた。
「ユウキ殿の隣とは失礼な奴め」
チアンウェイと俺の間に無理矢理、龍女さんが座って言った。
「なんじゃ、焼きもちか」
チアンウェイが嫌味っぽい顔をした。
「馬鹿め、妻としては当然の事よ」
龍女さんが笑って答えた。
「そのとおりです」
ムラサキが俺に抱きついてきた。
「愛されてるようじゃの」
チアンウェイが俺を見てにやにやしてる。
「で、何か話があるのか? 」
アオイとかの目が怖くなってきたので、慌てて、話を変える様に言った。
「ふむ。実はお前に助力を頼みたい」
チアンウェイが俺をじっと見た。
「助力? 」
「うむ」
「実は、女媧様の配下が動き出したのも、そのせいなのだが、女媧様が封じた共工が復活しそうなのじゃ」
「共工って? 」
「共工って、あの洪水とか起こす神ですか? 」
カザンザキスさんが驚いた。
「むう、それはまずいな。共工を討った祝融殿はあちらの世界に行ってしまってるはず」
樹老人が深刻な顔をしてる。
「お主なら、<終末の子>であるし、リヴァイアサンも連れてきているのだろう。なんとか出来るかと思ってな」
チアンウェイがにやりと笑った。
「いや、こちらを襲撃しといて、言う? 」
俺が困ったように答えた。
「なんじゃ、細かい事を気にするんじゃの? 」
「え? 細かい事なん? 」
「そうじゃろうが、万民が被害に合いそうなとき、そういう細かい事を気にする出ないわ」
チアンウェイが呆れたような顔をした。
いや、統治者としては正しいだろうけど、人間としてはどうなの?
「あ、その為の戦力が欲しくて、女帝様を操ったわけね」
ミツキが納得したように聞いた。
「まあ、そういう訳じゃ。女帝に説明したら、最初から言いなさいと怒られたがの」
ふっと格好つけたように溜息をついてチアンウェイが言った。
いや、やっぱりずれてるだろ。
可愛がられてるんだから、言えば良いじゃん。
「まあ、女帝に心配を掛けたくなかったと言ったら、喜んでくれたわ」
チアンウェイがふふんと言う感じに答えた。
え?
やっぱり、コンチュエも少し帝系はおかしいのか?
ヤマトも変だもんな。
神族自体に問題あんのかね?
「でじゃ。どうじゃ、助けてくれんか? 」
胸を張ってチアンウェイが聞いてきた。
とても、人にものを頼む感じでは無いな。
困ったもんだ。
俺がため息をついた。
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盆に仕事だけど、心が救われます。
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