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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
109/2597

第十部 第九章 悪役令嬢

「ほーっほっほっほほ。逃げるのですか、救世主(ジウシジュ)よ」


 高らかな声が古い遺跡の中を響く。


 誰?


「スキルスポットライト」


 暗闇で声の主が叫ぶ。


 オールライトのような全体を照らす明かりで無く、集中した光に照らし出されて石柱の上に高貴な貴族衣装を着た美しいけど、なんか凄く気位の高そうな18歳くらいの女性が立っている。


 このスキル、何か意味があるのか?


 単に目立ちたいだけにしか見えない。


 こんなの単なるマトにしかならないと思うんだが。


「こ、これはチアンウェイ様。一体、こんな所で何をしてらっしゃるのですか? 」


 グォクイ将軍が焦ったように聞いた。


「グォクイ将軍、貴方は大国であるコンチュエが、ヤマトごときの救世主(ジウシジュ)に従うなど恥ずかしいと思わないのですか? 」


 チアンウェイと呼ばれた女性が糾弾するかのように問うた。


「な、何をおっしゃっておられるのか。これは聖樹様のご指示ですぞ」


「何故、この遺跡の上に我らが王城があるのか分かっているのですか? これは、あちらの世界の主たる御方の遺跡なのですよ」


「な! それは一部のものしか知ってはいけない話ですぞ! 」


 グォクイ将軍が相当焦ってる。


「どういう事? 」


 俺が国王に聞いた。


「つまり、怪物〇で無く、怪物さんだったと言う事かな」


 国王が頷きながら答えた。


「なるほど、女性ですもんね」


 宰相も隣で頷く。


 イジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵とフジワラ侯爵も横で頷いた。


「いや、そんな話してないんですけど」


 俺が呆れ果てた顔で固まった。


「あちらの世界側に行った神族の神が祭ってある神殿だったと言う事よ」


 ミツキが教えてくれた。


「ミツキが居て良かったわ」


 俺が言ったら、ミツキがにこっと笑った。


「王城と恐らく、聖樹様でそれを封印してあったと言う事だろうな」


 カザンザキスさんが言った。


「こちら側の世界のものが、あちらの世界の神に従がっても良いのですか? 」


 俺がカザンザキスさんに聞いた。


「仕方ないさ。怪物さんだから、怪〇大王に従がっていると言う事だ」


 横で国王が五月蠅い。


「すいません。訳が分かんなくなるから、やめて貰えますか」


 俺が国王にお願いした。


「パパを無視するな」


 国王が怯まずに答える。


 俺が無言で右ストレートで国王を殴る。


「ギャラ〇ティカファントムって言わないの?」


 宰相が横で寂しそうだ。


 イジュウイン大公、サイトウ公爵とミヤタ公爵とスギモト公爵とミタライ公爵とフジワラ侯爵も寂しそうにしてる。


「な、なんなの? その変なのは……」


 異界のものを見るような目でチアンウェイが言った。


「ヤマトの国王です」


 国王が胸を張った。


「ヤマトの宰相です」


 宰相も胸を張った。


 ミヤビ王女やキョウカさんが凄く恥ずかしそうにしてる。


「なんか、せつないな」


 クニヒト大佐が呟いた。


 言うな、言わんでくれ。


「はああああ? そんな変なのが国王なわけ無いでしょ」


 チアンウェイが呆れたような顔をした。


 すいません。


 本当なんです。


 カザンザキスさんが横でさらに頭を抱えてる。


「おい、パパにあんな事言ってるぞ」


 国王と宰相が俺の肩を持って、ゆさゆさした。


 ミヤビ王女もユイナもキョウカもミオやアオイですら恥ずかしくて真っ赤になってる。


 俺も胃が痛くなってきた。


「あんた。息子なの? 」


 チアンウェイさんが凄い顔してる。


 やばい、帰りたい。


「義理です。義理」


 俺が仕方なく答えた。


 ミヤビ王女とか辛そうな顔してる。


「ねえ。こんな奴が救世主(ジウシジュ)とか、本当に大丈夫なの? 」


 チアンウェイが俺をあからさまに馬鹿にした。


「俺もそう思う」


 つい、正直に本音が出てしまった。


「身内が問題あり過ぎですもんね」


 アオイが悲しそうだ。


「シュウジの事か? 」


 国王が困ったような顔をした。


「……自覚ないしなぁ」


 俺が頭を抱えた。


 ふと、横を見ると、カザンザキスさんの隣に樹老人(じゅろうじん)がいる。


「あれ、戻ってたんですか? 」


「うむ、リアンファ殿のヴァンパイアのくびきは消した」


「おおっ」


 グォクイ将軍がうれしさから声をあげた。


「何ですって」


 チアンウェイが眉を吊り上げる。


「眷属ごときの術式など物の数では無いわ。それよりも、国王とかとのやりとりが異様なんで声をかけるタイミングが分かんなくなってしまってな」


 樹老人(じゅろうじん)が困った顔してる。


「そういえば、先ほどからいらっしゃいましたね」

 

 カザンザキスさんがため息をついた。


「身内が問題なのかのぉ」


 樹老人(じゅろうじん)が悲しそうだ。


「兄さんの話ですか」


 宰相も辛そうにしてる。


 全然違うと思うぞ。


「全然話が進まないじゃない! もういいわ。救世主(ジウシジュ)死になさい! 」


 チアンウェイが業を煮やしたように叫んだ。


 と同時にチアンウェイのまわりが次々と爆発した。


 チアンウェイが紋章の結界で避ける。


 ゴーレムが動こうとしたが、足元が爆発して沈み込んだ。


 横で龍女(りゅうじょ)さんが手をかざしてる。


「回りくどくなくて、そちらの方が話が早いの」


 龍女(りゅうじょ)さんが笑った。


 うわ、この人容赦ないわ。






 

 

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