第十部 第六章 馬車
「それで、女帝様はどうなんでしょうか? 」
8頭立ての馬車に揺られながら、俺がグォクイ将軍に聞いた。
「あまり、宜しくは無い。ただ、操られてる気配があるので、スキル結界を持つものに、女帝様の部屋だけでなく、王宮も結界を張ったので、それでおかしな行動はかなり収まった」
「むう。それなら、わしが何とかできると思うぞ」
樹老人が言った。
「こちらの方は? 」
グォクイ将軍が樹老人を見た。
「樹老人殿です」
カザンザキスさんが答えた。
「この方が、樹老人様ですか」
グォクイ将軍が驚いている。
え?
知ってるんだ?
「こちらの神話にも出てくるからな」
国王が笑った。
「え? マジなの? 」
「そうじゃぞ」
樹老人が胸を張った。
「俺、いらなくない? 」
「また、それか」
「娘の旦那になるんだし頑張ってくれないと」
国王が右肩に手を乗せた。
「うちの娘の旦那でもあるんだしな」
宰相が左肩に手を乗せた。
左右で挟まれて辛い。
「おお、それはおめでたい話ですな」
グォクイ将軍が笑顔で言った。
糞、ここでも逃げれないように釘を刺すか!
国王と宰相の含み笑いが腹が立つ。
「ところで、何か、女帝殿は何らかの遺跡に入られなかったか? 」
樹老人がグォクイ将軍に聞いた。
「おお! やはり関係あるのですか? 」
グォクイ将軍が身を乗り出してきた。
「うむ。恐らくかの者の眷属であろう。遺跡に眠っておったに違いないと思う」
樹老人が頷いた。
「かの者って? 」
「あちらの世界のトップのものじゃ」
「向こうの世界の神族のトップと言う事ですか」
カザンザキスさんが聞いた。
「うむ。そうなるな」
樹老人が言った。
「で、それはどこなんですか? 」
「それが、実は、王城の地下なのです」
グォクイ将軍が困ったように言った。
「え? あの地下水路とかあった所ですか? 」
俺が驚いて聞いた。
「はい、あの地下水路ともつながりがあると聞いております」
グォクイ将軍が答えた。
うわぁ、また地下かよ。
「とりあえず、女帝の所に行った後、見せて貰おうかの」
樹老人が皆を見まわした。
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