第一部 第十章 エピローグ
あれから数週間たった。
元アレクシア国のヤマトに近い地域は、すべてヤマトに服属してきた。
俺が食糧を恵んだり義賊として頑張ったお蔭かと思えば、俺が彼らを共犯者と呼んでた話が拡がってそうなったらしい。
彼らの代表は、服属しますから、どうかあの方を差し向けたりしないでくださいとこれまたウサギの様に震えながらお願いしてきたそうだ。
そういう訳で、大国アレクシアを撃退と言うか滅ぼし、ヤマトの領土を三割も増やしたのに関わらず、誰も褒めてくれなかった。
誰もが俺と一緒に戦いたくないそうなので、結局、軍にも残れなくなった。
それどころか、ヤマトの中でも悪逆非道の魔王とか呼ばれたり、随分とあちこちで悪評が拡がってるようだ。
最初に会った貴族の女性達の視線も軽蔑から恐怖へランクアップだ。
誰も俺に目を合わせようとしないのは全く同じなんだが……。
せつない……。
俺としては性格が変わった気はしてないのだが、ミヤビ王女が言うには段々と性格が酷い方向に変化していったと言い張って、医者を連れてきたりして検査させられた。
その上で、俺が聖樹の紋章を受けたのと轟天を授かった副作用で、本来の性格が表に出て来た結果ではないかなどと失礼な事を言ってきた。
なんだよ、本来の性格って。
どんな性格なんだよ。
俺の本来の性格が悪いとでも言いたいのか?
後、俺がタイ捨流を使うと言う話が流れて、タイ捨流は悪逆非道の殺戮武術だと思われているらしい。
流祖の丸目蔵人様すいません。
と言う訳で、一夫多妻で女性が夜這いにくる男性天国であるはずなのに、私の部屋には誰も来ません。
いろいろと女性が強くて問題はあるとはいえ、美女がたくさんいるハーレム世界のファンタジーのはずなのに、私には何もないです。
さみしくて、部屋の鍵を開けたままにしたんだけど、誰も来ませんでした。
さすがに不憫に思ったのか国王と宰相が娘をやろうか? と言ったばっかりに、国王と宰相は嫁と娘達に丸一日中王宮で並んで正座させられたそうです。
まあ、ムラサキだけは傍にいてくれるんだけど、男の娘に何をしろと。
何これ。
そりゃ、まあ世話してくれるムラサキはいるんだけど、俺、ぼっちのまんまやん。
さすがに可哀想に思った国王が年金をかなり増やしてくれたので、とりあえず死ぬまで遊んで暮らせます。
でも、世間の目がキツイので王宮の部屋にこもって、あまり外に出なくなりました。
あ、良く考えたら引きこもりのニートですね。
ファンタジー世界に召喚されて勇者から引きこもりのニートにジョブチェンジってどうなの?
誰か助けて。