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俺様日記  作者: 清野詠一
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3月前期・平穏編



★3月2日(水)



 今日より日記を付ける事にする。

取り立てて、これと言った理由はないが…


ま、なんちゅうか、ご町内でも出来る男として有名なこの俺様こと神代洸一。

将来は間違く偉人となり、道徳の教科書にも載っちゃう事が確定されているも同然なので、その時になっていざ伝記を書こうにも資料が無いじゃん、と右往左往しない為にも、今からこうしてマメに日記を付けるのだ。


うむ、将来を見据えたそつの無いアクションだ。

そつってどーゆー意味か知らんけど。


おそらく俺様の自伝が発売されれば、聖書を越えるベストセラーとなり、学校の図書館にも置かれるだろう。

いやはや・・今から照れてしまうわい。


さて、そうと決れば先ず本日なんだが…

……

何も無かった。


いきなり日記が頓挫してしまったような気がするが…

まぁ、クラスでも親しみを込めて爆発大将と呼ばれているナイスガイな俺様とて、年がら年中、破天荒な生活を送っているワケではない。

爆発大将って誰かは知らんが、ともかく、平穏な日もあるのだ。


ただ、まぁ…敢えて本日何かあったかと問われたら…


放課後、担任である谷岡先生に進路指導室へ呼びつけられ

『神代、このままだと…ぶっちゃけアカンぞ?』

と、物凄く神妙な顔付きで言われたぐらいか。


何でも、今度の学年末テストで悪い点を取ると、俺様は2年生になれないらしいとの事。

つまり、もう一度1年生をやれという意味だ。


うぬぅ、さすがは私学…商売ッ気が有り過ぎると思う。

学費を徴収する為に、この俺様のような出来る男を留年させるとは…


確かに…確かにだ、この俺様……テストで良い点を取っているとは言い難いかもしれないが、それでもだ、クラスの影のリーダとして、有象無象のアクシデンツから、級友達を守っているではないか。

その辺の見えない部分の功績を加味して、もう少し温情査定をしても良いんでないかい?


そんな事を谷岡先生に意見具申したら、先生は何故か難しい顔で、生活態度やら素行やらと言う、やたら長くて退屈しそうな話をし始めたので、仕方なく俺はネリチャギを一発、先生の脳天に極めて静かにしてやった。


悪いがこの俺様、諸事情により独り暮しの為、余計な説教に付き合う程ヒマではないのだ。


しかしテストか…

ハッキリ言って、って別にハッキリ言うことでもないが、自信が無い。


別に俺は、頭が悪いと言うワケでは決してない。

幼馴染の穂波も良く、『洸一っちゃんは悪知恵が働くね』と褒めるぐらい、知恵はある。


が、どうもなぁ…

何故か学校の勉強と言うものが全く頭に入って来ないのだ。

授業中に爆睡しているからと言う手厳しい意見もあるが、そもそも興味が湧かないのだから仕方が無い。


英語だの物理だの、そのような未知の暗号を解くヒマがあったら、どうやって千円で1週間生活しようか…等と考えていた方が遥かにマシだ。

お陰でこの洸一、この一年で割り算が得意になった。


もっとも、さすがの俺様とて…留年だけは勘弁願いたい。

だって新しいクラスになったら、後輩にイヂめられるかも知れないじゃないか。

うぅ~む…

さすがに、少しは勉強した方が良いのだが…そもそも現時点で、教科書は全て学校の机の中だ。

こりゃ洸一クン、一本取られたわい。


さて…取り敢えずやる事も無いので、ゲームでもして遊びますか。




★3月3日(木)



さかき 穂波ほなみ…俺と同い年の幼馴染だ。

一見すると、お下げ髪が似合うと言うか妙にマッチングする田舎風味で純朴な感じの女の子だ。

また誰にでも優しい性格な上に家事スキルも高いと言う、中々のステータス持ち。

だがしかし、時折覗かせる心の闇が、少々深いと言うかねぇ…


穂波は無類のクマ好きなのだが…そう聞くと、女の子らしいね、と思うかも知れないが、彼女が好きなのは可愛い系のクマちゃんではなく、どちらかと言うかガチな…リアル系なクマが好きなのだ。

べッドの脇にテディベアではなく、クマの一刀彫が何体も置いてある女子高生は日本でアイツぐらいだろう。

それに中学の頃、『生まれ変わったらクマになりたいよぅ。そしてマタギを頭から齧るの』と真顔で言われた事もあった。


いやはや…その時、俺は『お、おぅ…』と言葉を濁して返したが…

もし俺が犬だったら、尻尾を丸め『キュゥゥン』と声を上げて後ずさっていただろう。


そんな洸一チン、生まれた時から悲しい事に一緒の穂波の事は、ある程度は知っているつもりだったんだが…

やはり、未だに分からない事があるようだ。



今日は雛祭り。

自分の家の雛壇が五段だの七段だのと密かに自慢しては悦に入る女の子の日。


男の俺には全く興味が湧かない日と言うか…昔から俺は、実は雛祭りが嫌いだったりする。

そもそも、あの人形が怖い。

主役を張ってるお内裏様とかは別に良いのだが…

五人囃し等の、あの何とも言えない世の中を諦めたかのような無表情さ。

右大臣・左大臣の、まるで失業しているお父さんのような暗い目。

3人官女に至っては、恐らく借金の片などで売られ、お内裏様に仕えているのだろう…

そんな気すらする。


もっとも人形以前に、俺は穂波のお陰で雛祭りが嫌いなのだが…

餓鬼の頃は嫌々アイツ主宰の雛祭りに呼ばれ、散々な目に遭った。

特にお内裏様&お雛様ごっこ。

ごっこと言っても別に何するわけでもなく、ただ単に、穂波と一緒に並んで座っているだけの、遊びと言うか悟りすら開けそうな苦行。

もちろん、口を聞いたり体を動かしたりしたら、物凄いペナルティが漏れなく付いて来る。

『洸一っちゃんは今日からぼんぼりだよっ!!』

とワケの分からん事を真顔で言われ、髪の毛にチャッカマンで火を点けられた事もあったし、牛車になれと言わんばかりに、尻を物差しで叩かれた事もあった。


いやもぅ…あまりの悲惨な幼児期の体験の為、今でも俺は雛祭りの歌を聞くと、無意識の内に涙が零れ膝が笑ってしまうのだ。


さて、そんなこんなで雛祭りと呼ばれる悪魔の祭典が行われる本日なのだが…

「洸一っちゃん♪今日は私の家に来るよね?」

放課後、校門前で俺を待ち受けていた穂波が最初に言った台詞がこれだった。


「・・・はぁ?なんで?」

今日はこの若さで独り暮しを余儀なくされている俺様、ご用達のスーパー『αコープ』へ行って、特売の豚バラスライスと一パック100円の卵を買わなくてはならないのだが…


「なんでって…今日は雛祭りだよぅ」

穂波お下げの髪を揺らしながら、ニコニコとその辺の純な男は騙されそうな笑顔でそう言った。

もちろん、付き合いの長いこの俺様には、その純真無垢な笑顔の裏にノスフェラトゥが隠れている事を熟知している。


「あ、あのなぁ…お前は高1にもなって、そんな餓鬼臭い催しを企んでいるのか?」


「ぶぅぅ…洸一っちゃん、雛祭りに歳は関係ないよぅ。雛祭りは女の子にとって、大切な日なんだよ。…でも私を女の子から女に変えるのは洸一っちゃんなんだけどね」


「な、何かスゲェ事をサラッと言われたような気がするが…ともかく、俺は行かんぞ。何故なら、豚バラスライスが俺を待っているからだ」


そう、今日の晩御飯はアスパラガスの豚バラ巻きを作っちゃう予定なのだ。

ちなみに明日は、ポークジンジャーの予定だ。


「え~…来てよ洸一っちゃん。豪ちゃんと智香も来るんだよ」


「だったら余計に行かん」

智香の馬鹿は五月蝿いし…

豪太郎は豪太郎で、男のクセに雛祭りに心をときめかす上に、隙あらばこの俺様にセクハラかまして来るからなぁ…


「う~…甘酒も用意したのにぃ」


「そ、そんな目で見られてもなぁ…」

甘酒かぁ…

甘くない酒の方が好きなんだが…

ってゆーか、雛祭りは白酒じゃねぇーか?


「雛あられも菱餅もあるんだよ?」


「…それがどうした?」


「う~…パーティーだから、洸一っちゃんの大好きな鶏の唐揚げとかも用意したのに…」


「そ、そうなのか?」

そうか…鶏チャンの唐揚げか…

うぬぅ…

……

一応はパーティーと言う事で割り切っても…良いかな?


「ま、まぁ…雛祭りにどうして鶏の唐揚げが出てくるのか些か疑問が残るが…そこまで言われちゃ、仕方があるまい」


「来てくれるの?やッたー♪」

穂波は嬉しそうに両の手を万歳させた。


何だか、穂波の罠に易々と引っ掛かったような気がしないでもないが…

それでも、実は俺も嬉しい。

何しろ鶏の唐揚げだ。

大好物な上に、本日の飯代も浮く。

穂波は、明日さえ定かではない破綻した精神の持ち主だが、料理の腕だけは侮れないものがある。

うむ、残ったら帰りにタッパに詰めてもらおう。


ま、そんなこんなで、保健所職員が素っ飛んで来そうなニコニコと春らしい危険な笑みを浮べている穂波と共に、彼女の家へ。

そして同じく幼馴染の豪太郎と中学からの付き合いである智香を交えて、ちょいと華やいだ雛祭りを楽しんだ。

当然の如く、唐揚げも美味かった。


いやはや…

毎年こんな感じの雛祭りなら、俺も安心して参加できるのだが・・・

一つだけ、気になることがあった。

穂波の部屋に飾られた雛壇だが…少しアレだった。

お内裏様とお雛様を除き、右大臣から牛車に至るまで…全てクマで統一されていたのだ。


何と言うか・・・

何と言うべきか・・・

取り敢えず、禍禍しい雰囲気が漂っていた。


穂波は満面の笑みで

「クマちゃん5段飾りだよぅ」

と、のたまうが…物凄く怖い。

何だかお内裏様とお雛様の幸せな家庭が、クマに襲撃されたような錯覚すら覚える。

雛壇に敷かれている赤いシートが血の色に見え、きっと五人囃しとかは、抵抗空しく食い殺されたのだろう。


うぅ~む・・

来年は、お内裏様の代りにクマ公のヌイグルミが並べられてあったら…

俺、悲しくて泣いてしまうかもしれん。


そんな事をふと思った一日だった。




★3月4日(金)



メイドロボねぇ・・・


今日は珍しく、智香と二人で帰った。

どうやら学業が不安定…

端的に言えば馬鹿な智香は、居残りで勉強をさせられていたらしい。


全く…

この女は余計な情報や実生活に何ら役に立たない知識は仕入れて来るのに、肝心の勉学の方は入荷未定状態だから困ったモンだ。

名前に『智』の文字があるのに、全てに於いて智が足らないとても残念な女だ。


見た目はそこそこ可愛いのに…

ちなみに言っておくが…俺は別に、居残っていたわけではない。

もちろん、智香を待っていた、と言うラヴでコメってる漫画にありがちな事でもない。

昼飯を食らい、ついウトウトと春の陽気に誘われて・・・

気が付いたら、何故かもう夕方だったのだ。

何でクラスメイトは誰も俺を起してくれないのだろう?


「ところでコーイチ、あんたさぁ……メイドロボって知ってる?」

馬鹿話に花を咲かせながらブラブラと帰宅途中、智香はいきなりそんな事を尋ねてきた。


「おいおい…お前、俺を馬鹿にしてるのか?アフリカの奥地に住んでるならともかく、この先進国である日ノ本に住んでいて、今更メイドロボが何なのかは常識だろうに」


メイドロボ…

読んで字の如し、言わずと知れた人様を手伝う為に開発されたロボットの総称だ。

もっとも、ロボットとは言っても頭に思い浮かぶ代物、つまりゲームやアニメや薄い本に登場するような美少女形態をしているわけではない。

その殆どが、掃除機に手が付いたヤツとかパソコンに足が生えたヤツとか…

そんな、齢100年を経て九十九神になった妖怪チックな形状の代物ばかりだ。


しかもお値段の方はかなり強きと言うか、買えるもんなら買ってみろと言わんばかりのビックリ価格で、この俺様のような一庶民には、とてもとても手が出せましぇん。

もちろん、手が出ても買う気は無いけどな。


「いや、それがねぇ…極秘情報だけど、何でも完全人型のメイドロボを開発中って話があるのよ」

智香は何故か小声で話を切り出す。


「完全人型?」


そんなアニメチックなモンが造れるのか?

だってついこの間発売したばかりの松芝電機の新型メイドロボだって…

どう見ても風邪薬のカプセルみたいな造詣をしていたじゃねぇーか。


「ふ~む、完全人型のメイドロボかぁ。技術的にかなり難しいと思うが…どこが造ってるんだ?技術の盛田工業か?」


「ううん、喜連川きつれがわエレクトロニクスよ」


「き、喜連川か…」

日本を代表…いや、世界を代表する大財閥。

世界経済の何分の一かを支配する一大コングロマリット。

確かに、あの爪楊枝から月面基地まで何でも創る大企業なら出来るかも知れんが…


「しかしなぁ…よしんば完全人型のメイドロボが造れたとして、それが一体何の役に立つんだ?」

それに何の意味があるのか、サッパリ分からん。


「ありゃ?コーイチ、興味無いの?」


「別に無いのぅ」

俺は茜色に染まった空を見上げ、どこか遠い目をしながら断言した。

「メイドロボなぞ、所詮は一部ブルジョワジーのアイテム。学食で80円のクリームパンを70円に値切って買っている俺様には、全く無縁の代物じゃわい」


「ふ~ん…コーイチなら興味津々だと思ったんだけどなぁ」


「なんでそう思うんだ?」


「だってコーイチ…よく商店街の模型屋でさ、女の子のフィギュアをショーウィンドゥに顔をくっつけながら見ているじゃない。だからあーゆーのが好きかと思って…」


「そうそう、どこかの物好きなヲタク兄さんが『坊や…それが欲しいのかい?』とか言って買ってくれはしないかと…って、俺はそこまで残念な子かッ!!」

全くこの馬鹿は…

メイドロボと芸術作品を比べるなど、言語道断だッちゅーねんっ。


「ったく…しかし智香、そんな極秘情報・・・お前、どっから仕入れたんだ?」


「へ?だってTVとかで宣伝してたし…」


「…どこが極秘情報なんだ?」



しかし完全人型メイドロボねぇ…

見てみたい気もするけど…

どうせなら、人が乗って操縦できる戦闘ロボでも造れば良いのにね。

そもそもだ、人型にするメリットってあるのか?

一部好事家…即ち大きなお友達に対しては有効だとは思うが、マーケティングから言えば、彼らは購買対象外だ。

うぅ~む、全く分からん。

もしかしてもしかすると…製作者の趣味、とかだったら、ちと嫌だなぁ。




★3月5日(土)



今日は土曜日。

半ドンの日だ。

余所の地域なら学校はお休みなんじゃが…

何故かこの辺りは学業が盛んで、ほぼ全ての学校は土曜日も授業がある。

すぐ近くにある日本有数の名門お嬢様学校、梅女こと梅小路女子学院もそうだし、隣り街にある聖ランこと聖ランアスターテ学園も土曜日は半ドン。

休みなのは公立校ぐらいだ。


ま、俺様にしてみれば、朝起きるのは辛いけど、学校へ行くのは苦にならない。

むしろ有り難い。

家にいたってやる事は家事ぐらいしかねぇーし、かと言って遊びに行くほど小遣いはねぇーし……良い退屈しのぎになるからだ。


「うぅ~む・・・」

授業中、全て爆睡という偉業を恒例の如く成し遂げた俺は、放課後…商店街のとある書店で独り唸っていた。

「うぬぅ…」


「……何してるの、コーイチ?」


「んにゃ?」

背中から声を掛けられ振り返ると、そこには先天的にお馬鹿な智香と、先天的に可哀相な穂波が、二人してキョトンとした顔で突っ立ていた。


「なんだ、お前達か」


「なんだは無いよぅ…」

と穂波。

智香はやれやれといった表情で、

「で、アンタはなに立ち読みしながら唸っているのよ」

そう言いながら、俺の手元にある情報誌を覗くと、

「あ…」

小さな声を発し、慌てて顔を背けた。


…はて?

俺は手にしていた雑誌に視線を落とす。

と、ちょうど開けていたページの隅の方に、タートルネックのセーターを口元まで覆った男のナイスな写真と『強い男へ変身・手術の次の週から戦えます』と最高にイカした宣伝文句が…


「ちちち、違うぞ智香ッ!!これを見て唸ってたワケじゃねぇーぞッ!!」


「う、うん。そうだね」

いつもだったら悪代官のような何か良からぬ事を企んでいる表情を見せる智香も、何故か歯切れが悪く、ただコクンコクンと頷く。


なんちゅうか、完璧に誤解されている。

「あ、あのなぁ…自分と自分の下半身の名誉の為に言っておくが、俺は完全体だぞ?この歳にして既に最終変化を遂げちゃってるんだぞ?」


「そ、そうなんだ。へ、へぇ……」


「ぬぅ…」


「ねぇねぇ洸一っちゃん。何の話?」

穂波が小首を傾げ、俺と智香を交互に見つめた。


「いや、智香の馬鹿が、この広告を見て俺を疑ってよぅ」

と、俺は穂波に例の広告を見せるが…果して理解出来るかどうか…


「……なぁーんだ」

穂波はニコニコと微笑んだ。

「洸一っちゃんには全然関係無いよぅ。私知ってるモン」


「だろ?さすがは穂波……って何を知ってるんだよッ!?」


「それは言えないよぅ。……クスクス」


「くッ…」

怖い…

俺の知らない間に、全てを見られているような気がする…


「で、洸一っちゃん、何を見てたの?」


「んぁ?あぁ…実はな、何か良いバイトは無いモンかと探してたんだよ」

言って俺は、穂波と智香にバイト情報のページを見せる。

「もうすぐ春休みだろ?たかだか1週間程度だけど…その間に稼げる割りの良いバイトは無ぇーモンかなぁ~とな」


「へぇ~、コーイチ、何か欲しい物でもあるの?」

智香がバイト情報を眺めながら尋ねてくる。


「うんにゃ、生活費の補填だ」

そもそも、今月は魔のイベント…白い日が控えている。

日払いOKなバイトを探さないと…

月末には難民ばりの飢餓状態に陥ってしまう危険があるのだ。


「あ~あ~…どこかに、これだッ!!と背景にベタフラが描き込まれちゃうようなグッドジョブは落ちてねぇーかのぅ」


「…コーイチ、これなんかどう?」

智香が指差す箇所を見ると…

ふむ、イベントスタッフか。

どうやらコンサートやら展示会やらの設営の仕事らしい。


「…ダメだ。思いっきり肉体労働じゃねぇーか」


「だったら洸一っちゃん、これは?」

と穂波。


「どりどり…って交通量調査か。ダメだ。そん地味な仕事は、俺の性に合わんッ」


「アンタの性って何なのか分からないけど…」

智香はジト目で俺を見つめながら

「一体、コーイチはどんな仕事を探しているのよ?」


「あん?んなモン…楽で給料が良い仕事に決ってるじゃねぇーか。具体的に言うと、上から命令するだけでお金が貰える仕事」


「……あんた何様?」


「ふっ、俺様に決っておろうが」


「あ、洸一っちゃん。これなんかどう?」


「ん?」

穂波が指差した箇所には……ふむ、日当1万円。

中々の高額だ。

「ほほぅ、新薬の被験体か…」


「薬を飲むだけでお金が貰えるみたい。割りの良いバイトだよね♪」


「確かにな。が、しかし…モルモットになるみたいで、ちょいと嫌じゃのぅ」

それに万が一の事を考えると…一万円では安いぞよ。


ま、そんなこんなで……結局、俺様が納得出来るバイトは見つからなかった。

中には、日当2万円と言う風俗並みに破格のバイトもあったが…

『喜連川邸警備員。制服及び重火器支給』と書いてあった。


制服は分かるが、重火器ってなんだろう?

非常にヤバそうなので、止めておいたのだ。




★3月6日(日)



今日は怪奇現象と言うか超常現象と言うか…そーゆーのを生まれて初めて目の当りにした。



雲一つ無い、爽やかな天気の日曜日。

なんだか身も心もウキウキとしちゃう、小春日和の日曜日。

おそらく公園とか駅前には、キラッキラッと瞳を輝かせたカップル共が手を繋ぎながら、キャッキャウフフと甘い時を過ごしておるのだろう。


うむ、なんちゅうか…今すぐ全員で殺し合っていただきたい気分だ。


「はぁぁぁぁぁぁ~」

俺はブラブラと商店街を歩きながら、重い溜息を吐いた。

本当に、貧乏は辛いと思う。

ヒマがあっても金が無いのは、ある意味拷問に近い。

やる事が無くて出て来るのは溜息ばかり…

何故なら、溜息はタダだからだ。


ちなみに言っておくが、僕チャンと僕チャンの家は、貧乏と言うわけではない。

ただ今月は14日辺りに物入りなので、洸一チンは節約生活を義務付けられておるのだ。


「うぅぅ、何が悲しゅうてこんな陽気の良い日曜日に、朝からスーパーで並んで特売品を買わなければならないのか…」

本当に自分は高校生なのか?と少しだけ疑問を感じてしまう今日この頃だ。


穂波とか智香はまるで他人事の様に(実際に他人だが)、若い内の苦労はするべきだとか、苦労は人生の肥料よ、等とババ臭い事を言う。

確かに、言わんとする事は分かる。

がしかし……肥料だってやり過ぎると根が腐るんだぞ、と俺は言いたい。


「全く、この1年で発達したのが、料理と洗濯のスキルって言う男子高校生って…どうよ?」

俺はボヤきながらも、スーパーに到着するや手早く買い物篭を手に取り、特売コーナーへとダッシュで向う。

今日のお目当ては、先着100名様限定の1パック50円と言う超ビックリ価格の卵チャンと、全品30%引きのインスタント食品各種だ。


「うぅぅ…自分が情け無い。ってか、俺の青春は絶賛行方不明中だ…」

と泣き言を言いつつ、オバチャン達の山を掻き分け見事お目当ての特売の卵をゲット。

これで暫らくは、卵料理に事欠かない。

豪華にカップ麺に入れちゃう事だって出来るわさッ!!

オムレツだって玉子焼きだって、何でも作るさッ!!

おっと、何故か自然と涙が…


俺は軽く溜息を吐くと、今度は夕飯の為の冷凍食品などを吟味。

と、すぐ近くに見知った顔があるのに気が付いた。

ボーイッシュなショートの髪が良く似合う、凛々しい顔立ちの女の子だ。


「あれは……二荒か」


二荒真咲ふたあらまさき

俺様の学園が誇る最強のソルジャーにして破壊女神。

いや、クラスが違うから具体的には知らんけど、そーゆー噂だ。


もちろん、話したりした事は無い。……と思う。

実は良く憶えていない。

ただ、2学期までクラスメイトだった吉沢を介して、2~3度会った事がある程度の間柄だ。


「…吉沢か。良いヤツだったよなぁ」

そんな事を呟きながら、何気に二荒を視線で追う。

隣りにいるのは…母親だろうか?

二荒と良く似た顔立ちの女の人と、何やら笑いながら買い物をしている。


ふむ…

こうして見ていると…とても噂にあるような悪魔超人には思えないのぅ…

むしろ笑顔が…ちょっと可愛い気さえしてくる。

あの穂波の純朴そうな笑顔の方が、俺的には恐ろしい。


「ま、良いや」

なんとな~く、朝からスーパーで買い物している高校生が俺だけでは無い、と言うことが分かり、少しだけ安堵しながらレジを済ませて帰宅の徒に着くがその時、事件は起った。

買い物を袋を下げながら鼻歌混じりに商店街を練り歩いていると、突然、パンパンパンッと甲高い音を立てながら、次々とショーウィンドゥ等のガラスが砕け散ったのだ。


いやはや…

アレにはビックリした。

もちろん、街行く人も皆驚き、パニック状態だ。


さすがの俺様も

『ついにこの日が来たかッ!?』

と叫び、思わずその場に身を屈めてしまった。

もっとも、この日と言うのがどの日なのかは全く分からんが。

一体、原因はなんだろう?

突如としてガラスが粉微塵に砕け散るなんて…

所謂ポルターガイスト現象とかゆーやつだろうか?


そう言えばその時、ふと商店街の隅の方で佇む女の子を見掛けた。

柔らかい髪をしていそうな、かなりの美少女だ。

俺と目が合うと、何故か慌てて走り去って行ったが…

はて?俺、何か悪い事でもしたのだろうか?


ちなみに帰宅後、お巡りさんが家にやって来て、商店街のガラスが割れた事について色々と質問された。

何だか知らんが、俺がその場にいた事が怪しいとか言い出す輩がいるらしいとの事。

全く以って無礼なヤツがいるもんだ。

どこの誰かとは一つ星の巡査は言わないが…

おそらく、俺が餓鬼の頃から立ち読みをしてやっている本屋の親父だろう。


うぅ~む…俺様のような善良な一高校生を犯人扱いとは…

今度店に行ったら、腹いせに棚に並んでいる単行本などを、全て反対側に向けて入れてやるからな。




★3月7日(月)



学年末テストまであと1週間なんじゃが…



朝、いつものように穂波が俺を揺って目が覚めた。

一人暮らしを始めた頃は、玄関先で臆面も無く大きな声で、

『洸一っちゃん♪朝だよぅぅぅぅぅ♪』

と、ご近所とそれ以上に俺様の迷惑も考えずに叫んで起こしていたのだが、近頃はそれでは効果が薄いと思ったのか、こうしてわざわざ、俺様の部屋まで直接に起こし来るのだ。


ちなみに俺は、毎日ちゃんと玄関に鍵を掛けている。

がしかし、穂波には通じない。

もちろん、合鍵を渡すなんて馬鹿なことはしない。

なのに何故、こヤツは俺の家に入ることが出来るのか…

その事を尋ねたら、穂波は笑顔で

『サムターン回しだよぅ』

とかヌカしやがった。

うむ、恐ろしい女だ。


さて、そんなこんなで穂波と共に、いつもの通学路を通って学校へ向う。

ようやく冬将軍も勢力を弱め、最近はめっきりと春らしい日が続いている。

桜の蕾も膨らみ始めているし…月末には、花見を楽しめる事が出来るだろう。

うむ、実に長閑なり。



「ところで洸一っちゃん。勉強の方はどう?」


「んぁ?勉強?」


「そうだよぅ。洸一っちゃん…何か今度のテストで悪い成績を取ると、2年生になれないって話じゃない」


「だ、誰がそんなトップシークレットをッ!?」


「え?智香だよ」


やはりあの馬鹿か…

「ふっ、心配無用だぜッ!!この眠れる獅子と呼ばれた洸一様が一度目を覚ませば、ブブイーンと凄い事になってあっと言う間に学年首位なんだぞ」


「その眠れる獅子が爆睡中だから困るんじゃない…」

穂波は、穂波の分際で生意気そうに溜息を吐いた。

「洸一ちゃんはやれば出来るんだから、ちゃんとやれば良いのに…」


「当たり前だ。何しろ俺は獅子だからな。……意味は分からんが」


「全く…2年生になれないと、修学旅行にも行けないよ?」


「ぬ、ぬぅ…修学旅行かぁ」

うぅ~む、確かに学生生活最大のイベントを逃すのは惜しいなぁ…


「そう言えば修学旅行は…確か5月に入ってすぐだったよな?」


「そうだよぅ。北海道へ行くんだよぅ」

穂波はニコニコと嬉しそうだが…

5月の北海道って、まだ寒いじゃんかよぅぅぅぅ…


「あ、でも…なんで今年から北海道なんだろうね?」


「あん?知らんのか穂波」


「うん。だって去年はオーストラリアだったって話だけど…」


「ま、俺も嘘吐きな智香から聞かされた話だから信憑性は薄いと思うが…何でも去年の修学旅行でよ、先輩の一人が行方不明になって大騒ぎしたって話だ。んで、そんな騒ぎがまた起るといけないから、今度は国内にしよう……そーゆー話だ」


「そ、そうなんだ…」


「おう。その先輩が誰かは知らねぇーけど……確か……なんだ、インディオだかアボリジニーだかの秘術を求めて行方不明になった、って話だぞ」


「ひ、秘術って何だろう?……魔法かな?」


「それは知らん。がともかく、それで大騒ぎになって、噂ではオーストラリア陸軍も捜索の為に出動したって話だ。全く迷惑な話だぜ。折角コアラを抱っこしながらカンガルーの袋に入ってやろうと思っていたのによぅ」


「カ、カンガルーの袋って……人も入れるの?」


「常識だ。オーストラリアの特殊部隊なんか、みんなカンガルーの袋に入って敵に近付くんだぞ。世界最強の部隊の一つだぜッ!!」


「ふ~ん…洸一っちゃんって、いつも見て来たような嘘を吐くね」


「当たり前だ。何しろ俺はタイガーだからな」


「し、獅子じゃないんだ…」



ま、何にせよ、俺様も寒いのは苦手だが修学旅行には行きたい。

1年生として、旅立つ穂波達を見送るのは少しロンリーだ。

その為には、何としても来週からの学年末テスト…何とか良い点を取らなければッ!!


……最悪の場合は、テスト用紙を盗む事にしよう。




★3月8日(火)



休み時間に廊下をブラブラと歩いていると、学園の偉大な支配者であるこの俺様が、別に恐れはしないけど出来るなら関わりたくないのぅ…

と思っちゃう3人組、苛めッ娘戦隊トリプルナックル……

即ち、結構可愛いくせに属性が悪の長坂を筆頭に、恐らく生まれた時に誤って産婆が床に落としてしまい、それ以来人として何か大事なモノが欠如してしまった跡部に、性格の悪さが顔面に出まくってる、ペンタゴン辺りが遺伝子操作で開発した謎のツインテールを装備している小山田の3人組が、ノッシノッシと歩いてくるのが目に飛び込んできた。

もちろん、苛めっ娘戦隊と言っても、苛められっ子を助けるのではなく、あいつ等は苛めサイドだ。


彼女達は、それぞれ個人で活動している分には人畜無害なんだが…

何故か3人集まると、物凄く凶悪になる。

まるでウィルスのような存在だ。


もちろん、無用な戦いは出来るだけ避けると言う武士の心を持つ俺様としては、辺りに睨みを効かせて歩いて来る3人衆との接触を避ける為、180度急速回頭、全速前進エンジンフルスロットルでその場を離脱したのだが…

いやはや、久し振りにあ奴等を見て、少しだけ背中に冷たい物が走ってしまったわい。

もっとも、先天的にアカン子である穂波に比べれば非常に可愛いものではあるんだけどね。


そう言えばあの3人は、穂波と一緒のクラスだったと思うが…どうだったかな?

ちなみに、どうして俺が別クラスのあの3人娘の事に詳しいかと言うと…

実は、同じ中学出身だったりするのデス。

ま、そんな事はどーでも良くて、実はこの俺様、明日から何故か穂波とテスト勉強をする事になってしまった。

全く以って不思議だ。

俺としては、テスト勉強なぞは一夜漬けで充分だと主張していたのだが…

穂波はマジで心配しているのか、それともマジで壊れたのか、何時に無く真剣な瞳で

「洸一っちゃんっ!!洸一ちゃんっが留年したら、私の明るい未来計画が台無しじゃんッ!!」

と詰め寄って来たのだ。


未来計画ってなんだろう?

ちっとも分からん。

分からんが、鈍く光る瞳でガルルルゥと唸られたら、断わる事は出来ない。

そんな事したら、刺された挙句に山中に埋められそうだ。


ま、そんなワケで明日からテストまでの間、マイ・ハウスにて勉強会。

智香も豪太郎も、ヒマがあったら顔を出すとの事だ。


うぅ~む…俺の自由が、音を立てて飛び去って行くような気がするのぅ。



PS…

夜、北海道へ転校したクラスメイツ、吉沢へ電話を入れた。

別に理由は無い。

ヒマだったからだ。


「と、ゆーわけで、俺様が電話してやったぞ」


『何がと言うワケなのよ…』

相変わらず人を小馬鹿にしたような吉沢の声が、受話器を通して聞こえてくる。

この女とは何故か馬が合うと言うか良い喧嘩友達と言うか…

ともかく、入学して見知らぬ奴ばかりのクラスの中で、最初に仲良くなった女の子だ。


正直に言っちゃうが…

こいつが12月を以って転校すると知った時、俺様はちょいと悲しかったモンだ。


もちろん、転校したとは言っても、この高度に情報化が進んだ現代、時折こうして電話やらメールやらで近況を報告したりもしているので、

『吉沢の奴、今頃どうしているかなぁ…』

と北の空を見上げて寂しげな溜息を吐く事などは決して無い。

うむ、便利な社会になったもんだ。


「で、どうよ吉沢、そっちは?友達出来たか?」


『友達はすぐに出来たわよ。それよりも寒いのよッ。毎日毎日、一面真っ白な世界よッ』


「あ~……そうだわなぁ」


『全く、そっちの冬が懐かしいわ』


「ハッハッハ…それが北海道だ。北の大地だ。仕方あるまいて」


『…まぁね。それよりも神代、ちょっと聞きたいんだけどさぁ』


「なんだ?もしかして俺が2年生になれるかどうかってことか?うぅ~ん……現在の所、進級率は30%ぐらいかのぅ」


『低ッ!?ってあんたが2年になれるかどうかはどーでも良くて…』


「いや、どーでも良くはないんだけど…」


『神代、あんたさぁ……真咲と、会ったり話したりしてる?』


「は?真咲?……誰?」


『誰って…真咲よ。二荒真咲よ』


「あ~~…あのリーサルウェポンかぁ。って、話すも何も別のクラスだし…時々廊下で見るだけだけど…」

そして俺はそそくさと隠れるのだけど…何しろ武士だし。


『そ、そうなんだ。ふ~ん…』


「???」

なんだ?

何故にあの最終兵器の話になるんだ?

・・・

っと、そう言えば吉沢と二荒は友達だったな。

同じ空手部だったし…

でも、どーして俺に二荒の話しを振るんだ?

俺、アイツとは喋った事もないんだけど…


『ま、良いや。ねぇ神代、今度真咲に会ったらさぁ……声、掛けてあげなよ』


「うぇッ!?な、何故にそんなおっかねぇ事を…」

例えるなら、アフリカ奥地の首狩り族に『やぁ♪元気』と気さくにスキンシップを求めるようなモンだぞ。

「…って言うか、なんで俺がアイツに声を掛けなきゃならんのだ?」

もしかして罰ゲームか?

何の罰かはサッパリ分からんがのだが…


『別に良いじゃない。私がヨロシク、って言っていたって話してよ』


「え~~…ンなもん、アイツ家にメールでも送れば良いじゃん。だいたい俺、アイツとは顔を知ってるってだけの間だし……いきなり声を掛けるなんて、恥ずかしいじゃんかよぅ」


『神代は生き様自体が恥ずかしいんだから、挨拶するぐらい恥ずかしいワケないじゃない。それに……アンタは顔を知ってるだけの間だと思ってるけど、真咲は……違うのよ』


「は?それ、どーゆー意味?全く分からんのじゃが…」


『…ま、神代の頭じゃしょうがないか』


「あのぅ、物凄く失礼な事を言われている気がするんですけど…」


『気がするんじゃなくて、言ってるのよ』

吉沢は何故か憤懣やる方無しと言うような声色でそう言うと

『じゃあね神代。そろそろ切るわよ』


「ぬぉうッ!?おいおい、いきなりかよぅ。なんだか今日は、やけに素っ気無くないかい?」


『あのねぇ、アンタの為でしょ?こっちは北海道なのよ?神代……電話代、幾ら掛かるか知ってる?』


「…アディオス、吉沢ッ」

俺は速攻で電話を切った。


やれやれ、良く考えたらPCのメールかチャットで話せば良かったわい。

ま、久し振りにアイツの声が聞けたから……良しとするか。

しかしながら…

何故に吉沢は俺に、二荒と少しは話せとか言い出したのだろうか?

全く分からん。

が、もしかしてもしかすると…

二荒は何か、悩みを抱えているのだろうか?

そして親友である吉沢は、何とか相談に乗って上げたいけど、直接的には距離が遠過ぎる。

そこで悩める子羊を救済する事が出来る、この学園の生き神様、歩く悩み110番と呼ばれた俺様に、それとなく助けて欲しいと…

そーゆー事を、暗に言ってるのだろうか?

・・・・・・

何だか全然違うような気がする。


ま、何はともあれ、今度二荒に出会ったら、『吉沢が頑張れ、とか言っていたぜぃ』等と話し掛けてみよう。

・・・・

でも怖そうだから、やっぱスルーしとこうかなぁ…








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