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魔法の口紅
私はセーラー服を着た、魔法使い。
なんて自分で言うのも何だかね。
それはともかく、私は、西口にある駅前通りのドラッグ・ストアで、新作の口紅を試していた。一人で制服を着たまま。
鏡に向かっていろいろ試しているうちに、楽しくなってきて、ニヤニヤしながらやってしまった。
そしたら、やば、店内にいた他のお客さんに、ジロジロ変な目で見られたし。
待って、超恥ずかしかった。
でもいいの。
新しい口紅、それも初めて100均のじゃないやつを買って、魔法に使うの。
何の魔法かって?そりゃ、好きな人を振り向かせる魔法に決まってるじゃない。
口紅魔法。
なんて嘘。そんな都合のいい魔法、あるわけないじゃない。
私が使えるのは、空を飛ぶ魔法くらい。簡単なものだよ。
じゃあ、私そろそろ帰るから。
え、誰に話してるのかって?
もちろん、今、この声が聞こえてる君にだよ。
そ、これも魔法。じゃあね。