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彼に会える魔法
明美は、数学の補習が終わった後、友達と学校からの最寄り駅に向かった。
「やば、見えそう」
「マジか」
彼女たちは、制服のお尻を押さえながら、エスカレーターに乗る。
「前田君てかっこいいよねー」
「わかるー」
そんな話をしながら、ちょうど来た電車に乗り込む。
車内は、ひどく空いていた。
制服の中が見えないよう、両足を開き、その間に制服を落とし込むようにして座る。
明美は、他校の男子のことが気になっていた。
いつも、同じ時間に、他の駅から乗ってくる。
ただ、今日は補習で遅くなったため、乗る時間が合わなくなってしまった。
「今日も会いたいな・・・」
明美は、彼に会える魔法を使った。
すると、気になっている男子が、いつもの駅から電車に乗り込んできた。
成功だ。
でも。
やば。声をかけられない。
勇気が出る魔法は、彼女には使えなかった。
「明美、顔赤いよ。どうした?」
「マジか。何でもないよ」
今日も、片思いは続く。