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魔法と航空障害灯
赤い航空障害灯が点滅するビル群が、木々の向こうに見える。
私は、魔法で、公園の上を飛んでいた。
そうすることで、学校での悩み事など、どうでもよくなりたかった。
茉莉と、弘の事で取り合いになった。
「弘君は、恭子のじゃなくて、あたしのだから」
ただ、彼が、好きなだけなのに。
恋愛にも、魔法の力が使えたらいいのに。
考え事してたら、ブラウンのローファーが脱げて、落ちそうになった。
危なかった。
制服の中の脚を、冷たい風が吹き抜ける。
そろそろ、黒いタイツが必要な季節だ。
まだ、悩み事は、どうでもよくなりそうになかった。
でも、弘とどうなりたいのか、わからなくなってきた。
あったかい、コーン・スープが飲みたくなった。