夜明け
俺が生き残った意味……「葛城相馬」として、これから何をすべきなのか?
1つ目は弟の葛城正平を見つける事……
すでにゾンビとなって街を徘徊している弟を放置するわけにはいかない……これは葛城家として、いや……兄としてのケジメだ。
例え、この手で「始末」する事になろうとも……
お袋も、きっとそれを望んでいるはずだ。
2つ目は武志の妹である桜を見つける事。
これは武志の遺言であり、アイツを救えなかった俺の贖罪でもある。
この2つを終えるまで、どんな事があっても俺は街を離れるわけにはいかない……
これを達成する為には、人の心を捨てて非情な人間にならなければ……俺は甘過ぎた。
映画や漫画のようなヒーローではない、俺は何処にでもいる只の人間なんだ。
「冷徹」「非情」「殺意」……これは高槻にあって俺が欠けていたものであり、高校を卒業して忘れかけていたものだ。
「必ず果たしてみせる……その為に、以前の俺に戻ろうとも」
揺るぎない意志を胸に俺は家を出た。
「……夜明けか」
朝日を浴びながら俺は一歩……また一歩と「死が迫り来る世界」へと歩き出した。
ーーー東京都内上空・輸送ヘリ内部にてーーー
「……大尉っ!……相沢大尉!まもなく降下地点に着きます!準備をっ!」
「だ~か~らぁ~!階級で呼ぶなっての!コードネームで呼べって会社から言われたっしょ?ちゃんとやってくれって。俺は兵隊さんじゃないのよ」
「あっ……し、失礼しました。えと……レッドウルフ。降下準備を願いますっ!」
「あいよ~、しかしまぁ……やっとこさの里帰りだってのに、戦場の匂いが漂ってる故郷を見るのも、何だか嫌なもんだねぇ~」
「はぁ……匂い……ですか?自分には感じませんが……」
「オメーも戦場に出れば分かるようになんよ。あぁそうだ……とりあえずの拠点が決まったら連絡するからよ。そしたら米軍基地から武器と弾薬を輸送してくれや。俺の名前を出せばイッパツでOKもらえっからよ」
「了解しました……御武運を」
「さぁて……マリアに小言を言われる前にチャチャっと行動しますかねぇ……【ゼロストーム作戦】開始するぜっ!」
これで時系列的には第1話に戻る形になります。
章での区切りをしてませんが、これにて1つの章が終わりました。
次の章は……うーん、陰謀編、または介入編とでもしましょうか
人間同士の戦いも盛り込むつもりです




